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ジョブ・リターン制度とは 退職者の再雇用制度のメリットと注意点を解説

ジョブ・リターン制度とは、やむを得ない理由やキャリアアップにより自己退職した従業員を、本人の希望で再雇用する制度です。

「育児のために退職したが、落ち着いたのでまた働きたい」
「留学を終えたので、新たな知識を活かして働きたい」

このような退職者の声を活かし、ワーク・ライフ・バランスの推進人手不足の解消を併せ持つ施策として誕生しました。しかし、「安易に再雇用を認めると、気軽に辞める人が増えるのでは」という懸念をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
本稿では、ジョブ・リターン制度とは何か、運用のポイントや具体例などを交えて解説します。


1. ジョブ・リターン制度とは

ジョブ・リターン制度とは、育児・介護・配偶者の転勤などで退職を余儀なくされたり、就学・留学・転職などキャリアアップを目指して退職したりした従業員を、本人の希望により再雇用する制度です。企業によって名称は異なり、再雇用制度、キャリア・リターン制度、カムバック制度と呼ばれることもあります。
厚生労働省の「平成29年度雇用均等基本調査」によると、再雇用の制度がある企業は全体の約3割です。


2. 制度が生まれた背景

一度退職した社員の再雇用自体は特段新しい取り組みではありません。これまでも多くの会社で行われていました。では、なぜジョブ・リターン制度として整備するようになったのでしょうか。
その背景には、企業の人材不足があります。入社した会社で定年まで働くことが一般的だった時代は終わり、現在は従業員が退職・転職するケースが珍しくありません。さらには、今後少子高齢化の影響も出てきます。厚生労働省の調査によると、生産年齢人口は今後20年で約1,400万人減少することが予想されています。企業による優秀な人材の獲得競争はますます激しくなるでしょう。

そこで注目されたのが、退職者の再雇用です。企業にとっては既に能力が把握でき、自社の理念や企業風土を理解している人材なので、入社後のミスマッチが起こりにくいという利点があります。また、退職前と同じ業務であれば改めて教育する必要もなく即戦力として期待できます。このような理由から、再雇用を「ジョブ・リターン制度」として周知し、退職した従業員が再び応募しやすい環境を整えるようになりました。
次章でジョブ・リターン制度のメリットを整理しましょう。


3. ジョブ・リターン制度のメリット

ジョブ・リターン制度を導入することで、企業はどのようなメリットを期待できるでしょうか。

・採用や教育にかかるコストが抑えられる
再雇用者は、企業にとっては能力を把握できる人材です。また、自社の理念や企業風土を理解しているので、入社後のミスマッチが起こりにくいと考えられます。また、一から教育をする必要もないため、結果として採用や教育コストが抑えられます。

・低コストでの運用が可能
ジョブ・リターン制度の運用コストとしては、広報誌での周知や退職者向けウェブサイトを整備する程度です。他に、従業員のライフプランに配慮した施策として、「配偶者帯同制度(配偶者の転勤地へ異動)」「休職制度」などがありますが、これらには人事異動に伴う手続きや社会保険料のコストがかかります。その点、ジョブ・リターン制度は、他の制度に比べて格段に運用しやすいと言えるでしょう。

・社外の知識・スキルを自社サービスに活かす
退職した従業員は、これまでと違う環境で活動することで、新たな知見とスキルを得る可能性があります。また、一度社外に出たことで自社を客観視でき、優れた点や課題点も浮き彫りにします。それを今後のサービス向上や新しいイノベーションに繋げることができます。

・企業のイメージアップ
ジョブ・リターン制度は、女性が活躍しやすい会社としてのPRにも繋がります。子育てと仕事の両立について不安を感じている女性は多いため、復職する事例が増えれば、在職中の女性従業員や入社を検討する女性に安心感を与えられるでしょう。また、介護のために退職した人にとっても明るい材料になるでしょう。制度を活用して、「一度退職してもまた戻りたいと思えるほど良い会社」であると社内外に印象づけ、企業のイメージアップを図ることも可能です。

このように、ジョブ・リターン制度には、低コストでの採用活動や教育・制度運用が可能となる、社外の知識・スキルを自社サービスに活かすことができる、企業のイメージアップに繋がるというメリットがあります。


4. ジョブ・リターン制度の注意点

ジョブ・リターン制度にはメリットが多いものの、再雇用を前提とした気軽な退職が増えてしまっては本末転倒です。効果的な運用には制度のルール化と従業員の理解が必要です。
応募条件については「介護、配偶者の転勤、留学による退職」「勤続3年以上」など、範囲を明確にすると良いでしょう。また、入社後の待遇についても、在籍の従業員との不公平感が出ないように配慮しなければなりません。復職までのブランクが大きい場合には、正社員だけではなく、契約社員やパートなど多様な選択肢を用意するのも制度運用のポイントです。このように、再雇用の条件や待遇に関するルールを充分に考えた上での運用が求められます。


5. 企業の事例

ジョブ・リターン制度は、実際にどのように活用されているのでしょうか。ここでは2つの企業をご紹介します。

5-1. 大同生命株式会社

2011年からジョブ・リターン制度を導入しています。対象者は、「勤続3年以上の社員で、結婚・配偶者の転勤・育児・介護を事由として退職した人」と定めています。

●導入理由
ノウハウや経験、会社へのロイヤリティーを持っている人材にもう一度自社で活躍してもらいたいと考えたからです。同社の業務は他の生命保険営業とは異なる、独自のノウハウが必要とされているため、業務内容に精通している人材が復職すれば即戦力になります。また、退職者には、仕事の面白さを感じて「この仕事ならもう一度やりたい」と思う人も多くいます。このため、事情によって一度は退職せざるを得なかった従業員がまた働けるように、その仕組みを整えました。

●活用状況
社報や社内通知などを通じて積極的にジョブ・リターン制度を案内していることから、対象事由に該当して退職した従業員の多くが登録をしています。これまでに制度を利用して復職した人は2015年時点で 20 名で、うち6 名が子育てをしながら復職しています。今後はより柔軟な制度となるよう、復職時の就業形態(正社員・パート・契約社員など)の多様化を検討する予定です。

5-2. 帝人株式会社

2007年に「結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤を理由として退職した従業員」を対象に再雇用する制度(HELLO — AGAIN制度)を導入しました。

●導入理由
会社の文化や背景などを理解している人、会社に対してロイヤリティーを持つ人などは、同社にとって大きな存在だと考えているからです。また、復職する側にとっても、慣れ親しんだ会社に戻ることは、他社に転職するよりも安心感があります。再雇用制度は、会社・復職者双方にとってメリットの大きい制度だと考えています。

●活用状況
導入以降、2015年時点で25人が復職しています。その中には、配偶者の海外転勤により一度退職したのち、子育てをしながら海外でMBAを取得し、制度を利用して復職した女性従業員もいます。その女性は現在、管理職として活躍しています。


6. まとめ

ジョブ・リターン制度とは、やむを得ない理由やキャリアアップにより自己退職した従業員を、本人の希望で再雇用する制度です。
制度が生まれた背景には人材不足があります。企業が優秀な人材を獲得する手段のひとつとして、元従業員の再雇用を制度化するようになりました。

ジョブ・リターン制度のメリットは次の通りです。
・採用や教育にかかるコストが抑えられる
・低コストでの制度運用が可能
・社外の知識・スキルを自社サービスに活かす
・企業のイメージアップ

注意点としては、
・応募条件を明確にすること
・在籍の従業員との不公平感が出ないように配慮すること
が挙げられます。

では、ジョブ・リターン制度は、実際にどのように活用されているのでしょうか。ここでは2つの企業をご紹介します。

大同生命株式会社
同社では、対象者を「勤続3年以上の社員で、結婚・配偶者の転勤・育児・介護を事由として退職した人」 と定めて、ジョブ・リターン制度を導入しました。これまでに制度を活用して復職した人は 2015年時点で20 名に上ります。

帝人株式会社
同社では、「結婚、出産、育児、介護、配偶者の転勤を理由として退職した従業員」を対象に再雇用する制度(HELLO — AGAIN制度)を導入しました。2015年時点で25人が復職し、中には子育てをしながら管理職として活躍する女性もいます。

ジョブ・リターン制度は、企業側・復職側双方にメリットのある制度です。離職期間にスキルアップして復職するケースもあるため、多くの企業で積極的に利用されています。人材確保の手段のひとつとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考)
厚生労働省 「平成29年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/07.pdf
厚生労働省 「女性の再就職・再雇用」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h26-03_itakuchousa01.pdf

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