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フレックスタイム制とは メリット・デメリット、運用の注意点を解説

フレックスタイム制とは、労働者が自分の働く時間帯を自由に配置・決定できる制度のことです。

繁忙期の残業時間が多い、休日出勤が頻繁に発生する、など従業員の就労状況の問題に悩んでいる企業も少なくないでしょう。
働き方改革などが重視される昨今において、適切な労働時間制度の構築と運用は企業にとって重要な課題です。

本稿では、その課題解決に貢献するフレックスタイム制度を紹介します。この制度のメリットとデメリットを説明するとともに、適切な運用に必要な注意点を紹介しますので、従業員の働き方の改善検討にご活用ください。

※働き方改革関連法による労働基準法の改正に合わせて内容の一部を修正しました。


1. フレックスタイム制とは

冒頭で述べたとおり、フレックスタイム制度では従業員が自分の働く時間帯を自由に配置・決定できますが、無制限に自由というわけではありません。

労使間で事前に定めた一定期間(清算期間)における労働時間の合計(総労働時間)の範囲内で、従業員が各日の始業および終業の時刻を自ら決定し、勤務するという形を取ります。

清算期間は、以前は1カ月以内とされていましたが、法改正により最長3カ月まで延長されました。より長い期間の中で労働時間の調整ができるようになったと言えます。

清算期間を3カ月とした場合、労働時間調整のイメージは以下のようになります。

参考)
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き P.6
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

このフレックスタイム制度は、労基法第32条第3項に規定されており、1日や1週間の法定労働時間に代わり清算期間内の総労働時間で時間外労働の適用が判断されます。つまり、フレックスタイムの範囲なら1日や1週間の法定労働時間を超えて労働してもよいのです。

ただし、
① 清算期間全体(労使協定で定められる最長3カ月)の労働時間が週平均40時間
② 清算期間が1カ月を超える場合、月ごとの労働時間が週平均50時間

どちらか一方でも超えると時間外労働とされ、割増賃金の支払いが必要になります。


参考)
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き P.6,7,13~16
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

労働時間について、完全週休2日制の場合には特例があります。労使協定により「清算期間内の所定労働日数×8時間」を労働時間の限度とすることができるのです。
これにより、残業のない働き方をしているのに曜日の巡りによって想定外の時間外労働が発生する、という問題が解消されます。
具体的には、以下の例のようになります。

(例)
清算期間は1カ月。土・日が休日で、1日の労働時間を7時間45分とするフレックスタイム制を導入。
上記のカレンダーの場合、

①総労働時間 > ②法定労働時間

となり、完全週休2日制で残業のない働き方をしたにもかかわらず、時間外労働が発生してしまいます。
そこで特例を適用すると、

①総労働時間 < ②法定労働時間

となり、時間外労働が発生しません。

参考)
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き P.8
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

通常のフレックスタイム制度では、1日の労働時間帯は必ず勤務すべき時間帯のコアタイムと、出社または退社が可能な時間帯のフレキシブルタイムに分けられます。コアタイムは必ずしも設定しなくてよいので全部をフレキシブルタイムとすることも可能です。

例えば以下のような設定が見られます。

コアタイム 10:00~15:00(昼食休憩1時間)
フレキシブルタイム 6:00~10:00と15:00~19:00

なお、フレックスタイム制を導入する場合、労使協定の締結と就業規則にその内容を記載しておくことが必要です。
加えて、清算期間が1カ月を超える場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることが義務づけられており、違反すると罰則が科せられることがあります。

労働時間を調整できる制度としては、変形労働時間制というものもあります。
変形労働時間制は1カ月や1年単位の期間で変則的な労働時間を定める方法です。業務の繁閑がはっきり分かれていて、通常の時間通りの勤務が非効率である場合に有効です。
変形労働時間制では企業側が労働時間を定めるのに対して、フレックスタイム制では出退勤時間について労働者個人に委ねられる部分が大きく、従業員の立場ではフレックスタイム制の方がメリットを感じやすいでしょう。

>>変形労働時間制については、関連記事「「変形労働時間制」とは 上限を1年・1カ月単位で定めるメリット・デメリット」をご参照ください。

厚生労働省が行っている近年の就労条件総合調査を見ると、フレックスタイム制度を採用する企業(種類別採用企業)の割合で変化が確認できます。2010年・2011年の5.9%から2015年の4.3%まで下降トレンドになっていました。しかし、2016年・4.6%、2017年・5.4%・2018年・5.6%は上昇へ転じています。

働き方改革への取り組みが本格化されつつあり、フレックスタイム制度を採用する企業の増加が今後も予想されます。


2. フレックスタイム制のメリットとデメリット

この制度のメリットとデメリットを確認しましょう。

2-1. メリット

フレックスタイム制では以下のようなメリットが見られます。

・ワークライフバランスの促進
この制度では労働時間が柔軟になるため、仕事と個人生活との両立が実現しやすくなります。子供の世話、病院への通院など通常の「9時~18時」といった定型の勤務形態では困難な働き方がフレックスタイム制度なら可能です。
個人の暮らしがより快適になるため、仕事への集中力が増し業務成果の拡大・業務の効率化も期待できます。

・労働時間を調整しやすい
法改正により清算期間が最長3カ月までとされたため、「繁忙月と閑散月がある」、「この月は資格試験の勉強のために早く帰りたい」など、自身の都合に合わせて労働時間の調整がしやすくなりました。厚生労働省の解説では、例えば6~8月の3カ月が清算期間である場合、共働きの小学生の親が、小学校が夏休み中の8月に労働時間が短くなるよう調整し、子どもと過ごす時間を長く取れるという例を紹介しています。

・人材の確保に有効
この制度は離職防止に役立つ、社員の採用を容易にする、といった人材確保に有効です。定型的な勤務形態では結婚、子育て、病気や介護などで離職に至る場合でも、フレックスタイム制度なら勤務も継続しやすくなり離職の防止に貢献します。
また、この制度はワークライフバランスの促進が魅力と感じられ、企業のイメージアップにも繋がるため人材採用にも有効です。優秀な人材の流出防止や確保も容易になるでしょう。

・残業時間の削減と労働負担の軽減
通常の勤務形態では回避できない残業時間や休日出勤もフレックスタイム制度なら削減することも可能です。
業務状況に対応した適切な勤務時間が設定されると不要な残業時間を削減できるほか、労働者の身体的な疲労も軽減できます。疲労が軽減できれば、仕事でのミスの削減や効率化も期待できるはずです。

2-2. デメリット

フレックスタイム制では以下のようなデメリットが見られます。

・出退勤の時刻設定を誤ると業務に悪影響
この制度で出退勤の時刻設定が業務の状況に適さないと重大な問題が生じかねません。
例えば、顧客や取引先との連絡の時間帯と従業員の出退勤の時間帯とにずれが生じると、商談に関するコミュニケーション効率が下がる可能性があります。また、同じ企業でも、営業部と製造部の出退勤の時刻のずれにより連携に支障が出て、余計なトラブルを招く恐れもあります。

・ルーズな時間管理の助長
この制度で時間管理がルーズになると業務に計画性がなくなり、非効率になったり業績を低下させたりする可能性が増します。時間にルーズな労働者にとってはその傾向を助長させる危険があることから、上司などにはより適切な管理・指導が求められます。
また、清算期間が3カ月の場合、長期間で適切な業務計画を立てる必要があるため、例えば1カ月ごとに業務の進捗を確認するなど、業務が滞らないよう対策を考える必要があります。

・光熱費などで余分な経費が増大
フレックスタイム制度で労働者の出退勤時刻の範囲が広がると、各職場を利用する時間が長くなるため光熱費などが増大します。たった1人でも朝早くからや夜遅くまで部屋・施設を利用すると照明や空調の費用がかかり、1日を通したその経費は多くなるわけです。


3. フレックスタイム制の注意点

この制度では導入や運用にあたり以下の点で注意が必要です。

・導入意義の説明と労働者の理解
この制度を何のために導入するのか、その意義を労働者に伝達しておく必要があります。同制度により出退勤が単に楽になる、便利になるというだけでは、ルーズな時間管理を助長しかねないため、その目的などを労働者に周知徹底してもらわねばなりません。

・適用する職務の選定
フレックスタイム制度で効果を発揮する職務とそうでない職務があるので、適用は慎重に選定されるべきです。
従来の「918時」の画一的な勤務形態よりも、この制度のほうが本当に労働者の個性や能力を発揮させ、成果拡大や効率化に結び付けられるのかといった観点から、職務ごとの評価・選定が求められます。

・職場のコミュニケーションの悪化防止
職場で直接会って会話する機会が減ると、協調性の低下や疎外感の助長などの弊害が危惧されるため対策が求められます。また、上司などが部下の問題や悩みに気付く機会が減ることに繋がるので注意が必要です。
こうした弊害を防止するとともに、業務効率の向上や知識・ノウハウの共有を促進させるために職場の全員が揃う時間帯や機会を適切に設定することが求められます。


4. まとめ

フレックスタイム制とは3カ月以内の清算期間の総労働時間を事前に定め、労働者はその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を自ら決定して勤務する制度です。フレックスタイム制の範囲なら1日や1週間の法定労働時間を超えた労働ができます。

この制度には以下のメリットが期待できます。

・ワークライフバランスの促進
・労働時間を調整しやすい
・人材の確保に有効
・残業時間の削減と労働負担の軽減

また、以下のデメリットが生じる恐れもあります。

・出退勤の不適切な時刻設定による業務への悪影響
・ルーズな時間管理の助長
・光熱費などの増大

なお、同制度の導入や運用では以下の点で注意が必要です。

・導入意義の説明と労働者の理解
・適用する職務の選定
・職場のコミュニケーションの悪化防止

法改正により清算期間が最長3カ月となり、より柔軟な働き方が可能になりました。人手不足で、人材確保が難しい今日ではフレックスタイム制のような弾力的労働時間制の採用はますます重要になるため、企業での導入検討はさらに必要になってくるでしょう。

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