スメハラを防止するために企業がとりうる6つの対策

最近、「お客様センターや社内のハラスメント相談窓口へ、スメハラの訴えが届く」との声が聞かれるようになってきました。

「店員や担当営業の口臭や香水の臭いが気になって話を聞く気がしない。」、「店の外へ出てほっとした。」といったお客様の苦情は、従業員や企業の努力を無駄にするだけでなく、売上や企業のイメージに影響を与えかねません。

また、「○○さんの臭いが気になって業務に集中できない。」、「面と向かって話をするのがつらい。」など、職場環境への影響も大きく、作業効率の低下や社内のコミュニケーションの悪化、ひいてはチームの士気や企業の業績の低下にもつながります。

しかし、スメハラ問題の根は他のハラスメントと比べ深いものではなく、また対策もとりやすいものが多くあるのも事実です。

スメハラという言葉が社会に認知されるようになってきた今日、従業員個人に任せるのではなく、企業としてどのように取り組めばよいのか。
被害を未然に防ぎ、また実際に起こったときに備え、対策を立てていきましょう。

 

1. 6つの対策

「スメハラの加害者本人に被害を認識させ、根本的に解決する方法」から、「はっきりとは自覚させずに環境を整えて被害を減らす方法」まで、企業としてどのような対策があるのか、代表的なものを以下に挙げました。

ただし、何事も一長一短あるものです。

それぞれの施策のメリット・デメリットを併せて掲載していますので、これらのうち、どれから取り組めばよいか、また他にどのような対策が適しているか、それぞれの企業の事情に照らし合わせ、施策の是非を検討してください。

1. 本人の気づきを促す
2. 会社の規則に定める
3. 部署やフロア単位で習慣づけする
4. 空調機器を充実させる
5. 被害を訴える手段を知らせる
6. 加害者へ適切に伝える

それでは、順に見ていきましょう。

1-1. 本人の気づきを促す

スメハラの加害者は、自身が加害者になっているという自覚がないケースがほとんどです。
「ハラスメントか否かは、受け手の判断による」というハラスメントの性質上、これはある程度はやむを得ないことなのかもしれません。しかし、だからと言って見過ごすことは出来ません。

加害者の行動を止めるには、まず本人がスメハラの事実を認識する必要があります。
ただし、スメハラはデリケートな問題なため、伝え方には注意が必要です。ポイントは2つあります。

【ポイント1.「会社全体の問題」として扱う】
個人の問題ではなく「会社全体の問題」として取り扱います。そうすることで、個人攻撃と受け止められることを防ぎつつ、スメハラの加害者となっていないか自発的に意識させることができます。

【ポイント2. 繰り返し伝える】
この方法は地道で時間もかかりますが、スメハラを問題と認識できる社内文化を作るためには有効な方法です。

また、本人の気づきを促す方法として、エチケット講座やスメハラ教材なども効果的です。最近ではeラーニングを利用し、業務の合間に従業員に受講させる企業も出てきています。この方法も個別の従業員に受講を強制するのではなく、あくまでも全社的な取り組みとして行うことをお勧めします。

1. 本人の気づきを促すメリット・デメリット
メリット 加害者本人による根本的な問題解決を、波風をたてずに図ることができる。
デメリット スメハラの啓蒙が不要な従業員の時間・労力を無駄に費やす恐れがある。

1-2. 会社の規則として定める

「会社全体の問題にする」をより徹底した形として、全社的にルール化する方法があります。就労規則や服装規定などに明文化することで、注意するときも「規則だから」と理由付けしやすくなります。

例えば、「香水は禁止」「昼食後には歯を磨く」「汗をたくさんかいたらデオドラントシートで拭く」などです。

2. 会社の規則として定めるメリット・デメリット
メリット 従業員が行動に移しやすくなる。
デメリット 従業員自ら考え、判断する機会を奪うことにつながり、マニュアル人間の増加や、自主性のある従業員の士気の低下を招く恐れがある。

1-3. 部署やフロア単位で習慣づけする

より小さな単位で、強制ではなく推奨をします。臭い対策以外の出来るだけ肯定的な目的を伝えると賛同を得やすいかもしれません。

例えば、「眠気覚ましのために昼食後、歯磨きをしよう」、「二酸化炭素がたまると眠くなるので、空気の入れ替えをしよう」などです。

3.部署やフロア単位で習慣づけするメリット・デメリット
メリット 気軽に、さりげなく導入できる。
デメリット スメハラ防止に対する企業としての意思表示、という意味では弱い。

1-4. 空調機器を充実させる

サーキュレーターや空気清浄機を設置し、風向きを調整します。

活性炭入りフィルターやイオンの脱臭機能がついているものも売られています。加湿器も兼ねているものなら冬場の加湿も理由にしやすいでしょう。

4.空調機器を充実させるメリット・デメリット
メリット 他の積極的な理由を強調することでさりげなくスメハラ対策ができる。
デメリット ・費用がかかる。(購入費、電気代など)
・手入れが不十分な場合、雑菌が繁殖し不衛生になる恐れがある。

1-5. 被害を訴える手段を知らせる

業務に支障が出るほど深刻な被害の場合、速やかに訴えるべきであるということと、その方法を普段から従業員に周知しなくてはなりません。

1. スメハラは相談すべき問題であること。
2. 本人に直接伝えず、社内の相談先に相談すること。

【1. スメハラは相談すべき問題であること】
被害を受けている従業員は、そもそも相談先に相談してよいということを知らず、自分ひとりで抱えこんだり、周りの従業員を巻き込んで処理したりしようとすることがあります。

しかし、それは問題を却ってこじらせかねません。職場のスメハラはセクハラ、パワハラなどの他のハラスメントと同様、会社として取り組むべき課題であることを伝えましょう。

【2. 本人に直接伝えず、社内の相談先に相談すること】
 冗談めかして言える性格であったり、普段からそのような人間関係を築いている場合を除き、直接、本人に伝えるのはリスクがあります。

組織としての対応に任せるべく、担当部署に相談するよう勧めましょう。
その際、深刻さが把握出来るように、日々被害者が行っている対策やどのような気持ちで仕事をしているかなどを確認するとよいでしょう。

5. 被害を訴える手段を伝えるメリット・デメリット
メリット 不適切な相談相手や不適切な対応による事態の悪化を防ぎ、問題の早期解決につながる。
デメリット 被害者の権利の乱用のおそれがある。(スメハラと言えないケースでも、被害を受けたといった、過剰な反応を冗長するなど。)

1-6. 担当部署として、加害者へ適切に伝える

最後に、担当部署としてスメハラの相談を受けた場合、加害者へ伝える際のポイントを4つ、説明します。
部署の人間から直接伝える場合と、本人の所属により近い適当な人物を介して伝える場合の、いずれを採るかは個々の事情によります。しかし、どちらの場合でもこれらのポイントは有用です。

【ポイント1. 二人きりで伝える】
臭い、特に体臭や口臭など、身体的なことを指摘されるのは本人にとって恥ずかしいことです。周りの人の目を気にしないで済むよう、配慮することで本人も指摘の事実をより受け容れやすく、改善に向けて協力しやすくなるでしょう。

【ポイント2. 加害者本人のことを思っていることを伝える】
個人を非難するのでも、反対にへりくだることも避けます。スメハラ対策をすることで避けられる不利益、得られる利益といった客観的事実を交えながら伝えましょう。

【ポイント3. 具体的な対策を伝える】
スメハラの事実を本人が認識し、対策の必要性を感じたら、次は具体的にどういった対策があるかも伝えられるとよいでしょう。

至れり尽くせりの伝え方は、加害者自身に本人のためを思っていることを認識してもらいやすいですし、何よりすぐに行動に移すことは、問題の速やかな解決につながります。

【ポイント4. 同性から伝える】
臭いは個人的なものです。同性から伝えた方が、本人・伝える側双方にとって心理的負担が少ないでしょう。

どのポイントも本人に恥ずかしい思いを出来るだけさせない配慮と、親身な姿勢が根底にあります。

また、加害者のためを思っているか否かは、言葉の字面そのものだけでなく、口調や表情などからも伝わります。取り繕ったり、媚びへつらうのもよくありませんが、誠意をもって、かつ冷静に対応に当たりましょう。

2. より根本的な対策

臭いは個人的なものであり、同時に多くの場合加害者本人に悪意がないため、指摘しづらいという特徴があります。かといって、注意喚起が過ぎて、自身や周りが加害者になっていないか、気にし過ぎるのもよくありません。

スメハラの一番の対策は、「もしかしたら周りに不快な思いをさせているのではないか」という、周りへの思いやりや心遣いを互いに持つことです。

企業としての対策の根底にあるのは、そのような周囲への気配りや考え方を社内に浸透させることであり、そのために根気よく、従業員を啓蒙し続けていくことなのです。

3. まとめ

具体的には、
1. 全社的に意識を高める(←本人の気づきを促す)
2. 強制力を持たせるべく会社の規則として定める
3. 部署やフロア単位で習慣づける
4. 空調機器の充実により、さりげなく改善を図る
5. スメハラは会社組織へ訴えるべき問題であることをその手段とともに周知する
6. 訴えが合った場合、加害者へ適切に伝える
という6つの対策をご紹介しました。

被害者・加害者が生まれると個人への伝達を検討していかなければなりません。
そうなる前に全社的に意識を持たせることが有効ですが、
制度化にはそれなりの負荷が掛かります。

そういう観点では、eラーニングでスメハラについての教材を全社的に提供し、
繰り返し自覚を促していくといった手法は有効と考えられます。

そして具体的な対策を進めていく際は、根底に「周囲への気配りや思いやり」があるべきです。
そのような社内風土を育てるべく、これらの手法を参考にいち早く対策をとることをお勧めします。

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