反転授業とは 知識の定着と創造性を高めるITを駆使した新しい教育手法

反転授業とは、学習内容をインプットする方法とアウトプットする方法を従来と逆転させた教育手法です。

「充実した社員教育を行っているつもりだが、どうも社内の議論が活性化されない」
「組織改革を進めているが『長いものには巻かれろ』という風潮が抜けず、若い連中の元気がない」

このようなお悩みを抱えている人事担当者の方は少なくないのではないでしょうか。
元より日本の教育は知識偏重型だと言われて久しく、さらに儒教的な価値感に根ざした日本人の気質から、インプットは充分でもそれをうまくアウトプットできない人材が社会に多く見られます。

学校教育は変わってきていますが、すでに社会で働いている人々について、この課題はどのように解決できるでしょうか。その答えのひとつが反転授業です。カギは、自分の知識を使いこなす能力があるかどうか、にあります。

本稿では、反転授業とは何か、また、企業の人材育成にどのように活かすことができるかを解説します。ぜひ参考にしてください。


1. 反転授業とは

「反転授業」は、近年注目されている新しい学習方法です。

従来の学習方法は、講義形式の「授業」で知識を習得し、授業後の「宿題」でその知識を使って各自が演習を行うものでした。授業でインプットし、宿題でアウトプットするというやり方です。反転授業とは、「反転」の言葉が示すように、授業と宿題との役割を反転させたもので、授業に先立って講義動画を見て知識を習得し、習得した知識を授業で使います。インプットとアウトプットの場を逆転させた学習方法ということになります。

例えば、ある事柄について、事前にその内容や背景、問題点について学び、授業でそれらを使って討論やプレゼンテーションを行う、あるいは、教師が提示したテーマについて事前に学習しレポートを作成、授業で討論、その後に最終レポートを提出する、などが考えられます。


2. 反転授業の歴史

反転授業の考え方は2000年頃から提案され、2010年頃から欧米を中心に注目を集めるようになってきました。

この普及を後押ししたのがデジタル教材の普及と教室外のICT環境の整備です。具体的にはオープン教材がインターネット上で広く提供されるようになったこと、家庭や学校でインターネット回線が整備され安価な情報端末が普及したことです。


出典)eduview「『反転授業』と『MOOC』の根本的な違いとは〜加藤大氏に聞く」<http://eduview.jp/?p=1107&page=3>


3. 反転授業のメリット

ITの発展が普及を後押ししたとはいえ、反転授業がここまで急速に注目を集め、広まっていったのはなぜでしょうか。ここでは反転授業の教育手法としてのメリットをご紹介します。

3-1. 対話型授業による効果が高い

授業で行う演習を協同学習形式、例えばディスカッション、プレゼンテーション、グループワークなどで行うことにより、教室にいる生徒同士、あるいは生徒と教師が相互に意見を交わしたり、自分の得た知識を教え合うことができます。こうした関わりが学習意欲や学習効果の向上を促し、コミュニケーション能力も養うことができます。

3-2. 繰り返し学習できる

授業前に視聴した講義動画を授業後に再度視聴して復習したり、わからない箇所を重点的に視聴したりと何度も活用することができます。

3-3. 知識の習得度を授業で確認できる

授業がアウトプットの場になるため、教師は演習を通じて生徒の知識の習得度合いを確認することができます。それにより、生徒一人ひとりに合わせたきめ細やかな対応ができ、生徒の知識の定着と理解を深めることができます。

3-4. 学習行動の把握ができる

授業前に行う宿題をeラーニングで管理することにより、どのくらいの時間を宿題の講義動画の視聴に費やしたか、授業外の学習行動を把握できます。それにより、従来より圧倒的に学習行動の量と質を判断する材料が増えます。

3-5. 学習の進度を高めることができる

授業外での学習時間が確保されるため、より多くの学習内容を扱うことができるようになり、従来より短期間で学習内容を修了することができたという結果が出ています。


4. 反転授業の課題

高い効果が望める反転授業ですが、いくつか課題もあります。ここでは導入にあたって注意すべきポイントを確認しましょう。

4-1. 環境を整備しておく必要がある

講義動画を見るための端末提供と、学習環境にインターネット回線が整備されている必要があります。特に学校教育の場合は、各家庭のIT環境が問題となりうるでしょう。

4-2. 事前の学習時間の確保

反転授業は事前に生徒が知識を習得していることを前提にしています。生徒の授業外での学習環境を整えること、学習意欲を持たせるなどのフォローが必要です。

4-3. 求められる教師のスキル、能力

教師には、講義を行う「講師」ではなく、授業で効果的な演習を円滑に行うための「ファシリテーター」としての役割が求められます。また生徒の習得度を理解し、学習支援を行うコーチングの能力も重要です。


5. 企業の人材育成における活用

学校教育の場への導入が進んでいる反転授業ですが、その考え方は企業の人材育成にも有用です。

例えば、ある研修において、事前に各自が講義動画を視聴しておくことにより、集合研修の場をディスカッションや事前課題のプレゼンテーションなどに当てることができます。これは、eラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッドラーニングといえます。

事前に個人で学んだ知識を、集合研修での実務を想定したアウトプット型の演習を通じて、実際に使えるスキルに変えるイメージです。

ビジネスパーソンは時間がないのが常ですから、事前学習の期間を長めに設定しておき、自由な時間に学習してもらえば、業務への影響が少なく済みます。また、長い講義を聴くよりも、参加型・体験型の研修のほうが、実践的である点はもちろん、刺激的でエッセンスの詰まった学習体験となるはずです。

実際に導入した企業では、講義よりもワーク中心の方が楽しい、やりがいがある、動画で何度も振り返りができるので理解が進む、といった評価の声が挙がっています。

講師陣には、ファシリテーターという従来と異なる役割が求められますが、同じ内容を繰り返し講義する負担がなくなり、より実践的な指導が行えるというメリットがあります。


6. まとめ

「反転授業」は学習内容をインプットする方法とアウトプットする方法を従来と逆転させた教育手法です。

従来は授業で行っていた知識の習得(インプット)を授業前に個人で行い、従来個人で行っていた演習(アウトプット)を授業で行います。

知識を習得するだけでなく、使って学ぶことに重点が置かれているため、実務で活躍できる人材を育成したい企業にとっても効果的な方法です。

そのメリットと課題は以下のようにまとめることができます。

メリット
・対話型授業による効果が高い
・繰り返し学習できる
・知識の習得度を授業で確認できる
・学習行動の把握ができる
・学習の進度を高めることができる

課題
・ハードウェア環境の整備
・事前の学習時間の確保
・教師のスキル、能力

企業にとって、自社の従業員が自分の持っている知識をいかに効率的かつ効果的に実務に活かせるかは、ビジネスを左右する重要なテーマです。

そして、集合研修は、時間のないビジネスパーソンに同じ目的のために集まってもらう数少ない機会です。その効果をどのように最大化するかは人事担当者にとって悩ましい課題ですが、「反転授業」形式の研修の導入は一つの解決方法と言えるでしょう。

これを機に、研修の方法を見直してみるのはいかがでしょうか。

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