ハーバード流 Win-Winアプローチの交渉力【交渉シナリオ構築/評価シート付】

日本人は「交渉が下手」と、よく言われます。
実際にgoogleで「日本人 交渉」と入れると、レコメンドの最初に「下手」が挙がってきます。
そのためか、「相手にYESと言わせる」、「相手を思い通りに操る」というフレーズの研修やセミナーや書籍をよく見かけるように思います。

そういったアウトプットが積み重なり、「交渉力は相手をYESと言わせる説得力である」、「相手の心理を操るテクニックが交渉力である」と思っている方が多いように感じています。

確かに、相手の心理の隙間を突く交渉術は、短期的には効果を発揮するケースもあり、防御の観点から学んでおく必要があります。しかし、ビジネス交渉の多くは、継続的な関係にある相手との交渉です。であるなら、「交渉」に関する学習対象が「短期的に有効な交渉術」のみで良いのでしょうか

米国ハーバード大学のフィッシャー教授は、米国国務省の弁護士として、数多くの国際交渉の実績を持つ交渉の達人でした。大学に戻り、自らの交渉体験や数多くの交渉事例を分析するために交渉学研究所を設立し、交渉力の育成プログラムを開発しました。

ハーバード大学が開発したこのプログラムは、欧米のロールスクールやビジネススクールに広く普及し、人気講座になっています。最近では、日本の大学や企業の人材育成にも取り入れられるようになりました。

そこでは、自分の主張を相手に押し付けてYESと言わせる説得ではなく、双方に価値があるWin-Winを目指した交渉が教えられています。その交渉のために必要な能力は、一方的に相手を説得する能力ではなく、双方向の対話から相互利益を導き出す能力であり、「分析力」、「コミュニケーション力」、「意思決定力」の総合力で構成されます。

今回は、ハーバード大学の交渉学研究に基づき、東京大学(先端科学技術研究センター)と慶應義塾大学(グローバルセキュリティ研究所)での研究から開発された「交渉シナリオ構築/評価シート」を用いて、交渉のPlan(計画)、Do(実行), Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを行ないながら、交渉力が身に付く方法をご紹介します。

1. 「交渉力」を形成する3つの能力とはなにか?

交渉力がどんな能力から形成されるのかを理解すれば、それを身に付け、鍛えていくことも可能になります。ここでは「交渉力とはなにか」から紐解き、それを明らかにしていきます。

1-1. 交渉力と説得力の違い

ハーバード大学でフィッシャー教授の授業を受け、日本で交渉学を教えられている田村次朗教授、
慶應義塾大学法学部・弁護士は、当時の授業の様子について、次のように紹介しています。

“講師のロジャー・フィッシャー教授は学生たちにペアを組ませ、交渉のロールプレイをさせるところから始めた。だがどのペアも容易に合意に至れない。何しろ受講者はいずれも、世界最高峰を自認するハーバードの俊英たちである。実力に裏打ちれた自信の塊のような彼らが、互いに易々と説き伏せられるはずがない。勢い、それぞれの立場を主張する激しいやりとりの後、交渉は決裂に終わる。

その様子を見ていたフィッシャー教授は教室に宣告する。「君たち、これでは全員落第だ」

 ざわめく教室に向かって教授は言葉を継ぐ。「なぜ交渉がまとまらないのか。それは君たちが、お互いに、自分のことしか考えていないからだ。「当事者双方の満足」と「社会全体の利益」。これらを考慮に入れなければ「賢明な合意」には至れない」“
(田村次朗教授に聴く、「三方よし」の対話力~交渉学入門、慶應MCC夕学リフレクション 2015年4月9日)

フィッシャー教授は、「交渉力」と「説得力」の違いについて、次のようにコメントしています。

“説得は交渉の一部です。コミュニケーションにおける文脈から分類した場合、概して説得は説得する者から説得される者に一方通行 - もちろん相手の表情や返答などによって、アプローチは臨機応変なものになるでしょうが - で進められるものです。

一方、交渉は、合意を形成することを目的とした双方向のコミュニケーションであり、相互理解に基づく対話といえるでしょう。“
(R.フィッシャー著、「ハーバード流」交渉学講義、Diamond Harvard Business Review September 2002, ダイヤモンド社、P50)

フィッシャー教授のコメントから、次の3つのことが読み取れます。

① 説得は交渉の一部であるが、交渉の目的ではない
  自分の主張に対して、相手の合意を求めて説得することは交渉の一部ですが、それが交渉の目的ではありません。説得は、一方的な行為ですが、交渉は自分と相手の間の対話による双方向の行為です。

② 相互理解のためには、相手の立場を考える必要がある
  交渉は双方向の行為であるため、自分の主張を相手が受け入れた時に、相手にとってどのような価値があり、どのようなリスクがあるかという視点から考える必要があります。継続的な関係であるWin-Winを目指すアプローチは、相手の立場を考えて、理解することから始まります。
 
③ 交渉の結果を振り返ると何が問題であるかが分かる
  フィッシャー教授が、学生たちに対して、全員落第と言ったのは、ロールプレイ(模擬交渉)で合意できなかったからではなく、自分の主張を相手に押し付けるだけで、相手の立場を考えず、そのまま交渉を終了したためです。交渉は合意が正解、不合意が不正解ではありません。しかし、交渉のプロセスとその結果の説明から、交渉にどのような問題があったのかは分かります。

1-2.  交渉の達人とは?

交渉の達人は、

  • 交渉前に、今回の交渉で何を実現すべきか考え、相手に関する情報を収集・分析して交渉シナリオを準備し、
  • 交渉中は、相手の立場を考えた上で、自らの主張を行なう対話を行ない、
  • 交渉後は、合意か不合意かの結果に拘わらず、なぜその意思決定をしたのか、そして、次に何をすべきかを明確に説明できる能力を持つ人物

であると考えます。

田村教授は、フィッシャー教授のコメントを聞いて、近江商人の「三方よし」に思い至ったそうです。
「売手」である商人が、「買手」のみならず、「世間よし」を目指す三方よしのアプローチは、Win-Winアプローチの本質と相通じるものです。このような発想で交渉できる日本人であれば、交渉が下手と言われることはないでしょう。

それでは、交渉の達人とは、どのような交渉が出来る能力を持つ人物なのでしょうか。かなり難易度の高い交渉の一つである「独占販売権を巡る国際間のビジネス交渉」について、興味深い事例が紹介されています。

“フォーチュン500に入る米国の大企業と欧州の小規模な企業との独占販売権を巡る交渉。
両社は、商品の金額と数量の条件に合意したが、米国企業が新工場への出資条件として独占販売権を要求しところ、欧州企業が拒否して、交渉はこう着化。米国企業の交渉チームは、欧州の小規模な会社が、出資を受けられる上に、生産できる数量の全てを買い取るという魅力的な提案を拒否したことに驚き、社内で交渉の達人と呼ばれる経営幹部に交渉参加を依頼する。
その経営幹部は、交渉の経緯を聞き、独占か非独占かという自社の要求ばかり話すのをやめ、お互いの主張の理由を理解する必要があると判断。そして、相手がなぜ独占権を拒否するのかの理由を聞きだし、それに対して解決策を提示して、双方が納得する合意に至った。”
(D.マクホトラ、M.H.ベーザーマン著、森下哲朗監訳、高遠裕子訳、「交渉の達人」、日本経済新聞社、2010、P87-90より作成)

この本の著者は、ハーバード・ビジネススクールで交渉学を教える教授陣ですが、この問題が解決できた理由を、米国企業の経営幹部が、積極的に仮説を疑い、相手の考え方に関する情報をできるだけ集めることにより、「何を求めるか」だけでなく、「なぜ求めているか」まで問うアプローチをおこなったことにあると分析しています。

私は、大手企業の法務マネージャー、ベンチャー企業の役員として、数多く海外企業と独占権を巡る契約交渉を経験しました。独占権を与える場合もあれば、受ける場合もありました。いずれの場合でも、独占権について、独占か、非独占か、という二分法による単純な交渉ではなく、お互いに独占契約により、どのような価値とリスクがあるのかをよく議論した上で、双方に価値のある合意を目指して交渉しました。

そして、幅広い選択肢を冷静に議論できるように、独占権と非独占権以外にも、第一拒否権(※1)と優先権(※2)があり、それぞれのメリットとデメリットを共有した上で、今回の取引でどの条件が最も双方にとって適切かを議論しました。

※1 第一拒否権:この権利を持つ企業は、対象の商品・サービス・地域など毎に、独占権を持つか否かを選択でき、拒否した場合には、権利を与えた企業が、他の相手と取引できる権利
※2 優先権:この権利を持つ企業は、権利を与えた企業が他の同等の企業との同等の取引で有利な条件に合意した場合、自動的に同じ権利を得られる最恵顧客待遇を受けることができる権利

その結果、最初から独占ではなく、非独占から一定の期間と実績を経て、段階的に独占権に至る合意や、双方が納得して第一拒否権や優先権を選択する合意に至ったことが何度もあります。もちろん、結局決裂した交渉もありました。しかし、お互いになぜ合意に至らなかったのかを理解できており、次の機会にと握手して、冷静に交渉を終わることができました。

これらの交渉結果は、合意か不合意かに拘わらず、双方に納得感があり、交渉学を学習し、活用することの価値を実感できた経験でした。

1-3. 交渉力は、「分析力」+「コミュニケーション力」+「意思決定力」の総合力

このようなWin-Winを目指すアプローチに必要な交渉力は、分析力とコミュニケーション力と意思決定力の3つの能力に分解できます。

【分析力】
交渉は準備8割と言われており、準備は非常に重要です。交渉の準備段階では、交渉を設計するために、情報を収集して整理し、選択肢を考えて評価し、その上で判断基準を決める必要があります。そして、これらに基づいて交渉シナリオを作成します。そのため、この段階で必要な能力は、「分析力」です。

【コミュニケーション力】
次は、交渉実施段階です。この段階は、相手と対面で議論するため、「コミュニケーション力」が必要になります。相手と同調する会話力も要素の一つではありますが、交渉は対立や衝突を乗り越えて問題を解決することであり、相手と対立を乗り越えて、相手の立場を考えながらも、言うべきことを言う対話力が重要になります。

【意思決定力】
最後は、「意思決定力」です。合意が正解、不合意が不正解ではありませんが、交渉の最後には、合意か不合意かの意思決定をする必要があります。意思決定力があるか否かは、交渉結果に対して、交渉者の権限の範囲で意思決定できるかということに加えて、交渉結果を上司や同僚に、明確に説明できるか否かで分かります。

2 交渉力が身に付くPDCAサイクル

では、交渉力を形成するこれらの能力はどのようにして身に付け、鍛えていくことことができるのでしょうか。
ここでは交渉力を鍛えていく具体的なツール(交渉シナリオ構築/評価シート)と、そのツールの活用方法をご紹介します。交渉力を鍛えるポイントは交渉のPDCAサイクルを構築することがポイントです。

2-1.  「交渉シナリオ構築/評価シート」と使い方

以下に、交渉シナリオ構築/評価シートを用いて、交渉のPDCAサイクルを回す方法をご紹介します。
まずはこちらのシートをご確認ください。


※PDF版はこちら → 『交渉シナリオ構築/評価シート (PDF)』

このシートは、以下の3つの目的で活用できます。

① 交渉準備の共通フォーマット
 ビジネス交渉の多くは複数のメンバーによるチーム交渉で行なわれます。単独で行なう場合でも、上司や同僚と事前にどのような交渉シナリオを準備するか、交渉中は、その進捗状況を社内で共有する必要があります。その場合、交渉シナリオ構築/評価シートは、交渉の事前準備と情報共有の共通のフォーマットになります。

② 交渉結果のレビューとナレッジの共有
交渉シナリオ構築/評価シートは、交渉終了後、交渉結果をレビューするための共通フォーマットになります。更に、同じ顧客や過去の類似した交渉ケースの事例をこのフォーマットに当てはめてレビューすることにより、最新の交渉結果との進行中の案件を比較分析することができます。また過去事例のレビューを積み重ねることにより、交渉結果を共通のフォーマットで記録し、組織で共有するナレッジにすることも可能です。

③ 交渉力の育成トレーニング
 交渉の成功確率を上げるには、事前準備が重要です。実際の交渉では、事前に検討した交渉シナリオに基づき、交渉者が、何を、どの順番で、どのように話すかが、交渉の進行と結果に大きく影響します。特に、チームで交渉する場合には、交渉の目的と具体的な目標を共有し、共通の交渉シナリオを持ち、それぞれの交渉者が役割を果たす必要があります。

例えば、営業社員と技術社員が2名で交渉する場合、メインの進行と交渉は営業社員が行ない、技術的な交渉は技術社員が行なうとします。この場合、事前に上司や同僚に相手役になってもらい、円滑に役割分担と進行ができるかを練習する方法が有益です。
その際にに交渉シナリオ構築/評価シートを使い、双方が事前準備に基づいた交渉になっているかを確認することができます。そして、このプロセスは、交渉者の交渉力を育成する有効なトレーニングにもなります。

それでは、実際の交渉シーンにおいてこの「交渉シナリオ構築/評価シート」を用いてどのようにPDCAサイクルを構築するかをご紹介します。

2-2. Plan(計画)

最初に、「テーマ」欄に、交渉や商談の対象テーマを記入してください。
次に、「状況」欄に、交渉に至った経緯や、自分の交渉相手の置かれた状況を記入してください。関係性を示す相関図や関連資料があれば、添付すると分かりやすくなります。

その上で、「ミッション」欄には、この交渉で何を目指すのかを記入してください。ミッションは、取引条件を記載するのではなく、何のためにこの相手と交渉し、合意することによって、最終的にどのような問題を解決するのかを考えて、記入してください。ミッションは、交渉の軸となる重要事項です。

 次に、「事前準備」の欄に進みます。ZOPA(ゾーパ)は、Zone of Possible Agreementの略で、幅のある具体的な目標を意味します。ここでは、「Bargaining Zone」欄に「最高の目標(理想的な条件)」と「最低の目標(最低ラインの条件)」を記入してください。

その上で、自社の強みや相手の立場を考えて、問題を解決するために取り得る選択肢を考えて、「Option Zone」欄に記入してください。そして、「BATNA(バトナ)」欄を記入してください。バトナは、Best Alternative to a Negotiated Agreementの略で、不合意に備えた代替案を意味します。

バトナは、今回の交渉相手との間で、ミッションが実現できなかった場合、相手に依存しない代替案であり、バックアッププラン、プランBなど言われる考え方と同じです。バトナは、交渉学研究最大の発見と言われており、交渉の前に、バトナを準備することは、冷静で合理的な意思決定に繋がります。

※本項の該当パート

 

2-3. Do(実行)

 複数の交渉者で交渉する場合は、必ず、交渉チームでこの段階までを一緒に作成するか、共有した上で、交渉に臨んでください。交渉中に記入する欄はありませんが、このシートを手元に置いて、自分達の交渉の軸がぶれていないかを確認しながら交渉を進めてください。

2-4. Check(評価)

交渉後に、「事後記入」欄を記入します。「交渉の内容(様子)」を簡潔に記載してください。どのような協議事項について、どのように交渉が始まり、何が問題となり、どのように交渉が進行したかという内容です。関連資料を添付すると分かり易くなります。

次に、「結果(状況)」欄です。合意した場合は、その内容を記載してください。「自己評価」欄には、交渉者の満足度について、自分(チームの場合は、チーム単位)の評価を記載してください。そして、最後に、「感想/次回に向けて」欄に、交渉の感想や次回に向けた課題、改善余地などを記入してください。

※本項の該当パート

 

2-5. Action〈改善〉

 評価のプロセスで抽出した課題について、解決策を検討し、次のアクションを取ります。そして、交渉の決着が付くまで、内容をアップデイトしながら、活用してください。
 
このPDCAサイクルを交渉のたびに回していくことで、Win-Winアプローチの交渉力が獲得できるでしょう。さらに、この交渉シナリオ構築/評価シートをコミュニケーションツールとして活用することで、相乗的に交渉に関するナレッジを蓄積していくことも可能になります。

3. 交渉力のトレーニング方法

続いて、1対1の売買取引交渉の模擬交渉(ロール・シミュレーション)の例を用いて、交渉シナリオ構築/評価シートを用いた交渉力のトレーニング方法をご紹介します。模擬交渉では、実際のビジネス交渉の事例等から作成された専用のケース教材を準備します。ケース教材は、共通情報(双方の交渉者が共通に知っている交渉。交渉の経緯や背景等)と個別情報(例えば、買主側の情報と売主側の情報。お互いに、交渉前には知らない情報)で構成されています。

① 事前準備
最初に、交渉シナリオ構築/評価シートに基づき、買主側と売主側は、それぞれが交渉シナリオを準備します。各自が準備した後、同じ役割同士で意見交換することにより、発想を広げる方法が効果的です。

② 模擬交渉(ロール・シミュレーション)
  事前準備の後、検討した交渉シナリオに基づき、1対1の模擬交渉を行ないます。個別情報に記載された内容について、何を、どの順番で、どのような表現で相手と交渉するかは、交渉者の判断で交渉します。

③ 感想戦
  模擬交渉終了後、交渉シナリオ構築/評価シートの事後記入欄に結果と感想を記入します。その後、交渉相手に自分の交渉シナリオと個別情報の内容を開示します。そして、今回の交渉の感想や何が問題であったかなどを議論します。この時に、自分の交渉シナリオ構築/評価シートを相手に見せながら説明します。

④ フィードバック
  講師や上司などのリーダーが、各チームの交渉結果を聞きながら、課題や対策を議論します。また、トレーニングプログラム終了後、それぞれが記載した交渉シナリオ構築/評価シートを共通のデータベースにアップしておけば、トレーニング後にも、学んだことを振り返ることができます。

実際に、この方法を用いて社員の交渉力を継続的にトレーニングしている企業があります。それらの企業では、
・共通フォームにより交渉案件に関する社内のナレッジが共有できる
・交渉の準備や結果について、共通フォームと共通の言語でコミュニケーションできる
といった価値が生まれています。

4. まとめ

交渉は、合意を形成することを目的とした双方向のコミュニケーションであり、交渉力は、相手をYESと言わせる説得力のみではなく、相手の立場を考えて、双方に価値のあるWin-Winを目指したアプローチによる交渉ができる能力です。

その能力とは、「分析力」、「コミュニケーション力」、「意思決定力」の3つの能力の総合力であることをご紹介しました。

それぞれ、

  • 交渉の事前準備段階では、交渉を設計するための情報を収集し、選択肢にまとめてそれを評価し、判断基準を設定して交渉シナリオを作成する→【分析力】
  • 実際の交渉実施段階では、相手の立場を考えながらも、言うべきことを言う対話力が重要になる→【コミュニケーション力】
  • 最後に、交渉の結果を上司や同僚に、明確に説明できるということを含め、交渉者の権限の範囲で交渉をまとめる力が必要になる→【意思決定力】

と、ご紹介しました。

そしてこの3つの能力を身に付ける方法として、ハーバード大学の交渉学研究に基づいて開発した「交渉シナリオ構築/評価シート」と、その活用法としてのPDCAサイクルの構築、交渉力のトレーニング方法をご紹介しました。

交渉力を身に付ける方法に王道はありません。考えて、試して、また、考えるという地道な努力の積み重ねが必要です。企業活動において行なわれているPDCAサイクルは、交渉力を身に付けるためにも必要なのです。

また、交渉のPDCAサイクルを行なうことは、交渉力の育成以外にも、交渉のプロセスが組織内で共通化でき、交渉について共通の言語でコミュニケーションできるようになります。そのため、組織力の強化にも活かせるのです。

今回ご紹介した「交渉シナリオ構築/評価シート」を活用した交渉のPDCAサイクルによる交渉力の育成方法を、ぜひ、実施してみてください。

一色 正彦
金沢工業大学(K.I.T.) 大学院客員教授(イノベーションマネージメント研究科)
㈱leapOne取締役(共同創設者)
(合)IT教育研究所役員(共同設立者)
パナソニック㈱海外事業部門(主任)、法務部門(課長)、教育事業部門(部長)を経て独立。大学で教育・研究を行うと共に、企業へのアドバイス(提携、知財、交渉戦略、人材育成)とベンチャー企業の育成・支援を行っている。
東京大学院非常勤講師(工学系研究科)、慶應義塾大学大学院非常勤講師(ビジネススクール)、関西大学外部評価委員会委員(大学教育再生加速プログラム)
主な著書に「法務・知財パーソンのための契約交渉セオリー」(共著、レクシスネキシス・ジャパン)、「ビジュアル解説交渉学入門」、「日経文庫 知財マネジメント入門」(共著 日本経済新聞出版社)、「MOTテキスト・シリーズ 知的財産と技術経営」(共著、丸善)、「新・特許戦略ハンドブック」(共著、商事法務)などがある。

 

<参考文献・情報>
・ハーバード・マネジメント・アップデート編集部、ハーバード・マネジメント・コミュニケーション・レター編集部編著、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳、「交渉力」、「対話力」、ダイヤモンド社、2006
・一色正彦、田上正範、佐藤裕一著、「理解のための交渉学入門」、東京大学出版会、2013
・日本人向けにカスタマイズした実践的交渉学とは(BIZLAW)
http://www.bizlaw.jp/interview_kittoranomon_01_01/
・「社会人に求められる交渉力とは」(パナソニックソリューションテクノロジー)
http://www.panasonic.com/jp/business/its/hrd/blog/interview/20160210_negotiation.html
・ 交渉のイメージ:交渉学とは何か?|慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)
https://www.keiomcc.com/magazine/report33/
・交渉学関連情報(交渉学協会)
https://negotiaclub.com/information.php
・交渉学の概要説明 交渉学と合意形成:(mmatsuura.com)
http://www.mmatsuura.com/negotiation/lect/lecture1.html
・田村次朗教授に聞く「三方よし」の対話力~慶應夕学リフレクション
http://www.keiomcc.net/sekigaku-blog/2015/04/post_626.html
・「社会人に求められる交渉力とは」(パナソニックソリューションテクノロジー)
http://www.panasonic.com/jp/business/its/hrd/leaders/negotiation.html
・なぜ商談は決裂するのか? 交渉学の生みの親に学ぶ、三方よしの対話力(ログミー)
http://logmi.jp/158602

 

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