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外国人技能実習制度とは 労働力不足を補う実質的な外国人受け入れ政策

外国人技能実習制度とは、日本国内の技術・知識などを途上国の人材に伝え、その国の経済発展に協力するための制度です。

外国人の研修制度は1982年に創設された研修生在留資格から始まり、その後技能実習制度へと発展しました。この制度には改正が加えられ現在も発展を続けています。積極的な移民政策を推進していない日本においては、この技能実習制度によって外国人を受け入れているという側面もあり、事実上、国内の労働力が支えられていると言えます。

本稿では外国人技能実習制度について「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)を中心に解説します。


1. 外国人技能実習制度とは

外国人技能実習制度は、日本で開発された技術や知識などを開発途上国・地域へ移転し、経済発展を担う「人づくり」への協力を目的とする制度です。
この制度は1951年に施行された「出入国管理及び難民認定法(入管法)」を根拠に実施され、その後何度も改正を繰り返してきました。

2017年11月に技能実習法が施行され、これまで入管法令で定められていた多くの部分をこの技能実習法で規定し直しました。現在はこれに基づいて運営されています。


2. 外国人技能実習制度の背景

外国人技能実習制度の背景には、やはり人口減少、労働力の不足があります。

日本では外国人の受け入れに対して積極的ではない(むしろ消極的な)歴史があり、具体的な移民政策について議論されてきていません。政府が打ち出す政策にしても外国人の積極的な受け入れ策より女性活躍推進や子育てしやすい環境づくりに力を入れているように見受けられます。しかし、少子高齢化が進行する現在、人口の減少や労働力不足の問題は深刻化しつつあり、これらを解決するためには移民に頼るしか方法がないという声もあります。

移民政策に取り組むことなく外国人を受け入れるしくみが技能実習制度です。本来の目的は外国への技術や知識の移転ですが、その裏には外国人による労働力の確保という目的も隠されています。近年、介護職員不足が社会問題になる中、この技能実習法において介護職が技能実習の対象となったことを考えると、外国人労働者で介護力を補おうとする意図を感じることができます。

このように、技能実習制度は外国人労働者の受け入れを実質的な目的として抱えながら発展してきていると言えるでしょう。


3. 現在の外国人技能実習制度

では、この制度は実際にどのように運用されているのでしょうか。

3-1. 技能実習実施者について

技能実習生を受け入れる機関は大きく2つにわかれます。

【企業単独型】
日本の企業などが海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する。

【団体管理型】
非営利の監理団体(事業協同組合、商工会など)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業などで技能実習を実施する。

技能実習生を受け入れる機関には2つあり、20167年6月末では企業単独型の受入れが3.6%、団体監理型の受入れが96.4%(技能実習での在留者数ベース)となっています。

参考)厚生労働省 「外国人技能実習制度の現状、課題等について」
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/ginoujisshukyougikai/180323/3_mhlw-genjyoukadai.pdf

3-2. 技能実習の流れ

技能実習生の入国から帰国までの流れは以下の通りです。

 

出典)法務省 入国管理局・厚生労働省 「新たな外国人技能実習制度について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf

受け入れが企業単独型、または団体管理型によって在留資格が異なります。技能実習法の施行で在留期間の延長が可能になるなど変更が加えられました。
では詳細について次節でみていきましょう。

3-3. 技能実習法の大きな変更点

この制度では、技能実習の適正な実施、技能実習生の保護を図るため監理団体が許可制となり、また技能実習生への人権侵害に対する罰則などが整備されました。
大きく変わった点は技能実習制度の拡充です。優良な監理団体、実習実施者と認められれば実習期間をこれまでの3年間から最長5年に延長できます。また受け入れ可能な技能実習生の人数枠についても拡大されました。

技能実習の適正な実施

技能実習の基本理念、関係者の責務及び基本方針の策定

技能実習計画の認定制

実習実施者の届出制

監理団体の許可制

認可法人「外国人技能実習機構」の新設

事業所管大臣などへの協力要請などの規程の整備及び関係行政機関などによる地域協議会の設置

技能実習生の保護

人権侵害などに対する罰則などの整備

技能実習生からの主務大臣への申告制度の新設

技能実習生の相談・通報の窓口の整備

実習先変更支援の充実

制度の拡充

優良な監理団体・実習実施者での実習期間の延長(3年→5年)

優良な監理団体・実習実施者における受入れ人数枠の拡大

対象職種の拡大(地域限定の職種、企業独自の職種、複数職種の同時実習の措置)

技能実習生の人数枠

実習実施者の常勤職員数

技能実習生の人数枠

301人以上

常勤職員総数の20分の1

201人~300

15人

101人~200

10人

51人~100

6人

41人~5

5人

31人~40

4人

30人以下

3人

優良基準に適合している企業単独型・単体管理型の実習者の場合の人数枠

1号(1年間)

2号(2年間)

3号(2年間)

基本人数枠の2

基本人数枠の4

基本人数枠の6

監理団体を許可制、実習実施者を届け出制、技能実習計画を認定制にすることで、技能実習の各段階で不正がないかをチェックできる体制が整いました。認可法人外国人技能実習機構(OTIT)が新設され、技能実習生の支援や保護の窓口として機能しています。
技能実習生について対象職種、人数枠ともに拡大され、より多くの外国人を受け入れる体制が整ったと言えます。

参考)法務省 入国管理局・厚生労働省 「新たな外国人技能実習制度について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf

3-4. 技能実習生数の現状

では、技能実習生数の変遷を見ていきましょう。

出典)厚生労働省 「外国人技能実習制度の現状、課題等について」
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/ginoujisshukyougikai/180323/3_mhlw-genjyoukadai.pdf

2017年末の技能実習生の数は27万4233人、そのうち※技能実習2号(2年目の実習)への移行者数は8万6583人に上っています。

次は在留外国人の総数および永住者です。

 

出典)法務省 「平成29年末現在における在留外国人数について(確定値)」 【平成29年末】確定値公表資料
http://www.moj.go.jp/content/001256897.pdf

技能実習生だけではなく、日本に在留する外国人の数も年々増加しています。このような状況で技能実習生が抱える問題を考えてみましょう。


4. 外国人技能実習制度の問題点

外国人技能実習生が増えている中で以下のような問題も顕在化しています。

・賃金の低さ
日本政策金融公庫の調査によれば、外国人労働者の賃金は正社員の場合、月給22万円超が61.1%、非正規社員の場合、時給901円から1,000円が40.9%であるのに対し、外国人技能実習生は月給18万以下が95.1%、時給850円以下が48.9%とどちらにおいても賃金が低い傾向があります。

・劣悪な労働環境
厚生労働省の2015年の調査では、実習実施機関約5,000のうち、約7割以上で労働基準関係法令上の違反が認められたという結果も出ています。

・行方不明者の増加
公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)の調査では、外国人技能実習生の行方不明者は2011年度の1,000人超から2014年度、2015年度では3,000人超になるなど増加しています。

技能実習法では、この点が考慮され、技能実習生に対する人権侵害行為について禁止規定を設け、違反に対する罰則も規定されました。また、実習生を支援・保護する体制の整備についても同時に行われています。実習生の人権を尊重した労働環境の整備をしていく必要があります。

参考)
法務省 入国管理局・厚生労働省 「新たな外国人技能実習制度について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf
日本政策金融公庫総合研究所 「中小企業における外国人労働者の役割 ~『外国人材の活用に関するアンケート」から~」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings161214.pdf
公益財団法人国際研修協力機構 「国際研修協力機構(JITCO)とは」
https://www.jitco.or.jp/ja/jitco/index.html


5. まとめ

外国人技能実習制度とは、日本で開発された技術や知識などを開発途上国・地域へ移転し、経済発展を担う「人づくり」への協力を目的とする制度です。

2017年に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が従来の法律から大きく変わった点は
(1)技能実習の適正な実施
(2)技能実習生の保護
(3)制度の拡充
が図られたことです。

特に、(3)については、優良な監理団体、実習実施者と認められれば、実習期間の3年間から最長5年への延長、受け入れ可能な技能実習生の人数枠の拡大が可能になりました。
外国人技能実習生が年々増加している一方で、以下のような問題も顕在化しています。
・賃金の低さ
・劣悪な労働環境
・行方不明者の増加

現在、日本では少子高齢化が進み、労働力不足が加速するという深刻な問題を抱えています。技能実習制度が日本の労働力不足を補っているという事実を否定することはできません。今後さらに人口は減少する見込みです。こうした制度を上手に活用しながら対処していく必要があるでしょう。

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