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パワハラとは 職場環境を悪化させる6つの行動はあなたも無関係ではない?

パワーハラスメント(パワハラ)とは、例えば「上司が部下に嫌がらせをする」など、自身の権力や立場の優位性を利用して相手にさまざまな苦痛を与える行為のことを指します。一言でいうと「会社や組織内でのいじめ」とも言えるでしょう。

最近、毎日のようにパワハラに関するニュースが流れています。特にスポーツ界や芸能界のパワハラが注目を集め、世間をにぎわせていますが、問題視されているのはそれらの世界にとどまらず、報道の目が届きにくい一般の職場や学校まで広範に及びます。

パワハラを放置することによって職場の雰囲気が悪化し、結果的に職場の生産性の低下、社員の仕事への意欲や自信の喪失につながります。そして、時には社員が心身の健康を悪化させたり、命の危険にもさらされたりする場合があり、貴重な人材を喪失することにもなりかねません。

また、従来の日本型企業によく見られた年功序列、男性中心の職場は、実力主義の浸透や、働く女性の進出により崩壊しつつあり、職場内の立場も多様化が進んできています。そうした時代において、パワハラは単に「上司と部下」の間だけに起こりうる問題ではなくなっているといえるでしょう。

本稿ではパワハラについて、特に職場のパワハラに焦点を当てて具体例を挙げながら解説していきます。

参考)
厚生労働省 「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会 報告書」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11910000-Koyoukankyoukintoukyoku-Koyoukikaikintouka/0000201236.pdf
産経ニュース 「パワハラ規制できるの? 『大山鳴動、ネズミ一匹出ない』 法制化困難」
https://www.sankei.com/life/news/180418/lif1804180001-n1.html


1. パワハラとは?その定義と背景

そもそもパワハラとは具体的にどういうことを言うのでしょうか。
ここでは、パワハラの定義と併せて、なぜパワハラが起こるのか、問題の背景について説明していきます。

1-1. パワハラの定義

厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」(2012年)では、パワハラは以下のように定義されています。

「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。」

参考)
厚生労働省 「あかるい職場応援団」パワハラの定義
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/definition/about

職場に限らずあらゆる組織において、優位性つまり「パワーの差」を背景にして生じるいやがらせ行為をパワハラと呼ぶことができるでしょう。

1-2. パワハラの現状

都道府県労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談 は、2002年度には約6,600件であったものが、2010年度には約3万9,400 件と、年々急速に増加しています。

さらに、労働者を対象に行われた調査では、職場のいじめ・嫌がらせが一部の限られた労働者だけの問題ではなく、働く人の誰もが関わりうる可能性があることが示されています。誰もが関わりうるというのは、被害者になりうるだけでなく、加害者にもなりうるということです。

加害者にもなりうる、というと意外に思われた方もいらっしゃるかもしれません。なぜ加害者にもなりうるのでしょうか? 次にパワハラが起こる背景を見ていきましょう。

参考)
厚生労働省 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」報告
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000021i2v-att/2r98520000021i4l.pdf

1-3. パワハラが起こる背景

「職場内での優位性」とは、単に上司-部下の関係にとどまらず、先輩-後輩の関係、同僚同士、さらには部下から上司に対してさまざまな優位性を背景に行われるものも含まれています。

その他にも、正社員と契約社員などの地位の上下、男性と女性の性差、能力の高低、経験の有無、さまざまな立場関係により、それぞれが優位性や劣位性を感じ、優越感や劣等感を抱くことがパワハラのきっかけ引き金になり得ます。

そのように「差」を感じることで、他人や自分の尊厳を否定してしまったり、自分とは違う多様性を持った他者の個性を否定してしまったり、他者の能力・成長を妬ましく感じてしまったりすることなどがパワハラに発展する可能性を含んでいます。

こうした感情は誰しもが持っています。そのため、職場の誰もが行為者にも被害者にもなりうるのです。

本来、上記のような人間関係の中に、人としての「上位と下位」という区別はありません。なぜなら日本の憲法に記されているように「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」からです。

しかし、職務上や能力上で自分が上位にあると感じた場合、人は無意識に差別意識を持つことがあります。この無意識な差別意識こそが、優位的権力につながり、相手に精神的暴力をふるう可能性があります。

私たちは立場の違いにより生じる無意識の差別意識により、誰でも被害者にも、また加害者にもなるうることを認識しておく必要があるということです。

参考)
厚生労働省 「あかるい職場応援団」 裁判例を見てみよう
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/judicail-precedent/archives/53


2. パワハラの6類型

いろいろな人間関係性から生まれるパワハラ。具体的にはどんな行為が当てはまるのでしょうか。

厚生労働省は、2012年1月にパワハラの典型的な6類型を示しています。もちろんこれ以外のパワハラにも十分注意すべきことを念頭に置いて、以下パワハラの6類型を確認していきたいと思います。


出典)
厚生労働省 「あかるい職場応援団」 パワハラの6類型
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/

2-1. 身体的な攻撃

叩く、殴る、蹴るなどの直接的な暴行を指します。髪を引っ張る、胸ぐらをつかむ、あるいは長時間正座をさせて物で頭を叩くなどの行為によって、部下や同僚を威嚇し、従わせようとした例があります。

2-2. 精神的な攻撃

精神的な攻撃とは、脅迫したり、侮辱したり、精神的にダメージを与えるものです。「辞めてしまえ」など、社員としての地位を脅かす発言をしたり、同僚の目の前で叱責する、必要以上の長時間にわたり、繰り返し執拗に叱ったりする例があります。

業務上必要な注意などと混同されがちですが、こうした暴言などによる精神的な攻撃は原則として業務の適正な範囲を超えており、パワハラに該当します。

2-3. 人間関係の切り離し

人間関係の切り離しとは、仲間はずれ、無視など個人を疎外する行為です。あいさつしても無視する、報告をしても反応しない、あるいは他の社員に関わらないように言って仲間はずれにする、別の部屋に隔離するなどの例があります。

必要もないのに、無視や仲間外しなど仕事を円滑に進める妨げになる行為をすれば「人間関係からの切り離し」型のパワハラとなります。

2-4. 過大な要求

業務上明らかに関係のない業務を言いつける、能力や経験を上回る無理難題を押しつける行為を「過大な要求」型のパワハラといいます。他の社員よりも著しく多い業務量や、過剰なノルマを強いることがこれにあたります。また、私用の買い物を言いつける、車での送迎を強要するなど、業務とまったく関係のない私的なことを強制する行為も含まれます。

2-5. 過小な要求

過大な要求とは逆に、その社員の能力・経験から明らかにレベルの低い業務を指示する、「お前はもう仕事をするな」と言って仕事を与えずに放置するなど、仕事を与えないというのもパワハラに該当します。たとえば、バスの運転手に対して、公道での軽い事故の懲罰として1カ月にわたって草むしりだけをやらせた例もあります。

2-6. 個の侵害

プライベートなことを業務の範囲を超えて聞き出すこと、干渉することは、個の侵害、私的なことへの過度な立ち入りとみなされます。

たとえば、家庭のことや信仰する宗教など業務とは無関係なことを根ほり葉ほり聞き出す、管理職として立場の優位性を利用して私生活や休日の予定を聞く、有給休暇の許可を与えない、携帯電話やロッカーなどの私物を覗き見たりすることなどが該当します。

以上、パワハラの典型である6つの類型を確認しました。もちろん、パワハラに当たりうるすべてを網羅しているものでありませんので、これに該当しないから問題がない、ということではありません。

上記を参考に、業務の性質や企業文化などの影響も考慮しつつ、業務の適正範囲を超えているものがないか、職場内での認識を揃え、その適正範囲を明確にすることが大切です。

というのも、現在の多様化した社会では、「以心伝心」「察する」という言外のコミュニケーションだけでは共通の認識を持つことは大変難しいからです。業務上の必要な指示や指導・注意の適正な範囲はどこまでなのかを明確にし、全員に共通の認識を持たせる取り組みが必要となるでしょう。

参考)
厚生労働省 「あかるい職場応援団」 パワハラの6類型
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/


3. 職場で起こるパワハラの実態調査

6つの類型でパワハラの種類を見てきましたが、実際、職場ではどのような問題が起こりやすいのでしょうか。次に、実態調査の結果を見てみましょう。

3-1. パワハラを受けた経験のある従業員は4人に1人

厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」で9,000人を対象に実施されたアンケートによると、過去 3 年間にパワハラを受けた経験がある従業員は回答者全体の25.3%(2,277人)、つまり4人に1人の割合に上っていることが分かりました。

受けたパワハラの内容について、6類型別に見ていくと、「精神的な攻撃」が全体に対して55.8%と突出して多く半数以上に上りました。次いで「過大な要求」(28.7%)、「人間関係からの切り離し」(24.7%)、「個の侵害」(19.7%)、「過小な要求」(18.3%)、「身体的な攻撃」(4.3%)と続きました。


参考)
厚生労働省 「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」54ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t-att/2r9852000002qx9f.pdf

3-2. 企業内のパワハラは「精神的な攻撃」が7割

企業の人事、あるいは社内・社外に設置された相談室に寄せられるパワハラの内容や当事者の関係は、前述の従業員調査においてもほぼ同様の結果が示されています。

「精神的な攻撃」が69.6%と最も多く、「人間関係からの切り離し」(21.2%)、「過大な要求」(16.8%)「個の侵害」(15.4%)、「身体的な攻撃」(14.7%)、「過小な要求」(7.2%)の順となっています。

またパワハラが起こった当事者同士の関係は、「上司から部下へ」、「先輩から後輩へ」、「正社員から正社員以外へ」といった立場がより上位者から下位者へのパワハラ行為が大半を占めるという結果となりました。

前述の通り、パワハラは、立場的な優位性・劣位性による差別意識や自身の立場の優位性、プライドを保ちたいという弱い心がきっかけとなる場合が多くあります。現在の多様化した社会においては、互いの立場への理解が深まらなければ、誰しもがパワハラの行為者、被害者となりうる可能性があるということです。

参考)
厚生労働省 「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」13ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t-att/2r9852000002qx9f.pdf


4. まとめ

パワハラの定義と実態について解説してきました。
パワハラとは、自身の権力や立場の優位性を利用して相手にさまざまな苦痛を与える行為のことです。

パワハラを生む「優位性」は、単に上司-部下の関係にとどまらず、先輩-後輩の関係、同僚同士、さらには部下から上司に対してなどさまざまな関係性から生じ得ます。自分を立場的に優位に見せたい、立場が下の人間を見下すことでプライドを保ちたい、という心が原因となることがあるのです。

このため、パワハラは、どの企業でも、誰にでも起こりうるということを従業員全員が頭に入れておく必要があります。

パワハラを考えるうえで忘れてはならないのは、人間関係の中に「上位と下位」という区別は本来「ない」ということです。しかし、さまざまな人間関係の中で感じる優位性から無意識に差別意識が生まれ、それがパワハラにつながっていくのです。

パワハラと認められる行為は6つに類型されています。

(1) 身体的な攻撃
叩く、殴る、蹴るなどの直接的な暴行。また、それによって、部下や同僚を威嚇し、従わせようとすること。

(2) 精神的な攻撃
脅迫したり、侮辱したり、精神的にダメージを与えること。

(3) 人間関係の切り離し
仲間はずれ、無視など個人を疎外すること。

(4) 過大な要求
業務上明らかに関係のない業務を言いつける、能力や経験を上回る無理難題を押しつけること。

(5) 過小な要求
その社員の能力・経験から明らかにレベルの低い業務を指示すること。

(6) 個の侵害
プライベートなことを業務の範囲を超えて聞き出すこと、干渉すること。

厚労省の実態調査では、パワハラ被害にあったという人は4人に1人の割合に上っており、そのうち半数以上が「精神的な攻撃」を受けたと回答しています。

こうした事態を改善するには、適正な業務範囲を超えたパワハラはどこからなのか明確に範囲を取り決めること、同時に互いの立場への理解を深めることが大切です。こうした取り組みを職場の全員が協力して行い、よりよい職場環境を作り上げていきましょう。

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