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〔アデコ〕改正派遣法のその先へ:eラーニングを活用したキャリア開発で、選ばれる人財サービス会社へと舵を切る

改正派遣法の施行から3年。そして改正労働契約法の施行から5年と、2018年は派遣社員を含めた有期雇用社員やそうした社員を雇用する企業を取り巻く環境が大きく変化する年といわれています。法改正に伴い、関連事業者へも変化が求められています。

たとえばそのひとつ、改正派遣法の“キャリアアップ措置”。これにより、派遣元事業者には、雇用している派遣社員のキャリアアップを支援することが求められるようになりました。具体的には、(1)段階的かつ体系的な教育訓練、及び、(2)希望者に対するキャリア・コンサルティングを実施することが義務付けられました。

そういった様々な変化の渦中にあって、法改正以前より積極的に派遣社員のキャリア開発に取り組む会社があります。アデコ株式会社では、「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」というビジョンを掲げ、派遣社員へのキャリア支援を確実に拡充しています。その支援の根幹を支えているものは、「キャリアコーチ制度」です。派遣社員の専任担当者である「キャリアコーチ」が、一人ひとりの派遣社員としっかりと向き合い、長期的な視点でキャリア開発を支援しています。キャリア開発の施策の一つとして、eラーニングをはじめとしたシステムを活用することで時間・地域の制限なく教育プログラムを拡充させ提供しています。

今回は、これからの人財サービス会社の在り方や派遣社員のキャリア開発の強化についてアデコ株式会社 キャリア開発本部 中西浩一本部長、同キャリア開発本部 キャリア開発企画部 佐藤栄子部長にお話を伺いました。


1. 少子高齢化、AI時代の人財サービス会社とは

―2016年からの中期事業計画(5か年計画)にて「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」というビジョンを掲げていらっしゃいます。このビジョンを打ち出された背景を教えてください。

中西様:少子高齢化がますます進展していくと同時に、AI、ロボティクス等のテクノロジーの加速度的な進化によって定型的な業務や補佐的・支援的な業務というのはおそらくどんどん代替されていくという現実が迫ってきています。そういった時代の中、より難易度の高い業務をこなすことのできる、能力や意欲が高い人財に選ばれる人財サービス会社にならなくてはならない、というのが我々の最大のテーマであると認識しています。では、どのような会社が選ばれるのか、ということを考えていくと、我々は大きく2つの課題に突き当たりました。

―2つの課題、というのはどのようなものでしょうか?

中西様:1点目は本当にその方のキャリアや能力、コンピテンシー、価値観、キャリアの方向性など、正確に人財を理解した上で採用や仕事の紹介ができているかという点です。例えば、これまで転職市場では「35歳の壁」というように年齢によって分岐的があるといわれていました。しかし、実際には年齢を重ねるほどにキャリアを積み、活躍できる方は多くいらっしゃいます。その逆も然りです。本来は、ブランクがあってもその方が本質的にどのような能力を持っているのか、どのような分野でより活躍ができ成果が出せるのか、そしてどのような仕事であればその方のキャリア形成に資するのか等を把握し、判断の材料としていくことが極めて重要です。しかし、世の中全体で、その人の本質ではなく年齢や職歴を偏重する傾向があるのではないかと思っています。属性や履歴書だけを見てキャリアの可能性を閉ざすような慣行は変えていくべきです。そうした世の中を実現するために、人財サービス会社が担うべき役割は大きいと考えています。

中西様:もうひとつは、1点目と大きく関連しますが、本質的なところでどこまで真剣に派遣社員の長期的なキャリア形成に向き合えているのだろうか、という点です。労働人口が減少の一途を辿る今後を見据えると、人財の長期的なキャリア形成をしっかりと支援できる会社になることは、人財サービス会社の社会的責務であると思っています。これら2つをしっかり行うことで、求職者の方々に「アデコに行けば、より自分のことを理解した上で、最適な仕事を紹介してもらえる。アデコに行けば自分が成長できる」と思ってもらえるようになると考えています。それを文字で表したとき「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」というビジョンが生まれました。このビジョンを達成することができれば、必然的に選ばれる人財サービス企業になると確信しています。

 

―現在はそのような変革の途上にある、ということでしょうか。

中西様:このビジョンは2015年に誕生しました。そこから様々な変革を進めており、おっしゃるとおり、現在変革の途上にあります。実際に効果が目に見えて現れてくるのは5年後の2020年以降と考えています。それくらいになると、先ほど申し上げた少子高齢化の問題やAIによる仕事の代替といったことがますます深刻になってきているでしょう。そこを見据えて、腰を据え長期的な取り組みとして取り組んでいこうとしています。


2. キャリア形成を担う「キャリアコーチ」制度

―ビジョン実現のため、具体的にはどのような取り組みを実施されているのでしょうか?

中西様:様々な取り組みがありますが、その根幹を担うものとして派遣社員のキャリア形成を長期的にサポートする「キャリアコーチ」制度を導入しました。「キャリアコーチ」は、今までとは全く異なる視点で派遣社員のキャリアに携わる、人財専属の担当者です。

―今までと全く違う、とはどういうことでしょうか?

中西様:今までは、お客様(派遣先企業)ごとに営業担当者とコーディネーターがつき、コーディネーターが派遣社員の就業サポートをしていました。しかしこのコーディネーターは、基本的にはお客様ごとの担当者のため、派遣社員の就業先が変われば、別のコーディネーターが付くことになります。一方で「キャリアコーチ」は、派遣社員の専属担当のため、就業先にかかわらずずっと担当することになり、その人のキャリア形成に長期的に寄り添うことになるわけです。また、コーディネーターは課題解決型、つまり何か問題が起きた時にその解決を図るという動き方をします。これは裏を返せば、特に問題がない優秀な派遣社員ほどサポートの機会が少なくなるということに他なりません。これに対してキャリアコーチは、問題の有無にかかわらず、その派遣社員のキャリアアップについて何ができるかを常に一緒に考え、コンサルティングしていきます。このようにして、派遣社員一人ひとりの継続的なキャリア育成、そして希望する方には無期転換などを通じて、さらなるキャリア開発を共に目指していきます。キャリアコーチは、従来のコーディネーターとは根本的に関わり方が違う、本当の意味での“人財担当”なのです。

<キャリアコーチ制度>

―そのような考えは、社内外にすんなり受け入れられたのでしょうか?

中西様:お客様の中には、自社担当のコーディネーターがいなくなることについて不安に思われる方もいらっしゃいました。窓口として営業担当者がいるところは変わりがありませんので、ご要望には的確に対応できていると思っていますし、お客様の求める業務をきちんとこなせる意欲が高い派遣社員をご紹介することで、少しずつ理解を得られているものと思っています。

佐藤様:社内でも「派遣社員は本当にキャリア形成を求めているのか?」という議論が当初はありました。実際に派遣社員の中には「自分のキャリアについて考えたこともない」という方もいました。私たちがいくら支援をしようとしても、やはりご自身にキャリア開発を「自分事」として捉えていただかないと意味がありません。社内に向けてはキャリアデザインセミナーを開催したり、派遣社員向けには自己理解のためのセミナーを行ったりと少しずつ働きかけを行ってきました。そのおかげか、今は社内ではしっかりとビジョンの重要性が共有できており、「派遣社員にキャリア開発は必要ない」と考えている社員はゼロだと思います。


3. 改正派遣法“キャリアアップ措置”への対応

―2015年の改正派遣法をどのように受け止められたのでしょうか?

佐藤様:先ほどご紹介した当社のビジョンが社内に根付いていたので、「法律で義務付けられたからキャリアアップに取り組む」というスタンスではなく、より前向きに法改正の本質を捉えることができました。つまり、“キャリアアップ措置”は我々のビジョンを実現するために必要なステップのひとつであると、そのように捉えて取り組むことができました。

―教育訓練計画の作成も義務付けられましたが、それも苦労なく進められたのでしょうか?

佐藤様:もちろん、計画にあたって大変な局面もありました。しかし、せっかく教育訓練計画を策定するのであれば、形骸化はさせたくないという強い思いがありました。どのようにすればスキルアップやキャリア開発のきっかけになるかということを意識しました。法律では職種ごとに計画を作ることは求められてはいないのですが、実際には職種により必要となるスキルは異なります。そこで、弊社では「事務系」「対人サービス系」「IT・エンジニア系」「その他の職種」の4つの職種に分け、さらにIT・エンジニア系に関しては、グループ会社のVSNのノウハウも取り入れながら、計画を策定しました。


4. eラーニングで効率化を加速する

―教育訓練の実施にあたり、eラーニングを導入された理由を教えていただけますか?

佐藤様:eラーニングの一番の良さは、「いつでもどこでも誰でも同じものを受けられる」というところです。
当社にご登録いただいている派遣社員の方は、全国にいらっしゃいます。対面型の講座では、都内は充実しているけれど地方の都市では受講できるものが限られる、ということがどうしても起きてしまう。eラーニングなら、全国どこにいても同じものを受けていただけます。また、働くスタイルや職種もみなさんそれぞれ。土日に働いている方もいらっしゃるので、曜日や時間帯を気にせず受けていただけるeラーニングは、教育メニューの提供方法としては最適だと思います。

―eラーニングのシステム(LMS [1])は複数社から提供されていますが、ライトワークスのサービスを採用した理由は何だったのでしょう?

佐藤様:主な理由は2つあります。まず1つめは、他社のサービスを含め、かなりいろいろと検討したのですが、1つのシステムで、欲しいと思っている全てのコンテンツ(教材)を網羅しているものは存在しなかったんです。会社によって、事務系の教材が豊富だったり、IT系に強かったり。であれば、私たちがオリジナルで作成した教材や外部で購入した教材も簡単に載せることができ、どんどんコンテンツを拡充することができるシステムが良いということになりました。それが可能だったのがライトワークスのCareership®でした。2つ目の理由としては、法律にのっとった受講履歴の取得や報告書の作成が簡単にできる、というところでした。人財サービス会社には、派遣社員毎に日々の受講状況を派遣元管理台帳に記載したり、年に1回事業所単位の事業報告書を厚生労働省に提出する義務があります。これらは、法改正により新たに発生した業務ですが、会社としては法律が変わったからといって社員を増やすわけにはいきません。定型的な事務処理を正確かつ迅速に対応できるシステムの導入が求められました。

―実際に、eラーニング導入後の効果はいかがでしたか?

佐藤様:まず、派遣社員の給与計算に関する人的ミスがなくなりました。また、当初3人がかりでやっていた運用業務を、現在は専任1人でできていますから、工数はかなり低減されたと思います。とにかく効率化できるところは徹底的に効率化し、その分、手を掛けるべきところには非効率と思われても手を掛けるというのが会社の方針ですので、今後も効率化を進めながら、キャリアコーチの研修や強化などにはしっかり手をかけていきたいと考えています。

―eラーニングの学びの効果については、どのようにお考えですか?

佐藤様:キャリア開発における学びにはOff-JTとOJTとがありますよね。もちろん両方必要ではありますが、特に効果的な学びの場と考えると、圧倒的にOJTで学ぶことが多いと思います。一方で、eラーニングのようなOff-JTで学べることは限られてはいるけれども、Excelのスキルだったりコミュニケーションスキルだったり、次の職場に行っても活かせることが多い。どこの職場でも汎用的に使えるものを「ポータブルスキル」といいますが、派遣社員の場合、最長でも3年で派遣先が変わるわけですから、eラーニングの中で、そういう学びを得ていただくことが、長期的なキャリア形成という面でも資すると考えています。

―実際にeラーニングを受講された派遣社員の方からの評判はいかがでしょうか?

佐藤様:受講した方も増えてきたので先日アンケートを実施してみたのですが、その中に「正直、受けたらお金をもらえるから受けました。そうしたら思いのほか身になるものだったので、これをきっかけに少し勉強してみようと思いました。」という回答があったんです。私たちが提供できるものは限られているかもしれませんが、「もう一回学んでみよう」という気づきを与えるという意味ではインパクトがあるなあと感じました。先ほどもお話ししたように、キャリア開発を「自分事」として捉えてもらうことが、今後の我々にとって大きな課題です。お金がもらえるから受けたeラーニングの知識が、例えば仕事でも役立ち、いいことがあった、もっと学んでみよう、と。そういうサイクルを回すことによってキャリアに関する気付きを得ていってもらえればいいなと思います。


5. まとめ

改正派遣法や改正労働契約法による無期雇用転換、国会での働き方改革法案審議など、これからの働き方を模索する動きが日々ニュースでも取り上げられています。そんな中、アデコ株式会社では、将来、確実にやってくる「少子高齢化」「人財不足」「補佐的業務のAI代替」などの現実を見据えながら、派遣社員のキャリア支援のための様々な新しい取り組みを進めています。

中でもキャリアコーチ制度とeラーニングは「手厚さ」と「効率化」を実現する両輪の施策であり、「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」というビジョンを達成していくための一連の変革を下支えするものと言えるしょう。中西様、佐藤様が繰り返されていた“派遣社員の方と本質的に向き合う”という言葉が、強く印象に残るインタビューでした。

[1] Learning Management System、学習管理システムのこと。

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