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短時間正社員制度とは 多様な働き方をかなえる新しい人材活用法

短時間正社員制度とは、短時間の勤務でも一定の条件を満たせば正社員として扱う制度のことです。

今まで企業はフルタイムで勤務できる人を正社員として雇用してきました。しかし、子育てや親の介護、自身の健康上の理由などにより時間に制約があってフルタイムでは働けない人が増えています。

労働人口が減少している現在、企業としてはこのような従業員が離職するのを防止したり、意欲ある者が活躍できるように職場環境を整えたりする必要があります。これに応えるのが短時間正社員制度です。

本稿では短時間正社員制度のしくみやそのメリット・デメリットなどについて解説します。


1.短時間正社員制度とは

短時間正社員制度は、フルタイムの正社員 と比較して1週間の所定労働時間が短い正規型の社員で、以下の条件を満たす者のことです。

①無期労働契約を締結していること
②時間当たりの基本給および賞与・退職金などの算定方法が、同じ職種のフルタイム正社員と同等であること

子育てや親の介護、自身の健康上の理由だけでなく、ライフスタイルの多様化や就業に対する意識の変化により、フルタイム勤務が適さない働き手に対応するため政府が制度の導入を推進しています。

参考)厚生労働省「短時間正社員制度」導入支援マニュアル~人材活用上の多様な課題を解決
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/navi/pdf/sogo_manual_h27.pdf


2.背景には労働力人口の減少と多様な働き方のニーズ

短時間正社員制度を政府が導入する背景には、少子高齢化の進行による労働力人口の減少があります。

ここで労働力人口の推移を見てみましょう。

労働力人口の推移

出典)厚生労働省 平成29年版厚生労働白書 資料編 厚生労働全般(P15)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17-2/dl/01.pdf

労働力人口は2000年前後から減少に転じています。将来的に労働力人口不足の深刻化が予想されています。

次に、人々の働き方や働くことへの意識の変化、就職できない理由を見てみましょう。
以下は、正規・非正規社員数の推移です。

出典)総務省統計局「労働力調査2017年」(P1)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2017/pdf/summary2.pdf

正規社員の数は2014年を底として、ここ数年は増加傾向ですが、約10年前と同じレベルに回復した状態です。一方で非正規社員の数は年々増加しています。そこで、非正規社員が増加している理由について見てみましょう。

出典)総務省統計局「労働力調査2017年」(P6)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2017/pdf/summary2.pdf

「正規の職員・従業員の仕事がないから」「家計の補助・学費等を得たいから」など、やむを得ず非正規社員で働くというよりも「自分の都合のよい時間に働きたいから」という理由が増えています。男女ともに右肩上がりで増加していますが、女性の方がより顕著です。
 
次に、失業者の仕事に就けない理由の推移です。

出典)総務省統計局「労働力調査2017年」(P9)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2017/pdf/summary2.pdf

「勤務時間・休日などが希望とあわない」という理由が増え、反対に「希望する職種・内容の仕事がない」という理由が減少しています。
決められた時間に働きにくい人が増えていることも非正規社員の数を増加させる理由の一つになっていることがわかります。

人々の多様なライフスタイルに適応した職場環境を整えることによって離職率を下げ、勤務時間が合わないなどの理由で就職できない人を労働力として確保する、政府が短時間正社員制度を推進するのはこうした理由からです。


3.導入の手順・流れ

短時間正社員制度を導入する場合、次のような手順で進めます。
① アンケート調査などで、社員のニーズを把握します。目的を具体化して制度の設計をしますが、目的を限定しすぎないことが重要です。また不公平感が出ないような目的を設定するように留意する必要があります

② 制度の対象となる者、目的に応じて役割を設定します。高齢者の雇用、育児期間中、心身の健康不全対策のため、パートからの転換など、それぞれに応じて検討します。

③ 短時間正社員は勤務時間が短いために仕事量で評価することは適切ではありません。仕事の質や能力・態度などによって評価するようにします。給与に関しては、基本的な考え方はフルタイムの正社員と同様にし、労働時間に比例する額に設定することが基本です。

例えば、フルタイムの正社員の基本給が20万円の場合、労働時間がフルタイムの80%であれば、基本給も20万円の80%(16万円)とします。その他の手当については、手当の趣旨などを考え減額するかどうかについて検討します。

④ 時間の制約のなくなった社員について、フルタイム正社員に転換する制度を設けるかどうかについて検討します。

⑤ 制度を円滑に運用するためには従業員に周知する必要があります。制度の目的や内容、利用の手続き方法、留意点などについてパンフレットやマニュアルを作成して、もれなく伝えるようにします。

⑥ 実際の運用の中で生じた問題点、課題などについて検討し、制度の改善を行っていく必要があります。

導入した短時間正社員制度が定着するためには、対象者やその管理者だけでなく、該当しない従業員であっても制度を理解していることが重要です。
制度を利用する従業員はさまざまな理由を抱えているため、個別柔軟な対応が求められるでしょう。制度が形骸化しないために、担当部署や管理者は「導入して終わり」ではなく、適切に運用されているか定期的にチェックし、改善を図っていく必要があります。


4.短時間正社員制度のメリット・デメリット

短時間正社員制度を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。従業員、企業、社会それぞれの立場でのメリットを見ていきましょう。

短時間正社員制度導入のメリット

従業員

・短時間勤務であってもキャリア形成を実現することができる

・ワークライフバランスを実現することができる

・長時間勤務から解放される

・処遇が改善される(パートと比較して)

企業

・長時間勤務が不可能という理由で働くことができなかった能力の高い人材を確保することができる。

・生産性が向上する

・業務の効率が良くなる

・企業の評価が高くなる

・助成金を受けられることがある

社会

・労働力人口が増える

・仕事と子育ての両立へ貢献できる

・経済の改善に繋がる

仕事への意欲はあっても離職せざるを得なかった従業員、優秀な人材をつなぎ留められなかった企業、労働力人口の減少という社会の流れに対する一つの解決策として短時間正社員制度は有効です。

一方、デメリットとして以下のようなことが考えられます。

短時間正社員制度導入のデメリット

従業員

・フルタイムの正社員とあつれきを生じる可能性がある責任の違い、残業時間、不公平感など)

・正社員とはいえ、管理職などへの昇進は現実的に難しい

・責任が増えることによるストレス(パートからの転換など)

・短時間で他の正社員から認められるような仕事をする必要がある

・役割によってはモチベーションが低下する場合がある

・他の従業員が仕事しているときに退社するストレス

・誰でも利用できるわけではない

・給料が下がる(基本的に残業はできないので、残業代で稼ぐこともできない)

企業

・必要な経費が増える

・新しい制度の策定や就業規則、マニュアルの作成など事務的な作業が増える

・従業員間のあつれき解消のための対策など、努力が必要となる。

社会

・社会にとって大きなデメリットはない

 実際に短時間正社員になると、業務の内容や求められるもの、仕事に対する責任の重みが変わったりすることもあり、それらが新たなストレスの原因となる場合もあります。

短時間正社員制度は総じてメリットの多い制度と言えるでしょう。しかし、まだ短時間正社員制度が浸透していない現段階では、制度の導入により従業員間のあつれきが生じるなどのトラブルを招く恐れもあります。したがって、導入にあたっては、すべての従業員に対して、社会的な意味も含めて短時間正社員制度への十分な理解を促すことが重要です。


5.まとめ

短時間正社員制度は、フルタイムの正社員と比較して短い勤務時間の従業員を正社員として扱う制度です。

短時間正社員制度を導入するメリットは主に次のようなことです。
従業員
・キャリア形成を実現することができる
・ワークライフバランスを実現することができる
企業
・時間の制約により働けなかった能力の高い人材を確保することができる。
・生産性が向上する
・業務の効率が良くなる
社会
・労働力人口が増える

デメリットとして以下のことに注意する必要があります。
従業員
・フルタイムの正社員と軋轢を生じる可能性がある
・責任が増えることによるストレス
企業
・新しい制度の策定や就業規則、マニュアルの作成など事務的な作業が増える

現在、少子高齢化の進行とそれにともなう労働力人口の減少が深刻化しつつあります。また人々のライフスタイルや就業への意識も多様化しており、企業としてはこれらの動きに合わせた、さまざまな働き方ができる環境の整備が急務です。

今後、短時間正社員制度をうまく活用していくためには、制度の目的やその社会的な意味などについて十分に周知し、対象者や管理者、担当部署の従業員だけでなく周囲の従業員からも理解を得ることが重要でしょう。
 

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