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中国生活ではマスト!ビジネスシーンにおけるWeChat/微信の使い方

「中国での生活にはWeChatが必要だと聞いた。具体的にどのように使うのだろうか。」

中国版LINEとも呼ばれるWeChat。LINEはポピュラーな連絡ツールとして日本社会に定着していますが、WeChat/微信の中国社会における位置づけは一味違います。ネットショッピングや買い物、公共料金や病院での支払い、ビジネスでは名刺やメールの代わりなど、公私両面でなくてはならない存在となっているのです。

実は、WeChatは中国で展開されている微信(wēi xìn)の世界向けパッケージで、微信に付いている一部機能が使用できません。日本でダウンロードできるのはWeChatです。つまり、中国で実際に生活する場合は中国国内で微信をダウンロードして使用しないと、実生活に支障が出る可能性があります。

本稿では、中国国内で微信を使用することを前提に、その使用シーンや利用開始方法、LINEとの違い、微信にはあってWeChatにはない機能などについて解説します。


1. WeChatの現地版、微信とは?

WeChat/微信は、中国企業テンセント社が運営する、インスタントメッセンジャーです。

1-1. 微信の提供会社「テンセント」とは

微信は、「アリババ(阿里巴巴)」と並ぶ中国の2大インターネット企業のひとつ、「テンセント(騰訊)」が2011年にリリースしました。テンセントは、中国のインターネット黎明期の2000年代前半に、インスタントメッセンジャー「QQ」で一躍有名となり、そして「WeChat/微信」で中国SNSの王者となった企業です[1]PCやスマートフォン向けのオンラインゲームや、動画や音楽などのコンテンツ配信にも非常に強い企業として知られています。

後述するキャッシュレス決済サービス「WeChatPay(微信支付)」でフィンテックを浸透させるなど、金融分野でも活躍。さらに、さまざまなアプリを個別にインストールしなくても、WeChat上で起動できるミニプログラム(微信小程序)を真っ先に普及させました。

1-2. WeChat/微信の機能

WeChat/微信には大きく分けて4つの機能が付いています。

・通話
・メッセンジャー
・ミニプログラム
・キャッシュレス決済(送金)※微信のみ

中国版LINEと呼ばれるだけあり、同じような機能が目立ちます。しかし、LINEのキャッシュレス決済(LINE Pay)の支払い方法はクレジットカードや現金でのチャージ、銀行口座を選択するタイプであるのに対し[2]、微信のキャッシュレス決済は、必ず自分の銀行口座と紐づけを行う必要があり、デビットカードのような役割を持っています。

1-3. WeChat/微信とLINE、WeChatと微信の違い

ここではWeChat/微信とLINEについて、具体的な機能の違いをご紹介します。

1-3-1. WeChat/微信はLINEとどこが違う?

(1) 既読機能がない
グループメッセージ、ダイレクトメッセージともに、WeChat/微信には既読機能がありません。

(2) 近くにいる人を探せる
GPS利用を許可すると、自分の近くにいる人が一覧に表示される機能です。WeChat/微信で友達になっていなくても、メッセージを送ることができます。

(3) 便利な文字起こし機能
中国語による相手の音声メッセージを文字に書き起こしてくれる機能です。なまりの少ない中国語なら、かなりの精度で書き起こしができるため、中国人の多くがこの機能を利用しているようです。日本でも度々、スマホに話しかけている中国人を目にすることがあるのではないでしょうか。

(4) ミニプログラムの充実
ミニプログラム(微信小程序)とは、WeChat/微信内で機能するアプリのような存在です。例えば、ユニクロやマツモトキヨシなどの専用アプリをダウンロードする必要がなく、WeChat内の同社ミニプログラムにてネットショッピングが可能です。

買い物だけでなく、ゲームや動画などの娯楽ミニプログラムも充実しています。テンセントが公式に発表したミニプログラムの1日のアクティブユーザーは3憶人を超えており、巨大マーケットとして日本企業からも注目されています。[3]

1-3-2. WeChatと微信の違い

次に、WeChatと微信の違いです。唯一で最大の違いは、微信にはキャッシュレス決済サービス「WeChatPay(微信支付)」機能が付いていることが挙げられます。機能を利用するには、中国国内の銀行口座との紐づけ・身分証明書の提出・電話番号の開示を行う必要があるため、中国以外で展開されているWeChatにはこの機能自体がありません。[4]

中国では、観光客が訪れるレストランや土産店などでは現金やクレジットカードでの支払いも可能です。しかし、地元の人向けの店は現金不可の場合も多く、キャッシュレス決済を使用しないと生活ができないと言っても過言ではないようです。

具体的にWeChatPayは、次の使い方ができます。

(1) 決済・送金
QRコードを読み取ることによって、紐づけられた銀行口座から送金される機能です。インターネット上での支払いはもちろんですが、スーパーや薬局、公共料金や病院、タクシー、露店、ストリートパフォーマンスの投げ銭に至るまで、生活をする上で支払いをするシーンのほぼ全てに浸透しています。

また、支払いだけではなく、友人同士での集金や金銭の貸し借りにも使用されているようです。

(2) Red Packet(紅包)
紅包(hóngbāo)という中国の文化にちなんで名づけられた機能です。紅包とは、日本でのお年玉やご祝儀をもう少しカジュアルにしたイメージで、「春節(旧正月)」や普段の「お祝い」「感謝」といった場面で送り合う現金のことを指します。

微信内では、店舗側が来店してくれたお客様へのお礼として使用したり、友人同士のグループチャット内でちょっとしたお祝い代わりに送るといった使い方がされています。

[1] statista「Most popular social networks worldwide as of July 2020, ranked by number of active users」
https://www.statista.com/statistics/272014/global-social-networks-ranked-by-number-of-users/
[2] LINE Pay「LINE Payについて 登録」
https://pay.line.me/portal/jp/about/sign-up
[3] 36Kr Japan「2020年はミニプログラム時代の幕開け 專門データ分析機構が9つの予測を発表」
https://36kr.jp/46118/
[4] WeChatでも、すでにWeChatPayを使用している方から送金をしてもらえれば、項目が出現し、機能が利用できるようになるようですが、標準機能ではありません。


2. 微信のメリット・デメリット

大変便利な微信の機能ですが、実際に微信を利用する際に生じるメリット・デメリットはどのようなものが挙げられるでしょうか。

2-1. 微信のメリット

最大のメリットは、生活のほとんどが微信によってカバーできることでしょう。例えば、日本ではLINE、ECアプリ、銀行口座、クレジットカード、現金、デビットカードなど、様々なツールを使用して日々の連絡や買い物、支払いを行っています。

しかし、銀行口座と紐づいており、ECアプリも内蔵されている微信を使用すれば、身の回りのことをアプリ1つで完結することが可能となります。テンセントのユーザー属性レポートによると、微信を毎日利用しているユーザーが94%、毎日10回以上利用しているユーザーは61%に達しています。[5]

2-2. 微信のデメリット

メリットが大きい分、逆に、微信がないと生活が不便どころか、ままならないという事態になってしまいます。スマートフォンを忘れたばかりに、予定していたこと全てがキャンセルになってしまうということもあるかもしれません。

紛失や、盗難にあった場合はもっと悲惨です。高齢者や貧困層の方など、スマートフォンを持っていない方への配慮も課題となっています。[6]

また、すべての個人情報が紐づけられるため、セキュリティ対策やプライバシー保護も利用者自身がきちんと管理する必要があります。

[5] テンセント「2019微信年度数据报告」
https://mp.weixin.qq.com/s/gi_3xSDWBie-fgg76XXJCg
[6] 朱永浩「中国におけるキャッシュレス化の現状と課題」
https://www.erina.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/se14620_tssc.pdf


3. 現地ビジネスシーンでの利用方法は?

中国での生活になくてはならない存在になっている微信は、ビジネスシーンでも広く利用されており、実際に次のような場面で使用されています。

(1) 刺代わり
業種や年代によっても異なりますが、2020年現在、名刺の交換シーンでは紙の名刺ではなく微信のIDを交換する方法が主流のようです。

当社ライトワークスの子会社「来宜信息科技(上海)有限公司」の中国人スタッフ(30代)に取材をしたところ、次のような所感を寄せてくれました。

「中国企業は名刺交換ではなく、WeChatの交換が圧倒的に多いです。日本人からみると、初対面のビジネス上でSNSアカウントを交換することは不思議だと思われる方が多いと思いますが、中国ではごく普通のことです。

また、中国人宛に訪問した際に、こちらから紙の名刺を渡しても、名刺の交換ではなく、その代わりにWeChatで交換しましょうと言われることも多いです。WeChatを交換した後、相手から電子版の名刺を送ってくるケースがほとんどです。」

送られてきた電子名刺は、名刺管理アプリに登録し、管理します。なかでも、CAMCARD(名片全能王)というアプリが有名なようです。

(2) メール代わり
日本でもChatworkやSlackなど、チャットツールは普及していますが、中国ではビジネス上のやり取りを微信の個人アカウントで行うことが一般的のようです。

(3) 書類のやり取り
上司への報告書の提出はもちろん、クライアントとの契約も微信上で行ってしまう場合があり、各社がセキュリティ対策に注目し始めているようです。

以下、同公司の日本人駐在スタッフ(30代)のコメントです。

「WeChatはビジネスシーンでも浸透しているのですが、契約に関することまでWeChatで話をしている人も多いようで、各社課題感を持っています。直近はサイバーセキュリティ法施行などの影響で、企業側のセキュリティ意識も高まってきています。」

日本人からすると、ビジネスシーンで初めてお会いする方と個人アカウント同士で繋がることに違和感があるかもしれませんが、組織よりも個人としての意識が強い傾向がある中国人らしく、こうした繋がり方にはあまり抵抗がないようです。


4. 微信を使うには?利用開始方法

これまで、微信の機能や利用シーンについて解説してきました。本章では、実際に微信をダウンロードして、利用を開始する方法をお伝えします。LINEとほぼ同様なので、普段からLINEを使用している方はスムーズに操作ができると思います。

(1) App StoreやGoogle Playで「微信」を検索

※ 中国で「WeChat」と検索した場合にダウンロードできるのは微信、中国以外で「微信」と検索した場合にダウンロードできるのはWeChatとなります。

App Store
https://apps.apple.com/jp/app/wechat/id414478124

Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.tencent.mm&hl=ja

(2) アカウントを作成

WeChatのインストールが完了したら、アプリを開いて「モバイルで登録」をタップします。

スマートフォンの画面スクリーンショット

氏名(本名でなくても可)・電話番号・パスワードを入力し、利用規約を一読し問題がなければ、「利用規約を読んで同意します」にチェックを入れ、「次へ」をタップします。

スマートフォンの画面スクリーンショット

プライバシーポリシーが表示されるので、一読し、問題がなければ「上記の条件を読み、同意しました」にチェックを入れ、「次へ」をタップします。

スマートフォンの画面スクリーンショット

「Security Verification」で「Start」をタップすると、入力した電話番号にSMSで確認メッセージが送られてきます。4ケタの確認コードを入力して登録完了です。

スマートフォンの画面スクリーンショット

スマートフォンの画面スクリーンショット

スマートフォンの画面スクリーンショット

(3) 連絡先の交換や追加
連絡先の交換や追加をしたいときは、「連絡先」の右上にある[+]アイコンをタップし、自分のQRコードを読み取ってもらうか、相手のQRコードを読み取ります。相手が遠くにいる場合は、IDを教えてもらって検索すればOKです。

スマートフォンの画面スクリーンショット

(4) ミニプログラムは発見から
初回起動時は、ミニプログラムという項目はありません。[発見] > [検索]で一度なんらかのミニプログラムを探すか、店頭のミニプログラムQRコードを読み取ると、次回から[発見]の中に「ミニプログラム」という項目が出現します。

スマートフォンの画面スクリーンショット

スマートフォンの画面スクリーンショット


5. 「グレート・ファイアウォール」について

「グレート・ファイアウォール」とは、中国全土に敷かれているネット検閲システムです。その開発には「CISCO」「マイクロソフト」「オラクル」など多国籍の大手IT企業が関わっており、世界でも最高峰のセキュリティと呼ばれています。

このシステムにより、中国ではインターネット上の情報は全て監視・規制されており、中国政府に対して不都合と判断される情報はアクセスできないようになっています。また、アプリ上での個人同士のやり取りも例外ではなく、些細な連絡も全てチェックされています。

中国がインターネットを規制する理由は、中国政府に対して不利益な情報を監視・排除をすることと、中国国内のIT市場の確保の2つの狙いがあると言われています。

2つ目の狙いを説明する根拠としては、GoogleやYahoo!などの検索エンジン、FacebookやTwitterなどのSNS等、中国以外の企業が提供するサービスが軒並み禁止されていることが挙げられます。

その結果、中国政府の狙い通り、WeChat/微信やWeibo (微博)といったSNS、Baidu(百度)という検索エンジンなど、国産のサービスが発展してきました。

しかし、中国のサービスを使用しても、検索ワードや投稿、チャットが監視されていることには変わりありません。不適切と判断される行為を繰り返していると、アカウントが凍結され、アプリが使用できなくなってしまいますので注意しましょう。

また、厄介なグレート・ファイアウォールを打破し、日本と同様のネット環境を確保するために、VPNを使用する手があるようです。

中国独自のインターネット環境を正しく理解し、WeChat/微信を使いこなすことができれば、中国でのスムーズなビジネスライフに一役買ってくれる存在となることでしょう。


6. まとめ

本稿では、中国で生活するなら必ず必要なWeChat/微信の機能や使い方、ビジネスシーンでの役割について解説しました。

WeChat/微信は、アリババ(阿里巴巴)と並ぶ中国の2大インターネット企業テンセント社(騰訊)が運営する、インスタントメッセンジャーです。WeChatと微信は同一のアプリですが、実は、WeChatは中国で展開されている微信(wēi xìn)の世界向けパッケージで、微信に付いている一部機能が使用できません。

WeChat/微信には大きく分けて4つの機能が付いています。

・通話
・メッセンジャー
・ミニプログラム
・キャッシュレス決済(送金)※微信のみ

WeChat/微信とLINEの相違点は以下の通りです。

(1) 既読機能がない
(2) 近くにいる人を探せる
(3) 便利な文字起こし機能
(4) ミニプログラムの充実

ミニプログラム(微信小程序)とは、WeChat/微信内で機能するアプリのような存在です。例えば、ユニクロやマツモトキヨシなどの専用アプリをダウンロードする必要がなく、WeChat内の同社ミニプログラムにてネットショッピングが可能です。

WeChatと微信の唯一で最大の違いは、微信にはキャッシュレス決済サービス「WeChatPay(微信支付)」機能が付いていることが挙げられます。機能を利用するには、中国国内の銀行口座との紐づけ・身分証明書の提出・電話番号の開示を行う必要があるため、基本的には中国以外で展開されているWeChatにはこの機能自体がありません。

中国では、観光客をターゲットとしない店は現金不可の場合も多く、キャッシュレス決済サービスを使用しないと生活ができないと言っても過言ではないようです。

微信を利用するうえで最大のメリットは、生活のほとんどが微信によってカバーできることでしょう。銀行口座と紐づいており、ECアプリも内蔵されている微信を使用すれば、身の回りのことをアプリ1つで完結することが可能となります。

メリットが大きい分、逆に、微信がないと生活が不便どころか、ままならないという事態になってしまいます。また、すべての個人情報が紐づけられるため、セキュリティ対策やプライバシー保護も利用者自身がきちんと管理する必要があります。

現地ビジネスシーンでの利用方法は以下の通りです。

(1) 名刺代わり
(2) メール代わり
(3) 書類のやり取り

微信の利用開始方法は以下の通りです。

(1) App StoreやGoogle Playで「微信」を検索
(2) アカウントを作成
(3) 連絡先の交換や追加
(4) ミニプログラムは発見から

「グレート・ファイアウォール」とは、中国全土に敷かれているネット検閲システムです。このシステムにより、中国ではインターネット上の情報は全て監視・規制されており、中国政府に対して不都合と判断される情報はアクセスできないようになっています。

アプリ上での個人同士のやり取りも例外ではなく、些細な連絡も全てチェックされています。不適切と判断される行為を繰り返していると、アカウントが凍結され、アプリが使用できなくなってしまいますので注意しましょう。

厄介なグレート・ファイアウォールを打破し、日本と同様のネット環境を確保するために、VPNを使用する手があるようです。

オンライン化が進み、キャッシュレス決済が主流となっている中国で生活をするには、WeChatなどの包括的なサービスを提供するアプリの使用がマストとなっています。便利な反面、セキュリティ対策やプライバシーの保護に関心を持ち、自己管理をしっかりとすることが重要です。

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