介護離職とは 近年急激に増加する背景と解決策をご紹介

介護離職とは、家族をはじめ身近な方の介護をするために、現在の仕事を退職することです。

もしあなたが介護離職を考えているなら、ちょっと待ってください。提案があります!

近年社会問題となっている介護離職。今後もさらに増加していくことが懸念されており、離職を避ける手だてが必要です。本記事では、なぜ社会問題となっているのかを解説するとともに、社会資源の活用方法など、介護離職を避ける方法についても具体的にお伝えします。

1. 介護離職とは

冒頭でお伝えした通り、介護離職とは、家族をはじめ身近な方の介護をするために、現在の仕事を退職することです。

近年、家族の介護を理由に離職する人の数が増加し、社会問題となっています。高齢化の進む我が国では、さらに要介護者の数が増え、介護離職者数がさらに増えることが懸念されます。2000年初期には4万人程度であった介護離職者数は、15年程度の間に10万人近くまで増加しました。介護を必要とする人の数は年々増加しており今後も介護離職者数が増加する懸念もあります。[1]

離職した介護者は、収入がなくなることによって自身の生活に困窮することになりかねません。また、一日中の介護は介護者へ大きな負担を強いることとなります。

 

[1]内閣府ホームページ「介護離職者数の推移」
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/h06_fz0203.html

2. 介護離職増加の背景と現状

介護離職が増加してきた主な背景には、高齢化による要介護者の増加、少子化による介護者の減少などがあります。またこれだけでなく、介護保険にかかわる問題や文化的な背景もかかわっており、構造的な社会問題だともいえるでしょう。

2-1. 少子高齢化で介護者の数が不足に

65歳以上の高齢者の数は増加を続けて2042年でピークを迎えますが、人口に対する割合はさらに増加して2055年には40%近くが65歳以上になると予想されています。
要介護者については、2000年に218万人であった要介護認定者数(要支援含む)は6年ほどで倍になり、2017年にはほぼ3倍の600万人を超える数となりました。

一方、出生数は1949年に約270万人でしたが、その後減少し、第2次ベビーブームで一旦回復したもののその後は再び減少の一途をたどっています。2015年には約100万人まで減少しました。[2]

このような状況を見ると、介護を必要とする人の数(要介護者数)と介護をする人の数(介護者数)のバランスが悪化していることがわかります。これが介護離職者数増加の背景です。

2-2. 介護費抑制のため、国が在宅介護を促進

また、上記以外に介護保険にかかわる問題があります。政府は要介護者の増加に対して介護保険制度を導入しました。しかし、要介護者の増加に比例して介護給付費用も大幅に上昇し、国家の予算を圧迫するという状況になりました。それに対して政府は増加する介護費を抑制するためのさまざまな方策を導入することとなりました。

影響を与えているのは、在宅介護の促進です。施設での介護ではなく自宅で介護をしましょうという流れです。具体例を挙げると、従来要介護度1の方でも利用できていた特別養護老人ホームは、現在要介護度3以上でないと利用できない仕組みとなっています。比較的要介護度の低い方は在宅で介護をすることが増えてきています。近年では在宅で介護を受けている方の平均介護度が上昇してきていて、介護者の負担も大きくなっています。[3]

2-3. 「親の介護は子がするもの」文化背景も離職を促す

最後に文化的な背景もあります。我が国では、親の介護は子供がするものという考えが少なからずあります。このような文化も介護離職の要因の1つとなるでしょう。

これらの背景があり、主に家族が自宅で介護をする機会が増え、それに伴って仕事との両立が困難となり、離職へとつながっています。
現代では夫婦共働きの世帯も多く、夫婦のどちらかが退職するという形となりますが、実際には介護離職者の8割ほどが女性であるという現状があります。

 

[2]内閣府ホームページ「出生数・出生率の推移」
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/shusshou.html
[3]厚生労働省 平成28年度 介護給付費等実態調査の概況 調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/16/index.html

3. 介護離職の解決策

離職による収入の減少は、多くの場合家庭の生活にダメージを与えます。また一日中の介護は介護者に多大なストレスを与えます。介護者や家族のためにも離職を避けて仕事と介護の両立を検討する必要があるでしょう。そのための対策について具体的にお伝えします。

3-1. 社会資源の活用

最初におすすめしたいのが、介護保険の利用です。すでに利用されている方はご存知だと思いますが、利用がまだの方や詳しいサービスを知りたい場合は、市町村に設置されてある地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。社会福祉士、保健師、ケアマネージャーから専門的なアドバイスを受けることができます。

要介護認定を受けるとさまざまな介護保険サービスを利用することができます。在宅で受けられる介護保険サービスには主に訪問系・通所系サービスがありますので必要なものを選択して利用すると良いでしょう。所得にもよりますが、介護保険を利用した際の負担額は1割です。離職による収入減少を考えればそれほど高額なものではありません。

介護保険サービスにはさまざまなものがありますが、一方で、厳しい規定があります。具体例を挙げると訪問介護では、要介護者の部屋の掃除はできますが、家族の部屋の掃除はできません。要介護者に直接係わるサービスに限定され、家族に対してのサービスは基本的にありません。

その問題点を解決するために、保険外のサービスを利用する方法があります。現在、介護保険のサービスと同時間帯に受けることはできませんが、介護保険ではできないことに対応したサービスを受けることができます。保険が利用できないため、やや高額になりますが、一時的なものと考えるとよいでしょう。

また、現在介護サービスについて検討されているのが混合介護です。これは介護保険サービスと保険外サービスを同時に受けられるようにするという仕組みです。この仕組みができ上がると、今まで以上に多様なサービスを受けられるようになり介護者、家族への負担が減少すると考えられています。数年先に利用できる可能性があります(2018年4月では準備段階)。

3-2. 介護保険サービスの利用

近年、在宅で受けられるサービスの種類も多くなっています。これらをうまく利用するとよいでしょう。具体的な例を1つ上げると、平日月曜の朝から金曜の夕方までショートステイを利用して、土日だけを自宅で介護するというサイクルを繰り返すという利用方法などがあります。各家庭の状況に合わせてサービスを複数組み合わせるとよいでしょう。具体的なプランについてはケアマネージャーから専門的なアドバイスを受けることができます。

・訪問介護
・訪問看護夜間対応型含む)
・訪問リハビリテーション
・訪問入浴介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・その他

・訪問介護デイサービス)
・認知症対応型通所介護
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・地域密着型通所介護
・通所リハビリテーション
・その他

・福祉用具貸与
・住宅改修
・その他

在宅で利用できる主なサービス
自宅で利用 自宅から通う その他

3-3. その他のサービス

利用できる地域が限定されるものもありますが、さまざまな有料サービスを利用することもできます。

保険外のサービスの例

・配食サービス
・家事代行サービス食事の準備、掃除その他、家族向けのサービスなど)
・訪問美容室
・外食や通院の付き添い
・見守り
・その他

保険適用外のサービスですが、このようなサービスまで組み合わせるとさらに家族の負担を軽減することができます。現在でも一部地域で利用可能です。

4. まとめ

「介護離職」は主に家族の介護が理由で退職することを言います。高齢化の進行、要介護者の増加などが背景となり、近年では年間10万人が離職を余儀なくされるという社会的な問題となっています。

自宅で介護をすることは良いことですが、介護のための離職は経済的なダメージや介護者の大きなストレスの原因となります。

このような状態を避けるためには、介護者の負担を軽減し、介護と仕事を両立させることが必要です。

そのための方法として社会資源の有効な活用を提案します。介護保険サービスや保険外のサービスを工夫して利用することによって、介護と仕事を両立させることは検討の価値がある選択肢だと言えます。

現在、介護離職を考えていらっしゃる方には、ぜひご検討いただければと思います。

 

<参考文献> 内閣府ホームページ「介護離職者数の推移」
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/h06_fz0203.html
東京都福祉保健局高齢社会対策部(2017年5月)「『選択的介護』に係るモデル事業実施に向けた基本的考え方」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/sentakutekikaigo/sentakukihonteki.files/kihonteki.pdf

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