ジョハリの窓とは 低成長時代を生き抜く自己分析のすすめ

ジョハリの窓(Johari Window)とは、自己分析に使用する心理学モデルの一つです。

自分自身が見た自己と、他者から見た自己の情報を分析することで「自分も他人も知っている自分の性質(解放)」「自分は気付いていないが他人は知っている性質(盲点)」「他人は知らないが自分は知っている性質(秘密)」「自分も他人も知らない性質(未知)」の4つに区分して自己を理解するというものです。他者とのコミュニケーションにおいて自分自身をどれだけ表現しているか、という視点で現在の自分の姿を理解することができます。

私たちが社会で成長していくためには、積極的に自己を開発していく必要があります。そのためにはまず、自分を知ることです。自分を知ることで自己開発をする手法として有効なのが、この「ジョハリの窓」です。

本稿では、ジョハリの窓とは何か解説するとともに、自分自身のジョハリの窓を描き出す方法や、解釈の仕方についてもご紹介します。自己開発の参考にしてみてください。


1. ジョハリの窓とは

ジョハリの窓は、心理学者のジョセフ・ルフト(Joseph Luft)氏とハリントン・インガム(Harrington Ingham)氏の両名によって1955年に考案された概念です。それは自己と他者から見た自己の領域を表すものです。対人関係の進展や自己理解に利用され、ビジネスにおいての能力開発にも効果を発揮します。

具体的には、自分自身の特性を「4つの窓」(開放、盲点、秘密、未知)に分類したものとなります。「自分による自分の分析結果」と「他人による自分の分析結果」を統合して該当する窓に当てはめていくことで完成させます。
一般的には、「開放の窓(自分も他人も知っている特性)」を広げ、「未知の窓(自分も他人も知らない特性)」を狭めていくことが良いとされています。

参考)心理学辞典、有斐閣
http://paei.wikidot.com/luft-ingham-the-johari-window

自分の「ジョハリの窓」の描き方ジョハリの窓を描いて完成させるには、第三者からの情報(自分が他人からはどのように見えるか)が必要となります。「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の情報から4つの窓を作り上げるためです。実際に行う場合はお互いに相手のことを知っている5~10人程度で行うとよいでしょう。初対面の人と行うことはできません。また、1-2. 留意点でも解説しますが、心の開示を伴うのでお互いに信頼のある関係性のメンバーで実施することも大切です。

1-1. 手順

実施方法には主に3つの方法があります。
 
 ① その人に対して感じていること、印象、性格などを自由に記述する方法

 ② あらかじめ人の性格・能力の要素(複数の項目)を決めておき、該当するものを選択する方法

 ③ 既存のシート、Webなどを利用する方法

①の方法は、特別な用紙を用意する必要もなく、紙と鉛筆があればできる方法です。その人が感じている気持ちを正確に表現することができますが、記述される内容が性格面の評価だったり能力面の評価だったりと評価軸の統一性に欠けることが多くなります。今回は、②のあらかじめ作成した用紙に従って評価する方法をご紹介します。まずは用紙の準備から始める必要があります。
以下に流れを示します。

1-1-1. 準備

まず用紙を準備しましょう。

性格や能力の分類方法は学者によっても違っていることが多く、一つの決まったものはありません。心理学者のオルポート(G.W. Allport)の調査によると、性格を表す言葉は17950個にも上るといいます。今回ご紹介するものは一つの例ですので、必要に応じて編集を加えて使用してください。ビジネスで利用する場合は、仕事に必要な能力の項目を増やすとよいでしょう。用意する用紙は2種類です。

用紙① 最終的に完成させる用紙です

用紙② 自分および他人の性格・能力などを記載するための用紙です。

項目は必要に応じて編集してください。
ビジネス領域で利用するのであれば、マネジメント能力、リーダーシップ、仕事に関する知識など専門領域の項目を中心にするとよいでしょう。


参考)武藤雪下、「幸せをよぶ心理学」北大路書房
 https://kevan.org/johari
 

1-1-2. 実施

  1. 調査参加者1人につき、用紙①を1枚、用紙②を参加人数分(自分を含め、参加者5人の場合は5枚)配ります。 ・用紙②の1枚に自分の名前と、自分自身に当てはまると思う項目に〇をつけます。
  2. ほかの用紙②に、自分以外の参加者の名前を書き、性格・能力分析をします。当てはまると思う項目に〇をつけていき、記入が終わったら該当する人に渡します。
  3. 各参加者の手元に、記入済みの用紙②(自分が記入した1枚と、他者に記入してもらった分)が集まります。

1-1-3. 集計

自分で記入した用紙②と他の参加者から記入してもらった用紙②をもとに集計をします。
自分で記入した用紙と他者が記入した用紙を見比べながら、次のルールに従って用紙①に書き込みます。

自分が〇をつけた項目自分が〇をつけていない項目
他人が〇をつけた項目開放の窓に書き込む盲点の窓に書き込む
他人が〇をつけていない項目秘密の窓に書き込む未知の窓に書き込む

ルールの説明:自分と他人が同じ項目に〇をつけていた場合、その項目の番号を用紙①の「開放の窓」に記入します。自分だけが〇をつけたものは「秘密の窓」です。その他2つの窓についても同じようなルールになります。

完成したら、参加者全員でお互いに結果を見せ合いましょう。

参考)武藤雪下、「幸せをよぶ心理学」北大路書房

1-2. 留意点

以上が調査の手順ですが、実施する際に留意すべき点があります。心の開示を伴うものですので、言葉の選び方に気を付けるほか、参加するかどうかも人によっては検討する必要があります。

① 調査に使用する言葉はポジティブに
調査に使用する性格・能力の項目はポジティブな内容・表現にします。そうすることで〇をつけやすくなり、参加者の精神的な負担が減ります。
 
×「暗い」 → 〇「明るい」
 
しかし、他人が「明るい」に〇をつけていなければ、それは「暗い」を意味するとも解釈できるため、評価を受けた本人はショックを受けることもあります。特に、他人からの評価を気にする人にはこうした傾向があります。

② 無理に参加させないこと
性格に関する項目は、コンプレックス(心の闇の部分)にかかわることもあり、開示に大きなストレスを生じる場合があります。したがって、人によってはジョハリの窓を行うことがマイナスになってしまう危険性もあります。この点は十分に気を付けておく必要があります。

参加メンバーは十分に信頼関係のある仲間で行い、自己開示に対するストレスが強い人を無理に参加させないようにします。「自己開示の訓練だから」という理由で参加させてはいけません。人によっては、心的な負荷の低い、別の自己開示訓練から徐々に行うことが適切な場合があります。職場にカウンセラーが配置されていれば、専門的な判断を仰ぎましょう。


2. 作成した「窓」から解釈できること

作成したジョハリの窓からは、他人から見た自分を知ることができます。実際の自分をうまく表現できていない、自己開示が不十分であることに気付いたり、気付いていなかった自分に気付かされたりすることもあります。これらの気付きは自己開発に活用することができます。
それでは、ジョハリの窓から分かることを見ていきましょう。

2-1. 開放の窓

開放の窓は、自分の分析と他人からの分析が共通しており、「自分自身も知っていて他人も知っている自分の性質」です。この窓の項目が多い場合、自分の内面や能力などを他人が分かるように表に出している(自己開示している)傾向が強いと言えます。逆にこの窓が小さいと、他人から見たときに「よくわからない人」のように見えているということになります。

2-2. 秘密の窓

秘密の窓は、「自分は知っているが他人は知らない自分の性質」です。この窓の項目が多い場合、内に秘めている部分が多く、自己開示をしていない、あるいはできていないと考えられます。

この窓には、意図的に表現していないことも含まれますが、自分の個性をうまく表現できていないという場合は、意識的に表現してみるといいでしょう。それによってこの項目は開放の窓に移り、開放の窓を広げることにつながります。

2-3. 盲点の窓

盲点の窓は、「自分は知らないが他人は知っている自分の性質」です。この窓の項目が多い場合は、自分自身の分析ができていない、あるいは自分が気付いていない部分が多いことを意味します。自分への理解を深めることに役立てることができます。自分が知らなかった自分の性質を理解し受け入れていくことで、この項目は開放の窓に移っていきます。

2-4. 未知の窓

未知の窓は、自分も他人も気付いていない、あるいはまだ開発されていない性質です。新しいことに挑戦したりする中で気が付く、あるいは新たに開発されていく可能性があります。開発すれば、秘密、盲点、開放の窓のいずれかに新たに項目が加わることになるでしょう。

つまり自己開発するということは、未知の窓を狭め、開放の窓を広げていくことだと言い換えることができます。


3. まとめ

ジョハリの窓はジョセフ・ルフト氏とハリントン・インガム氏の両名によって考案された心理学モデルの一つで、自己分析の手法として使われています。

「自分が知っている自分」と「他人が知っている自分」を分析することで、自己に対する気付きを得ることができます。この分析によって分かるのは、下記の4つの側面から見える自分の姿です。

・開放の窓(自分も他人も知っている)
・秘密の窓(自分は知っているが他人は知らない)
・盲点の窓(自分は知らないが他人は知っている)
・未知の窓(自分も他人も知らない)

開放の窓を広げ、未知の窓を狭めるように行動することで自己開発につなげることができます。この分析手法は、ビジネスにおける能力開発にも効果を発揮します。

ただし、この手法は自己開示を伴いますので、人によっては心的な負荷がかかることがあるので注意が必要です。実施する際は内容を十分に理解し、信頼できるメンバーで行うようにしましょう。

結果を受け入れ、自己の開発に利用すれば、ビジネスの世界、一般の人間関係においてもその効果を得ることができるでしょう。

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