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心理的安全性とは Googleが発見した成功するチームの作り方

心理的安全性とは、チームメンバーに非難される不安を感じることなく、安心して自身の意見を伝えることができる状態のことです。

働き方改革では、ダイバーシティインクルージョンが推進されています。
多くの企業が外国人の採用や女性の管理職登用に力を入れており、多様性を活かした企業運営が試みられています。
その中で、
「チームメンバーがお互い遠慮しているようで、議論が活発にならない」
「せっかくさまざまな背景を持った従業員がいるのだから、もっとチームメンバーが関わり合い、パフォーマンスを高めていきたい」
ということはありませんか?

多様な人材を採用する段階を過ぎ、次は従業員それぞれの強みを活かし、チームとして、ひいては企業として生産性を高めていくにはどうすれば良いのか、検討中の企業も多いのではないでしょうか。
色々なアプローチが考えられますが、Google社の調査では、チームの心理的安全性を高めることが最も重要であるという結果が出ています。

本稿では、心理的安全性を高めるメリットやその方法、注意点について解説します。


1. 心理的安全性とは

心理的安全性とは、チームメンバーに非難される不安を感じることなく、安心して自身の意見を伝えることができる状態のことです。
「安心して自然体の自分自身をさらけ出せる」「遠慮なく発言できる雰囲気がある」状態と言い換えることもできます。
心理的安全性が高いチームは、お互いを尊重して助け合う意識が高いのが特徴です。「こんな簡単なことを相談したら怒られる」という不安がないので何でも気軽に相談でき、仕事に失敗しても、非難せず受け入れてくれると安心していられるのです。もともとは心理学の用語ですが、Google社の調査の結果、この安心感=心理的安全性がチームの生産性を高めるために最も重要な要素であることが判明し、注目を集めました。


2. Google社が発見した成功するチームの特徴

心理的安全性が注目されるきっかけとなったのが、Google社の「Project Aristotle」というプロジェクトによる「効果的なチームを可能とする条件は何か」についての社内調査です。
調査の結果、個人のパフォーマンスのレベルや性格、仕事量、在職期間などはそれほど影響していませんでした。「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が重要であることが明らかになったのです。そして、チームの効果性に影響する5つの要素が発見されました。

参考) Google re:Work 「効果的なチームとは何か」を知る 効果的なチームに固有の力学を突き止める
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/

2-1. チームの効果性に影響する5つの要素

Google社の調査によると、チームの効果性を高めるには次の5つの要素が重要であるとされています。

サイコロジカル・セーフティ(心理的安全性 )
チームメンバーがリスクを取ることを安全だと感じ、お互いに対して弱い部分もさらけ出すことができる
② 相互信頼
チームメンバーが他のメンバーが仕事を高いクオリティで時間内に仕上げてくれると感じている
③ 構造と明確さ
チームの役割、計画、目標が明確になっている
④ 仕事の意味
チームメンバーは仕事が自分にとって意味があると感じている
⑤ インパクト
チームメンバーは自分の仕事について、意義があり、良い変化を生むものだと思っている

出典) Google re:Work 「効果的なチームとは何か」を知る 効果的なチームに固有の力学を突き止める
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/

2-2. 心理的安全性がすべての土台となる

Google社の調査では、上記の5つの中で最も重要な要素は心理的安全性で、他の4つの要素の土台であるとされています。
同調査では、心理的安全性の高いチームのメンバーの特徴として
・離職率が低い
・チームメンバーが発案した多様なアイディアをうまく利用することができる
・マネージャーから評価される機会が 2 倍多い

ということが挙げられています。

チーム内で気兼ねなく発言できる、自然体の自分をチームメンバーが受け入れてくれる、という安心感により、職場に居心地の良さを感じて長く働きたいと考えたり、仕事の効率が上がったりしたと考えられます。

企業によっては、従業員同士を協力させるより競争させるほうが業績アップにつながると考える場合もあるでしょう。しかし人材不足の中、限られた人数で継続的に成果を出し続けるには、従業員のメンタル面の安定をはかりエンゲージメントを高めていくことが重要になってきます。以下で心理的安全性を高める具体的なメリットを整理していきます。

参考)
Google re:Work 「効果的なチームとは何か」を知る 心理的安全性を高める
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/
Google re:Work The five keys to a successful Google team
https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/


3. 心理的安全性を高めるメリット

心理的安全性を高めると、以下のようなメリットがあります。

3-1. 企業側のメリット

企業側には、以下のようなメリットがあります。

① 生産性の向上
斬新な提案や、皆と異なる意見でも受け入れてくれるという安心感があるため、議論が活発になったり、新しいアイディアが生まれやすくなったりします。結果として仕事の効率が上がり、生産性の向上につながります。

② 優秀な人材の確保
チームメンバーが自分を受け入れてくれるという安心感がある状態は、居心地がよく、実力を発揮しやすい環境です。信頼できるチームメンバーと共に、居心地のよい職場で長く働きたいと思うのは自然なことでしょう。Google社の調査結果でも、離職率が低くなることが証明されています。

③ 問題の早期発見・解決
チームメンバーが気兼ねなく発言できるため、何気ない雑談が増えコミュニケーションも円滑になり、自然に情報共有がされるようになります。課題や問題についても率直に指摘しやすい状態のため、問題があっても発見が早く、解決策の検討が早い段階からできるようになります。

生産性の向上や優秀な人材の確保は、労働人口が減少し続ける日本で多くの企業にとって重要な課題です。心理的安全性を高めることは、持続的に企業を成長させ続けるために有効な手段となるでしょう。

3-2. 従業員側のメリット

従業員側には、以下のようなメリットがあります。

① QOLの向上
QOL(Quality of Life)は生活の質を表す言葉で、やりがいのある仕事や良好な人間関係はQOLを向上させる重要な要素です。職場の人間関係のトラブルは大きなストレスになりがちですが、心理的安全性が高いチームではお互いを尊重して助け合うという意識が高いため、良好な人間関係を保ちやすく、QOLの向上につながります。

② 自身の実力を発揮できる
チームメンバーに受け入れられるために自身を取り繕う必要がなく、また、失敗しても非難されることがないと信じられる環境は、仕事に集中でき、自身の実力を思う存分発揮しやすい状態と言えます。さらにチームメンバーと協力して仕事に取り組むことで、仕事のやりがいも感じやすくなります。

③ 将来のキャリアプランが明確になる
信頼できる仲間とやりがいのある仕事ができる環境は、長く働ける職場と言えます。
チームや企業の将来を見据えて「この仕事に力を入れてもっとパフォーマンス高めていこう」、「将来のために○○の資格を取っておこう」など、具体的な目標やキャリアプランを立てることができます。

気兼ねなく発言でき、リスクを冒して失敗しても受け入れてもらえるという安心感によりメンタル面が安定し、積極的に仕事に取り組めるようになります。チームメンバーの顔色をうかがいながら仕事をする場合と比べると、格段にパフォーマンスが向上し、生産性も高まるでしょう。


4. 心理的安全性を高めるには

では、心理的安全性を高めるにはどうすればよいのでしょうか。
色々な方法がありますが、まずはチームメンバーに対して抱える4つの不安を解消することが鍵となります

4-1. 4つの不安とは

以下のような不安を感じながら仕事をしていると心理的安全性が低くなり、パフォーマンスや生産性に悪影響を及ぼします。

① 無知だと思われる不安
「こんな簡単なこともわからないのか」と思われる不安があると、わからないことがあっても質問や相談がしづらくなってしまいます。その結果、いつまでもわからないままにしていたり、相談しなかったことで重大なミスを起こしたりする可能性もあります。

② 無能だと思われる不安
能力不足によりできないことがあったときに「こんなこともできないのか」と思われる不安があると、ミスを隠したり、間違いを認めなかったりしてしまいます。のちにミスが発覚し、より重大なトラブルに発展する可能性があります。

③ ネガティブだと思われる不安
「あの人は消極的でいつも否定的だ」と思われる不安があると、現状の改善を考えた前向きな意見であっても、少しでも否定的な内容が入っていると発言をためらうようになります。問題の早期発見や解決が難しくなってしまうでしょう。

④ 邪魔をしていると思われる不安
「あの人のせいで議論が脱線した」、「いつもミーティングを長引かせる」と思われる不安があると、発言を控えるようになってしまいます。新しいアイディアが出てこなくなり、議論が停滞してしまうでしょう。

このような不安があると、常にチームメンバーの顔色をうかがい、必要な相談や発言さえするのを迷うような環境で働くことになります。従業員は自身の実力を最大限に発揮することが難しくなり、パフォーマンスや生産性も向上せず、よくない雰囲気の中で不安を抱えて働く……という悪循環に陥ってしまうのです。

参考)
Building a psychologically safe workplace | Amy Edmondson | TEDxHGSE
https://www.youtube.com/watch?v=LhoLuui9gX8

4-2. 4つの不安を取り除く方法

4つの不安を取り除いて心理的安全性を高めるには、以下のような方法があります。

① 均等な発言機会を設ける
組織では、多数派や立場の強い人の意見が通りがちです。しかし、心理的安全性を高めるためには、チームメンバー全員が対等な立場で発言できる機会があることが重要です。
これには、すべての従業員が対等に仕事に参画する機会があり、能力や考え方の違いを受け入れるというインクルージョンの考え方が参考になるでしょう。多様な価値観を受け入れ活かすという意識があれば、「邪魔」の不安が解消され、新しいアイディアが出やすくなり、議論も活発になります。

② 助け合う環境を作る
失敗しても受け入れてもらえる、チームのメンバーとして認めてもらえるという安心感があると、心理的安全性が高まります。「わからないことや失敗することは誰にでもある」という意識をチーム全員が持つことで、自然とお互いに助け合う雰囲気が生まれ「無知・無能」の不安を解消できます。チームメンバーの協力を促す施策のひとつとして、従業員同士で感謝の気持ちや賞賛を評価・報酬として与えあう、ピアボーナスが挙げられます。

③ ポジティブな思考を意識する
否定的な考えから指摘をし続けると、チームの雰囲気が悪くなってしまいます。チームメンバー全員が物事を前向きに考え、ポジティブな発言や受け答えを心がけることで、「ネガティブ」の不安を解消することができます。例えば、「こんな提案をしたら皆に変に思われるかも」という不安を「今までになかった視点からの提案として何かの役に立つかも」という前向きな発想に変換するということです。

④ 風通しの良い組織を作る
日本の企業は長らく年功序列の体制をとっていました。そのため一般の従業員が役職者と本音で話したり、意見を言ったりするのを躊躇してしまうのはよくあることです。は抵抗があるのが普通です。しかし、心理的安全性を高めるにはコミュニケーションの円滑化が欠かせません。年齢や役職に関係なく、対等にコミュニケーションが取れる雰囲気を作ることが必要です。

⑤ チームメンバーの見直し
さまざまな方法を試してもうまくいかない場合は、チームメンバーの見直しをしてみましょう。チームメンバー同士の相性がよくないとコミュニケーション不全となり、心理的安全性を高めることが難しくなってしまいます。

自身の発言や行動に対するチームメンバーの反応についての不安を解消することが、心理的安全性を高め、パフォーマンスや生産性の向上につながります。


5. 心理的安全性を高める際の注意点

心理的安全性を高めようとする際は、以下の2点に注意が必要です。

① チームを「ぬるま湯」状態にしない
心理的安全性が高いチームでは、従業員は自身を取り繕うことなく、リラックスして仕事に取り組むことができます。このこと自体は大変なメリットですが、この状態を「安心して仕事に全力投球できる環境」ではなく「ぬるま湯」と認識し、楽をしようと考える従業員もいるかもしれません。チームリーダーは、メンバーそれぞれに役割や責任を与えたり、目標を設定させるなど、前向きに仕事に取り組めるような工夫をすることが必要です。

② リーダーが適切に役割を果たす
チームリーダーの中には、メンバーにストレスをかけるのではと、指導や注意をためらう人もいるかもしれません。しかし、それは逆効果です。誰かがつまずいたとき、軌道修正したり助け舟を出してくれたりする人がいなければ、個人やチームの生産性を向上させることは難しいでしょう。リーダーや上司には、メンバーの能力を理解して引き出し、適切なサポートをする役目が求められています。例えば、上司と部下が1対1で話をする1on1ミーティングを実施することで部下の状況や能力を把握でき、指導に役立てられます。

リラックスして仕事に打ち込める環境を維持しつつ、締めるところは締めていく、ということがポイントになります。


6. まとめ

心理的安全性とは、チームメンバーに非難される不安を感じることなく、安心して自身の意見を伝えることができる状態のことです。

「安心して自然体の自分自身をさらけ出せる」、「遠慮なく発言できる雰囲気がある」状態と言い換えることもできます。
心理的安全性が高いチームではどんな簡単なことでも気軽に相談でき、仕事に失敗しても、他のメンバーに非難されることはないと安心していられます。Google社の調査の結果、この安心感=心理的安全性が、チームの生産性を高めるために最も重要な要素であることが判明し、注目を集めました。

Google社の「効果的なチームを可能とする条件は何か」についての社内調査では、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が重要であることが明らかになりました。
チームの効果性を高めるには次の5つの要素が重要であるとされています。
① サイコロジカル・セーフティ(心理的安全性)
② 相互信頼
③ 構造と明確さ
④ 仕事の意味
⑤ インパクト
上記の5つの中で最も重要な要素は心理的安全性で、他の4つの要素の土台であるとされています。

心理的安全性を高めると、以下のようなメリットがあります。

●企業側のメリット
① 生産性の向上
② 優秀な人材の確保
③ 問題の早期発見・解決

●従業員側のメリット
① QOLの向上
② 自身の実力を発揮できる
③ 将来のキャリアプランが明確になる

心理的安全性を高めるには、まず以下の4つの不安を取り除くことが重要です。
① 無知だと思われる不安
② 無能だと思われる不安
③ ネガティブだと思われる不安
④ 邪魔をしていると思われる不安

4つの不安を取り除き、心理的安全性を高めるには、以下のような方法があります。
① 均等な発言機会を設ける
② 助け合う環境を作る
③ ポジティブな思考を意識する
④ 風通しの良い組織を作る
⑤ チームメンバーの見直し

心理的安全性を高めようとする際は、以下の2点に注意が必要です。
① チームを「ぬるま湯」状態にしない
② リーダーが適切に役割を果たす

心理的安全性を高めることは、チームの生産性を高め、持続的に企業を成長させ続けるために有効な手段です。働き方改革の推進とともに従業員の意識改革が求められているこの機会に、自社に合った心理的安全性の高め方を検討してみてはいかがでしょうか。

参考)
Google re:Work 「効果的なチームとは何か」を知る
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/
Google re:Work The five keys to a successful Google team
https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/
Building a psychologically safe workplace | Amy Edmondson | TEDxHGSE
https://www.youtube.com/watch?v=LhoLuui9gX8

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<教材目次>
第1章 理解度チェック

第2章 チームとは何か?
 第1節 なぜチームなのか?
 第2節 ビジネスの環境とチーム
 第3節 チームの基本
 第4節 チームが価値を創造するメカニズム

第3章 チームビルディングの方法
 第1節 チームビルディングのプロセス
 第2節 チームのリーダーシップ
 第3節 チームが行き詰まる原因と対策
 第4節 なぜチームビルディングは難しいか

第4章 リーダーの役割
 第1節 目的のフレーミング
 第2節 心理的安全の確保
 第3節 失敗のフレーミング
 第4節 リーダーシップの実例

<章末コラム> 西尾教授が解説 いまどきの若手社員との付き合い方

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