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在宅就業障害者支援制度とは 障害者の働き方を広げる取り組みを紹介

在宅就業障害者支援制度とは、自宅や福祉施設などで就業する障害者に仕事を発注する企業に対して、助成金を支給する制度のことです。

この制度によって、障害者の雇用促進や、労働力確保などが期待されています。
本稿では、この在宅就業障害者支援制度や助成金の内容、制度の課題などについてご紹介します。


1. 在宅就業障害者支援制度とは

在宅就業障害者支援制度とは、障害者雇用促進法、障害者雇用納付金制度に基づいて、自宅や福祉施設などで就業する障害者に仕事を発注する企業に「特例調整金」や「特例報奨金」を支給する制度のことを言います。

また、障害者に直接発注する場合だけでなく、在宅就業支援団体を介して発注した場合にも同様に特例調整金・特例報奨金が支給されます。
これは障害者が雇用される機会を増やし、多様な働き方を実現するための取り組みの一つです。就業できる能力を持ちながら、通勤が困難であるという理由で能力を活かせない障害者にとって、この制度は能力を発揮する機会を作るものと言えるでしょう。

在宅就業支援団体とは

在宅就業支援団体は、在宅就業障害者と発注元の企業との間に立ち、障害者を支援する団体として厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人のことです。

◆在宅就業支援団体登録の要件
・法人であること
・常時10人以上の在宅就業障害者に対して継続的に就業機会の提供、職業講習、就職支援などをしていること
・障害者の在宅就業についての知識や経験を持つ者を3人以上配置すること(そのうち1人は専任管理者とすること)
・支援をするために必要な施設・設備を保有していること

以下は、在宅就業支援団体を介して在宅就業障害者に業務を発注した場合の仕事の流れの例です。

参考)厚生労働省「在宅就業障害者に対する支援」をもとに作成
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000128291.pdf

① 企業が、在宅就業支援団体に業務を発注
② 在宅就業支援団体が、在宅就業障害者に業務を発注(在宅就業契約)
③ 在宅就業障害者は、受注した業務を行う(在宅就業支援団体から必要な援助を受ける)
④ 在宅就業障害者は、在宅就業支援団体に完成物を納品
⑤ 在宅就業支援団体は、納品物を確認し、必要な修正を行う
⑥ 在宅就業支援団体は、納品物を企業に納品
⑦ 企業は、支援団体に報酬を支払う
⑧ 支在宅就業援団体は、在宅就業障害者に仕事の報酬を支払う
⑨ 支援団体は、企業に対して、在宅就業障害者に支払った報酬等を記した証明書を発行
⑩ 企業は、証明書を基に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の各都道府県窓口へ届け出または電子申請
⑪ 同機構から企業に特例調整金・特例報奨金が支給される

在宅就業支援団体は、在宅就業障害者の相談にのるなど障害者が業務を進めるのに必要な援助をします。完成物は在宅就業障害者から直接、発注元の企業に納めるのではなく、支援団体が確認し、必要に応じて修正をした後に企業に納品されます。


2. 制度の対象

在宅就業障害者支援制度の対象となる障害、就業場所などは以下の通り規定されています。

対象障害

・身体障害者
・知的障害者
・精神障害者精神障害者保健福祉手帳所持者

就業場所

・自宅
・障害者が業務をするために必要な施設や設備を持っている場所
・就労移行支援事業を実施する施設など、就労に必要な訓練などが行われる場所
・障害者雇用支援センターなど障害の種類などに応じて職業準備訓練が行われる場所

対象業務

物品の製造、役務の提供、その他の業務が対象となっていて、対象業務に制限はない

(業務の例
字幕作成、インターネット質問整理、ホームページ制作・更新デザイン、HTMLコーディング、CGI作成含む、ホームページ検証、テープ起こし、データ入力、パソコン講習講師、OA機器解体、パソコン修理、中古パソコン販売、データベース設計、プログラム開発、サーバ保守、DTP、執筆・編集、リサーチ、宅急便発送、書類作成、アクセサリー作成、チラシ・パンフレット作成、イラスト制作、画像処理その他

参考) 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 「チャレンジホームオフィス」
http://www.challenge.jeed.or.jp/index.html

対象となる障害は、障害者雇用率制度、障害者雇用納付金制度の対象者のものと同様です。
発注元の事業所が上記の場所にある場合は、障害者に直接、仕事を発注しても制度の対象にはなりません。

>>障害者雇用率制度、障害者雇用納付金制度について、詳しくは「障害者雇用とは 精神障害も加わった改正法の内容と現状を解説」参照


3. 障害者雇用納付金制度と特例調整金・特例報奨金

障害者雇用納付金制度とは、「障害者の雇用の促進等を図る法律」に基づいて設けられた制度です。障害者を雇用する企業に助成や援助をすることで、障害者雇用の促進と職業の安定を図ることを目的としています。

参考)
日本商工会議所・東京商工会議所 産業政策第二部
「2018年4月から障害者法定雇用率が変わります~社会的責任を果たすとともに障害者雇用を企業の「力」に~」
https://www.jcci.or.jp/201804houteikoyo2.pdf
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 「障害者雇用納付金制度の概要」
http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/about_noufu.html

調整金
常時雇用する労働者数が100人超で、雇用している障害者の数が一定数以上の(法定雇用率を達成している)企業に対し、申請に基づき、超過している障害者一人につき月額27,000円が支給されます。

納付金
常時雇用する労働者数が100人超で、雇用している障害者の数が一定数を満たしていない(法定雇用率が未達成)企業は、不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければなりません。
ただし、200人以下の企業は、2015年4月1日から2020年3月31日まで障害者雇用納付金の減額特例(50,000円が40,000円に減額)が適用されます。

特例調整金
調整金を申請した企業および納付金を申告した企業で、前年度に在宅就業障害者または在宅就業支援団体に仕事を発注し、業務の対価を支払った場合は、在宅就業障害者特例調整金が支給されます。

報奨金
常用雇用労働者数が100人以下で、各月の雇用障害者数の年度合計が一定数を超えている企業には申請に基づき、超過している障害者数につき一人当たり月額21,000円の報奨金が支給されます。

特例報奨金
報奨金を申請した企業で、前年度に在宅就業障害者または在宅就業支援団体に仕事を発注し、業務の対価を支払った場合は、在宅就業障害者特例報奨金が支給されます。

年間35万円以上の発注があれば特例調整金および特例報奨金が申請できます。
以前は評価額が105万円でしたが、2015年4月から35万円に引き下げられ、小口の発注でも支給対象になり、制度が利用しやすくなりました。


4. 課題

厚生労働省の調査によれば、法定雇用率を達成した300人以上の企業のうち、在宅就業支援団体や障害者自身への発注は2%という結果が出ています。
また、支援団体や障害者に優先的に発注したいと思うという回答は17%と低調です。

これは、障害者の在宅就業に対する認知の低さから、外注先の選択肢の一つとして認識されていないからと考えられます。

今後、在宅就業支援制度と合わせて、在宅就業支援団体の活動や障害者がどのような業務をどの程度受注できるのかを企業に周知をしていくことが在宅就業を普及させていくために重要でしょう。

参考)厚生労働省 「平成29年度在宅就業障害者マッチング事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000204574.pdf


5. まとめ

在宅就業障害者支援制度は、障害者雇用促進法に基づいて、自宅等で就業する障害者に仕事を発注する企業に対して、「特例調整金」や「特例報奨金」を支給する制度です。

小口の発注も支給対象になり、制度は利用しやすくなりましたが、在宅就業支援団体や障害者に業務を発注する企業はまだまだ低いのが現状です。

今後、在宅就業する障害者の能力や受注できる業務内容、在宅就業支援団体の活動を企業により周知していくことが、制度が普及する鍵となるでしょう。この制度によって、「働きたいけど働けなかった」障害者にも働き方の間口が広がることが期待されます。

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