あなたの命を縮めるかもしれない 睡眠不足が引き起こす病気9例

「多少睡眠不足が続いても、まだ若いから大丈夫」

そんなふうに思って無理を続けていませんか?

確かに若いうちは体力があるので、多少の無理が効きます。でも、それゆえに睡眠不足が常態化してしまいがち。さらに、睡眠を軽視する生活習慣が定着してしまうと、年をとってもなかなか直せません。

これはあなたの「睡眠人生」にとって最悪のシナリオです。その先には何があるのでしょうか。

本稿では、睡眠不足が実際にどんな病気を引き起こす原因となり得るのか、病名を挙げて具体的に説明します。

寝不足があなたの寿命を縮めてしまうかもしれないことを認識し、体力任せに無理な徹夜をしたり、眠気を仮眠で誤魔化すのはやめて、健康的な生活習慣を身に付けましょう。

なお、仕事の効率も含め、健全な社会生活を送るためにいかに睡眠が大切かということについては、「『寝る練習』で睡眠効率を上げて脳を活性化し、仕事のパフォーマンスを上げる方法」「寝だめでは解消できない睡眠負債を上手に『返済』するテクニック」をご参照ください。


1. 睡眠不足と直接関係がある病気

まず、睡眠不足で体調を崩すことが病気の引き金となる点で、比較的直接影響を及ぼすものを紹介しましょう。

睡眠不足が続くと、睡眠中に分泌される成長ホルモンの絶対量が少なくなるため、身体の細胞を修復したり新陳代謝を促したりすることができにくくなります。つまりホルモンバランスの影響で、病気にかかりやすい身体をつくってしまうわけです。

1-1. 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)とは、睡眠時に喉の気道が塞がってしまうことより、10~20秒程度呼吸が止まってしまう病気です。医学的には、この無呼吸状態が、一晩の間に30回以上起きたときにSASと診断されます。大きないびきをかくのが特徴で、睡眠中に苦しくなって何度も目が覚め、睡眠の質が下がって睡眠不足をさらに増長させてしまいます。

直接の原因はホルモンの異常による肥満です。喉の回りについた脂肪が寝るときに気道を狭め、呼吸を一時的に止めてしまうのです。

スタンフォード大学医学部やコロンビア大学医学部の調査で、睡眠時間の短い人は食欲増進ホルモンであるグレリンが増加し、抑制効果のあるレプチンが減少することがわかっています。これによって脳がエネルギー不足だと判断して空腹を感じさせ、食事の量が満たされているにもかかわらず、さらに飲食を促します。

SASは特に中高年の男性に多い症状で、肥満となるリスクが高く、メタボ体型となってしまうのです。そして喉回りについた脂肪が、睡眠中に喉を締め上げ、呼吸をしにくくさせ、睡眠の質を著しく低下させます。起きたときには睡眠不足になっているので、体温が上がりにくくなります。

また睡眠中に酸素不足を起こしているために心拍数が上がり、脳や身体に負担がかかって午前中のパフォーマンスも低下します。毎日、この繰り返しになると、別の病気を引き起こす原因になってしまいます。

1-2. むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

夜になると、足に虫がはっているような感じやかゆみがあり、気持ち悪さやイライラによって眠れなくなり、結果的に寝不足を引き起こしてしまう病気です。睡眠が影響するというよりも、この病気によって睡眠が阻害されるという点で関連があるため、多少方向性が異なりますが、この章に分類しました。

むずむず脚症候群については、いまのところはっきりとした原因はわかっていません。一応、「遺伝」「ドーパミン(神経伝達物質)の異常」「鉄分不足」などが原因なのではないかと推測されている段階です。男性よりも女性、また若い人よりも中高年に多い傾向があります。

原因がわからないため治療も明確にはなっていませんが、基本的に規則正しい生活と睡眠、鉄分と鉄分吸収を促すビタミンCを含む、栄養バランスの整った食事、寝る際に明かりなどの刺激を避け、枕の高さや気温、湿度など、眠りに落ちやすい状況を演出することが改善方法として挙げられています。

不眠のセルフチェック

 

田辺三菱製薬株式会社が運営している「Suimin.net」という睡眠関連のWebサイトがあります。

 

http://www.suimin.net/step3/type/

 

こちらに「あなたの不眠はどのタイプ?」という簡単なチェックシートが掲載されており、睡眠が原因となる病気の可能性を調べることができます。睡眠障害の結果が出た場合、その次に「危険度チェック」という次の段階のチェックシートが表示されます。

 

これらで睡眠状態のチェックをしてみると、睡眠に関するあなたの問題点が見つかるかもしれません。

 

ただし、あくまで簡易的なものなので参考程度にとどめ、気になることがあったら専門医に診てもらってください。


2. 睡眠不足による生活の乱れが影響する病気

睡眠不足や不規則な生活をずっと続けていると、生活リズムが乱れ、体内時計がおかしくなって体調を崩し、結果的に生活習慣病の原因のひとつとなることがわかっています。

2-1. 生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧)

睡眠不足によって肥満が増長されることがわかっていますが、生活リズムが狂い、食生活のバランスの悪化や仕事のストレス、過剰な飲酒、喫煙などによって、糖尿病、脂質異常症、高血圧などのいわゆる生活習慣病につながることも明らかになっています。

過剰な飲食で、カツ丼やカレーライスなどの高カロリーの食事を好んで食べたり、飲酒の後にシメとして塩分濃度の高いラーメンなどを食べたりしていると、過剰な脂肪や糖分、塩分が取り込まれます。これらの分解に、睡眠時に分泌されるホルモンが関わっています。

特に注目したいのはコルチゾール。これはストレスなどによる身体のダメージを抑える役割を果たしますが、脂質や糖質を分解して翌朝のエネルギーを作り出すため、平均的な睡眠を取っている場合、明け方近くに多く分泌されます。

ところが、睡眠時間がバラバラだったり、短かったりすると、コルチゾールが適切に分泌されず、糖分や脂肪を分解してくれないため、それらがあふれて血中に流れ出し、血管内に脂肪の固まりであるプラークをつくって血液の流れを阻害したり、プラークが剥がれて脳や心臓に向かい、血管を詰まらせて心筋梗塞や脳梗塞などを起こします。また血中にあふれた糖分は糖尿病の原因となります。

前述の睡眠時無呼吸症候群も肥満が原因のひとつとされており、放っておくと5年、10年後ぐらいにいずれかの生活習慣病にかかっている可能性が非常に高くなっています。

睡眠不足以外にも生活習慣病を引き起こす原因は多々ありますが、そのひとつが睡眠不足であることは間違いないのです。


図)睡眠と生活習慣病

2-2. 腎臓病、肝臓病など臓器に関する病気

慢性的な寝不足による生活習慣病がもとで、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症など血管に由来する病気に発展することは明らかになっています。

腎臓は、「糸球体」と呼ばれるろ過装置の集合体に当たる臓器で、血液中の老廃物や不要物をろ過して尿とし、外部に排泄する役割を担っています。ところが、睡眠不足による免疫力の低下が起きると、腎臓のろ過機能が低下し、不要物の排泄ができなくなって、さらに免疫力が低下する悪循環を起こして各臓器に影響を及ぼします。

糖尿病や脂質異常症もその一例ですが、ほかにも風邪をひきやすくなったり、下痢や嘔吐をしやすくなったりする場合があります。腎臓は身体にとってもっとも大切な臓器のひとつです。腎臓が悪くなってくると、むくみや頻尿、夜間尿、だるさ、貧血などさまざまな症状が表れはじめ、急性腎障害や慢性腎臓病、腎不全などにつながり、場合によっては人工透析が必要になることもあります。

人工透析は週に2~3回、数時間の治療となりますから、ビジネスパーソンの場合、うまく日時を調整できなければ仕事を退職せざるを得なくなる場合もある治療です。

生活習慣病による肥満は、肝臓にもダメージを与えます。肝臓は糖を貯め込んで分解し、グリコーゲンとして筋肉などにエネルギーを与えます。しかし、炭水化物などの糖分やアルコール(これも糖分になる)を過剰摂取すると、肥満となり、肝臓に処理しきれない糖分が貯まって脂肪肝となります。脂肪肝は肝機能を低下させ、さらにさまざまな肝臓病の原因となります。


3. 神経系統に影響を及ぼす病気

慢性的な睡眠不足は、身体にストレスを与え、日中に眠気を感じたり、仕事に対する意欲の低下、記憶力の減退などが起きたりし、精神的にも大きなダメージを与えます。その理由は主に体内ホルモンの分泌の乱れによる自律神経機能の異常です。

3-1. うつ病

うつ病の原因は、家庭内の問題、仕事上のストレス、人間関係の不振、環境の変化、慢性的な疲労などさまざまです。ブラック企業による働かされ過ぎで睡眠が満足に取れない生活が続き、うつ病を発症し、結果的に命を落としたケースも近年は頻繁に見られます。

うつ病の原因のひとつとして、睡眠障害が挙げられます。心配事やイライラなどによって不眠症に陥り、そこからうつ病を発症するケースが多くみられるそうです。

世界保健機関(WHO)の「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法「アテネ不眠尺度(AIS)(Soldatos et al.: Journal of Psychosomatic Research 48:555-560, 2000)」がありますので、ご紹介します。ご自身の不眠障害チェックができます。


出典)世界保健機関(WHO)「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」作成「アテネ不眠尺度(AIS)(Soldatos et al.: Journal of Psychosomatic Research 48:555-560, 2000 )」

高齢労働省が発表した「うつ対策推進方策マニュアル」によると、次のような症状はうつ病の発見につながるとされています。

・毎日の生活に充実感がない
・これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
・以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
・自分が役に立つ人間だと思えない
・わけもなく疲れたような感じがする

また、自分でうつ病を発見するためのサインと、他者がうつ病を疑ってみるサインとして次のような症状が挙げられています。

<うつ病を疑うサイン-自分が気づく変化>

1.悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分
2.何事にも興味がわかず、楽しくない
3.疲れやすく、元気がない(だるい)
4.気力、意欲、集中力の低下を自覚する(おっくう)
5.寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
6.食欲がなくなる
7.人に会いたくなくなる
8.夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
9.心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
10.失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
11.自分を責め、自分は価値がないと感じる
 など

<うつ病を疑うサイン-周囲が気づく変化>

1.以前と比べて表情が暗く、元気がない
2.体調不良の訴え(身体の痛みや倦怠感)が多くなる
3.仕事や家事の能率が低下、ミスが増える
4.周囲との交流を避けるようになる
5.遅刻、早退、欠勤(欠席)が増加する
6.趣味やスポーツ、外出をしなくなる
7.飲酒量が増える
 など

※厚生労働省 心と健康「うつ対策推進方策マニュアル-都道府県・市町村職員のために-」より引用
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5b2.html

うつ病を治すためには、薬物治療に加えて適切な休息も必要です。自分で気づくときはまだうつは軽いほうで、自分ではわからないけれども周囲の目から見たら明らかに様子が変だということもよくあります。

特に会社の上司は、部下の仕事振りだけでなく健康管理にも責任があります。最近部下の様子が変だと思ったら、怒ったり、問い詰めたりせずに、遠回しにでも相手に治療を促すよう指導することが、自分のためにも会社のためにも重要なことです。

3-2. アルツハイマー型認知症

睡眠不足が続くと、脳の記憶を司る海馬という部分が縮小し、記憶力や認知能力が低下することがわかっています。

さらに怖いのは、アルツハイマー型認知症を引き起こす原因にもなることです。

認知症には「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」などがあります。

前者は脳梗塞や事故などが原因となるもので、割合はあまり多くありません。また後者は脳の神経細胞内に「レビー小体」という変化が起き、初期症状として現実にないものが見える幻視などが起こり、男性に比較的多い認知症です。これも睡眠不足などが関連している場合もありますが、パーキンソン病との関連が疑われており、まだはっきりと解明されていません。

しかし、認知症の中で圧倒的に多いのは、脳が萎縮するアルツハイマー型認知症です。世界で一番多く、日本でも80歳以上の高齢者の20%以上は、程度の差はあれ、アルツハイマーを患っているとされています。特徴はゆっくりと発症し、だんだん悪化していくことで、近年では若年性のアルツハイマー型認知症も増えつつあります。

アルツハイマーの原因は、「βアミロイド」というタンパク質が脳の神経細胞を破壊することで発症します。通常、βアミロイドは睡眠中に分解処理されるのですが、睡眠不足が続き眠りが浅くなると、メラトニンの分泌が減ってβアミロイドがたまりやすくなります。

このβアミロイドを分解するためには、毎日6時間以上の睡眠が必要とされています。睡眠負債と同様、睡眠不足が続くと、少しずつ借金としてβアミロイドが処理しきれずにたまり、積もり積もってアルツハイマー発症につながりやすくなるのです。

年齢が増すにつれ、誰もがアルツハイマー型認知症になってしまう可能性があります。これはなかなか避けることは困難です。しかし、睡眠不足がアルツハイマー型認知症を引き起こす原因になり得ることは知っておいたほうがよいでしょう。

3-3. 脳の自己破壊

2017年に研究が発表されて世界中を驚かせたのが、慢性的な睡眠不足による脳の自己破壊です。

イタリアのマルケ工科大学、臨床・実験医学科のミケーレ・ベレッシ博士が発表したこの研究は、脳の細胞レベルで睡眠不足の調査結果を分析したものです。

人間の細胞には食作用というものがあり、異物とみなした病原菌や死んだ細胞はマクロファージなどに取り込まれるのですが、脳内細胞においては、グリア細胞という細胞が食作用を担っていることは知られていました。

グリア細胞のひとつアストロサイトは、不要になった脳のシナプスや死んだ細胞を食し、脳の接続回路の再形成を行っています。これまでの研究では、睡眠時よりも睡眠不足時のほうがアストロサイトが活性化することが確認されていました。

ベレッシ博士の研究チームがマウスによる脳の実験を行ったところ、一時的な睡眠不足よりも慢性的な睡眠不足のほうがよりシナプスを分解することがわかりました。つまり、慢性的な睡眠不足になると、頻繁に使われている正常なシナプスまでを標的にして捕食・分解されると推測されることがわかったのです。つまり脳細胞が自ら脳の伝達機能を破壊しているということです。

また同時に、もうひとつのグリア細胞であるミクログリア慢性的睡眠不足で活性化することが確認されました。ミクログリアは、アルツハイマーなど脳神経の障害に大きく関与しているとされており、研究チームはミクログリアの活性化のほうが深刻な問題であるとしています。

ウェアラブルデバイスメーカーのJawboneが行った睡眠時間調査では、日本人の平均睡眠時間は6時間15分で、睡眠時間の短さでは世界でトップクラスだという結果が出ています。慢性的な睡眠不足は、脳レベルで命を縮めることになるのです。


4. まとめ

睡眠不足によって、さまざまな病気が引き起こされることを具体的に解説しました。

睡眠時無呼吸症候群むずむず脚症候群のほか、現代人をもっとも悩ませる生活習慣病、さらには、腎不全肝臓病うつ病アルツハイマー型認知症など、神経系の病気に発展する恐れがあるのです。

睡眠不足をしてまで仕事をすることは、カッコイイことではありません。「昔はよく終電で帰ったものだ。それに比べて最近の若い者は」といった論調で語る中高年も少なくありませんが、それ自体が現代では間違った仕事認識なのです。しかも、働いたからといって昔のように青天井で残業代が出る時代ではありません。

仕事も大切ですが、何よりそれも命あってこそ。身体を壊すような働き方は絶対に改めなければいけない大きな課題なのです。

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<参考文献>
心と健康(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kokoro/index.html
不眠・睡眠不足と生活習慣病|眠りのメカニズムや実態(快眠ジャパン)
http://kaimin-japan.jp
睡眠と生活習慣病との深い関係(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
睡眠不足が招くリスク(Philips:Healthy Japan)
https://www.philips.co.jp/a-w/healthyjapan/sleep/risk-sleep-deprived.html
「睡眠不足だと認知症になりやすい」はウソ・ホント?(NIKKEI STYLE)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO14037850U7A310C1000000
・白川修一郎(2016)「ビジネスパーソンのための快眠読本」ウェッジ.
・菅原洋平(2012)「あなたの人生を変える睡眠の法則」自由国民社.
・蒲池桂子(2017)「とんかつ定食をお昼に食べても大丈夫なのはナゼ?」技術評論社.

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