実はそういうことじゃない マネジャーが知っておくべき本当のダイバーシティ

ダイバーシティという言葉を至るところで聞くようになりましたが、実はそれが何を目指しているのかという素朴な疑問が解消されないままに旗が振られているという印象を持っている人は多いのではないでしょうか。

ダイバーシティを推進することは社会の既定路線になっています。

しかし、納得感がないままに取り組んでも成果が上がらないことは目に見えています。

本稿ではダイバーシティとはいったい何なのか、その本当のところをわかりやすく説明します。

1. ダイバーシティとは何か?

1-1. ダイバーシティを推進する本当の理由

ダイバーシティを推進する背景としてよく挙げられるのは、少子高齢化による労働人口の減少とグローバル化です。その帰結として、女性と外国人の活用の必要性が説かれています。

しかしながら、このような「仕方がないので対応する」という消極的なスタンスでは、何事も決してうまく行きません。積極的な動機がなければ、誰も力を合わせて困難な目標に向かおうとはしないからです。

ダイバーシティを推進する積極的な理由とは何でしょうか。それを一言で言えば、シリコンバレーの大成功です。

世界のイノベーションをリードしているのがシリコンバレーであることは、いまや誰も否定できません。そして、シリコンバレーこそダイバーシティの代名詞なのです。

シリコンバレーに行った瞬間にわかりますが、「ここはどこの国だ?」と思うほど色々な人が集まっています。そのような異質の人材同士が化学反応を起こすことで、革新的なアイデアが続々と生まれているのです。

シリコンバレーの大成功を見れば、そこで活用されている最先端の手法を導入したくなるのは人情です。アジャイル、リーンスタートアップ、デザイン思考など、様々なエキゾチックな概念が紹介されています。

しかし、わが社に導入して成果を上げたという話はほとんど聞きません。なぜシリコンバレーの最先端の技法をうまく活用できないのでしょうか。

それは、シリコンバレーでこれらの手法を支えている土台となるものを無視しているからです。その「土台となるもの」がダイバーシティなのです。多様な人材を活かすという風土でしか、これらの手法は効果を発揮しないのです。

したがって、日本企業がダイバーシティを推進する本当の理由は、「シリコンバレーに追いつけ、追い越せ」ということになります。多様な人材を活かすことでイノベーションを起こし、それによってビジネスの成長を目指すのです。

 

1-2. ダイバーシティの考え方

ダイバーシティ(diversity)は英語で多様性という意味です。ビジネスの文脈においては「多様な人材を活かす戦略」という意味で使われるのが一般的です。日経連ダイバーシティ・ワーク・ルール研究会はダイバーシティを次のように定義しています。

ダイバーシティとは「多様な人材を活かす戦略」である。
従来の企業内や社会におけるスタンダードにとらわれず、多様な属性(性別、年齢、国籍など)や価値・発想を取り入れることで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、企業の成長と個人のしあわせにつなげようとする戦略のことを言う。

この定義から明らかなように、ダイバーシティは企業戦略のオプションの一つです。企業戦略である以上、その究極の目的は持続的な競争優位を確立して価値を創造することにあります。その目的を達成するために、社員一人ひとりが持つ「違い」を尊重して受け入れ、「違い」を積極的に活かすことで組織のパフォーマンスの向上を目指します。これがダイバーシティの考え方です。

ダイバーシティの特徴を挙げると次のようになります。

1. 一人ひとりの「違い」に価値を見出す

人材の能力の高さは価値を生み出す原動力となります。
しかし、能力の高さではなくて、メンバー一人ひとりの能力の違いを原動力にしようというのがダイバーシティの考え方です。

2. 一人ひとりの「違い」を尊重して受け入れる

自分と似たような人といるときに居心地よく感じるのは人間の本性と言えます。そのため、異質な人材が排除されるのは自然な傾向となります。

排除された人はマズローが言う「安全の欲求」や仲間になりたいという「社会的欲求」が満たされません。「自分はみんなに受け入れられていない」と感じると、他人とは違うユニークなアイデアを積極的に発信しようという気にはなりません。

しかし、そのような変わったアイデアこそが不確実なビジネス環境では価値を生み出すことになります。「違い」を価値の創造につなげるためには、一人ひとりの「違い」をリスペクトして受け入れなければなりません。

3. 個人の属性ではなくて、能力・スキルや成果を公平に評価する

多様な人材を活かすためには、一人ひとりのメンバーが公平に評価されなければなりません。
そこで評価の対象となるのはあくまでも創造された価値です。その人の性別 年齢、国籍、肩書などの属性は関係ありません。

したがって、ダイバーシティの本質は成果主義にあります。

 4. 全員が組織に平等に参加し、能力を最大限発揮できるようにする

一人ひとりの違いが最大限の効果を発揮するためには、全員の参画と貢献が必要になります。

ダイバーシティはインクルージョン(inclusion:包含)という言葉とセットで用いられるケース(ダイバーシティ&インクルージョン)が増えていますが、インクルージョンというのは全員参加ということです。

1-3. ダイバーシティのリスクとそれを克服する条件

ダイバーシティを本格的に推進するためには、そのリスクを冷静に認識しておく必要があります。「できたらいいな」というような心構えではとても成功するようなものではありません。

ダイバーシティが難しい理由ははっきりしています。それは、ダイバーシティが自然なものではないからです。もっとストレートに言えば、人間の本性に反する面があるということです。

人間の本性に従うと、同質的な者同士が集まるのが自然と言えます。アメリカに行くと、大学や会社の職場といったパブリックな場においてこそチームは多様性に富んでいますが、プライベートなカフェテリアでは同じグループの人間が集まる傾向があるのがすぐにわかります。これは良し悪しの問題ではなくて、あくまでも観察される現実です。「無理をしない限りダイバーシティは実現しない」というのがわれわれにとっての不都合な真実なのです。

したがって、きれいごとでダイバーシティに取り組んでいる限り、ダイバーシティは確実に失敗します。ダイバーシティがもたらす負の影響としては、次のような現象が挙げられます。

  • 組織内での軋轢、摩擦、誤解の発生
  • コミュニケーションの障害
  • チームワークや生産性の低下
  • ハラスメントの発生や増加

異質な人間が一緒になることによって生じるこのようなネガティブな現象を克服し、価値を生み出すための条件として、次の4つを挙げることができます。

難易度の低いものから挙げます。

  • 取り組む課題とのフィット

チャレンジする課題が簡単だったら多様性は不要です。
同質的なチームの方がスピーディに正解に到達します。

多様なものの見方と問題解決の方法を駆使し、ベストな解に向かって改善を続けられるというのがダイバーシティに固有のメカニズムです。これが有効に働くためには、問題の難易度が高くなければいけません。

変化の激しい今日のビジネスの状況はこの条件をクリアしているので、この点に関して問題は少ないと思います。

  • メンバー同士のもの見方・問題解決の方法の多様性

人材の多様性と言った場合、それは属性の多様性ではなくて、ものの見方と問題解決の方法の多様性だけを指します。

例えば、「女性の活用といっても、同じ会社に20年もいれば同じように頭は固まってくる。女のオジサンを増やしてもダイバーシティにならない。」と松田千恵子首都大学東京教授は言っています。

表面的な属性で判断してはいけませんが、女性や外国人の登用が世界的に見て遅れている日本企業にとって松田教授の懸念は小さいと言えます。

  • 目標の共有

個人は多様な価値観を持っていてよいのですが、チームとしては統一的な価値観を共有する必要があります。多様な価値観とは、大事なものが一人ひとり違うということなので、目指すものがバラバラになってしまいます。何を達成しようとするのかについてメンバー同士で意見が食い違えば、チームとして機能しません。

また、統一的な目標のためにリソースを集中しないと、大きな成果を生み出すこともできません。チームのビジョンはダイバーシティにとって非常に大事なものになります。

ここで注意しておきたいのは、個人が有する「ものの見方や問題解決の方法」は一人ひとり違っていてよいということです。個人の価値観とは違って、一人ひとりが持つものの見方や問題解決の方法の多様性は最終的に衝突を生み出すことはありません。どんなアプローチが取られても、結果が出ればメンバー全員が納得できるからです。

「白い猫でも黒い猫でもネズミをとるのがいい猫だ」という鄧小平のお気に入りのフレーズの通りです。

  • メンバーに対するリスペクト

多様性が価値の創造に結びつくためには、一人ひとりのものの見方と問題解決の方法がフルに活用される必要があります。そのためには、「自分は認められている。自分は受け入れられている」という安心感がMustとなります。

そのためにはメンバー一人ひとりがリスペクトされる必要があります。リスペクトというのは、一人ひとりが「違い」を持つ権利を認めることです。ダイバーシティにおいてはこれが最もチャレンジングな課題になります。

このような数々のリスクを認識すると、ダイバーシティがハイリスク・ハイリターンの戦略オプションであることがわかります。ハイリスクというのは、定義上ほとんど失敗するということを意味します。それでも果敢にリスクに挑戦して成功した企業だけが生き残ることができる。これが今日のタフなビジネス環境なのです。

2. 今すぐできるダイバーシティマネジメント

多くの会社でダイバーシティ推進室などが設立され、会社主導でダイバーシティの取り組みが行われています。それをいいことに「ダイバーシティは会社任せ」という傾向が見られるのは残念なことです。

ダイバーシティの目的はあくまでもイノベーションの創出による競争優位の構築なので、マネジャーとしてできることは率先して実践することが期待されます。

ここでは、マネジャーが今すぐ実践できる3つのアクションを提案します。

2-1. 自分から始める

ダイバーシティの価値を認識したマネジャーがダイバーシティマネジメントを実践するためには、まず自分でコントロールできることから始めるのが現実的です。

つまり、自分から始めることです。そのためには、次の3つのアクションを挙げることができます。

  1. 自分の価値観を認識する
  2. 自分のバイアスを知る
  3. 自分の感情をコントロールする

1. 自分の価値観を認識する

人間は他人の態度、意図、欲求を理解するとき、自分の価値観というフィルターを通して解釈する傾向があります。自分の価値観を他人に投影する傾向があるということです。

例えば、自分が上昇志向という価値観を持っていると、すべての人にとって昇進が強い動機付けになると思ってしまいがちです。

しかし、非常に優秀だけど出世階段を駆け上がるよりも自分のテーマを追いかけたいというメンバーがいるかもしれません。価値観はわれわれの思考に深く入り込んでいるので、自分の価値観とそれがもたらす判断のゆがみを知るには努力が必要となります。

まずは、部下とのやりとりを通して自分が何を大事にしているかをリスト化し、そこから自分の優先順位を認識するとよいでしょう。価値観そのものに良し悪しはありません。自分の価値観を否定的に評価する必要はありません。

一方、自分の価値観が「正しい」という姿勢はダイバーシティを破壊することになります。自分の価値観を冷静に認識することは、異なる優先順位を持つ部下に対する判断のゆがみを防ぐことになります。

 2. 自分のバイアスを知る

ダイバーシティにおいて特に問題になるバイアス(偏見)は、相手がどのグループに属しているかに基づいて「あの人はこういう人だ、こういう能力だ」と無意識に信じてしまうことです。

それは肯定的な場合もあれば、否定的な場合もあります。例えば、次のようなバイアスを挙げることができます。

  • 「アジア人は数学が得意だ」
  • 「35歳以上の人はSNSの本質がわかっていない」
  • 「彼女は柔道をやっていただけに、男勝りの仕事ぶりだ」

バイアスに頼ることは判断を容易にします。そのため、ものごとを単純に処理したがる本性を持つ人間には便利なものになります。しかし、判断の適切性は保証されません。

バイアスは、価値観と同じように人を公平に見ることを阻みます。さらに、人を排除することによってインクルージョン(全員参加)の妨げにもなります。

例えば、数学的な能力はアジア人の方が優れているというバイアス(実際に試験のスコアではそうなのですが)を持ったアメリカ人のマネジャーのもとでは、アメリカ人の部下は数学的な能力を発揮するチャンスを失うかもしれません。あるいは、チャンスが与えられないせいで数学的なスキルを磨こうという動機を失ってしまうかもしれません。

そのようなことが積み重なると、「アメリカ人は数字に弱い」ということが本当になってしまうかもしれません。

自分のバイアスを認識するためには、相手の実際の行動だけで判断しているか、その人に関する情報をもとにして想像的な判断をしていないかを振り返ってみます。特に次のようなケースに注意します。

  • 何らかのラベルに基づいた固定的、画一的な捉え方をしていないか
  • 前もって抱いている思い込みはないか
  • 正しいと思いこんでしまっていて、変えることが難しい考え方をしていないか
  • 偏った見方や考え方をしていないか
  • 好き嫌いで判断していないか

3. 自分の感情をコントロールする

自分が若手社員だったときに感情的な振る舞いをしたボスのことを思い出してください。そのときあなたはダイバーシティの根幹となる「安心感」を持ったでしょうか。

感情的な振る舞いをする上司に対し、部下は「自分は受け入れられていない、価値ある存在だと思われていない」と感じるのが普通です。

それではダイバーシティの実現は不可能です。感情は人間の本性なので、感情そのものに良し悪しはありません。しかし、感情がインクルージョン(全員参加)を阻むことになる危険性があるので、注意が必要になります。

強調しておきたいのは、感情のコントロールはダイバーシティのためにわざわざやるものではないということです。わが国では昔から、人の上に立つ立場のリーダーにとっての常識だったのです。

支配者階級が肝に銘じていた代表的なフレーズをみてみましょう。

「子は温(おだやか)にして厲(はげ)し、威ありて猛からず、恭にして安し」(論語 述而第七 37

(孔子は穏やかだが情熱的で、威厳があるが感情的にはならず、礼儀正しく安らかだった)

 

2-2. 相手に注目する

マネジャーが自分の次に注目するのはチームメンバーです。
相手に注目するためには4つのアクションがあります。

1. リスペクト

1に、リスペクト、つまり敬意を持ってメンバーに接するということです。チームメンバー全員が積極的に参画するインクルージョンのために、最も大事なことはリスペクトです。

一人ひとりのメンバーは、チームに貢献する大事な人間として認められる権利を持っています。一人ひとりのメンバーがその能力をフルに発揮するためには、チームの一員であることを快適に感じていなければなりません。それをもたらすのがリスペクトです。

そのためには、何を最も大事にしているかを一人ひとりに聞くとよいでしょう。人によって異なる動機付けの要因を認識して、できるだけそれに応えるように努めます。

また、メンバーを心からリスペクトするということは、高いパフォーマンスを期待するということでもあります。相手を認めているわけですから、高いパフォーマンスを期待するのは礼儀正しいことになります。

言うまでもないことですが、メンバーに対する攻撃的な言葉や態度は慎まなければいけません。誰しも尊敬している先輩に対しては攻撃的な言葉や態度は取らないはずです。チームメンバーを尊敬するなら、同じことです。

2. 傾聴

相手に注目するための2番目のポイントは、傾聴することです。上司が自分の話を真剣に聞いてくれたときのことを思い出してみましょう。そのときどんな感じがしたでしょうか。

「自分は価値ある存在として認められている」と感じたはずです。マネジャーとして同じことをメンバーに実践すればよいのです。傾聴はコミュニケーションの品質を高めるために非常に効果のある手段です。

傾聴を実践するためには、次のような対応が考えられます。

まず、メンバーが何かしら意見を言ったら、フォローアップの質問をすることです。声に出さないでうなずくだけというのは避けます。質問をするという具体的な行動によって、相手の意見を真剣に聞いていたのだということが相手にも伝わります。

メンバーの意見の品質が高くても低くてもこのように対応することが望まれます。仮に意見の品質が低くても、「それは興味深い意見だ。それからどうなるのかわかりやすく説明して欲しい」と言ってみたらどうでしょうか。そう言ったからといって損することは何もありません。

次に、メンバーの意見が理解できないときははっきりと相手に伝えます。人間は自分が理解できないものは価値がないと考えがちです。多様な人材が生み出す価値を見逃さないためにもこのような姿勢が重要です。

さらに、これは傾聴というよりも、人の上に立つ者の基本的なマナーと言うべきでしょうが、相手が意見を言っているときは片手間に聞かないで、相手に集中します。メモを取って相手の意見を尊重していることを行動で示すのもよいことです。

3. フィードバック

3番目のポイントとしては、フィードバックが挙げられます。フィードバックは相手を大切に思い、成功するように援助したいという気持ちを行動に表すものです。

ポジティブフィードバックで相手を積極的に認め、ネガティブフィードバックで相手の成長を促します。フィードバックは「私はあなたのことを大切な存在だと思っている」というメッセージになります。
 (過去のフィードバックの記事を参照のこと)

4. 意見を乞う

4番目として、相手に意見を乞うことも重要です。メンバーに積極的に意見を出してもらうように促します。会議のときも出席者全員に発言の機会を設けるとよいでしょう。それはメンバーに成長の機会を与えることになると同時に、インクルージョンにもつながります。

「自分は何でも知っている」というのはオールドなリーダー像です。「自分は何も知らない」というのがこれからのリーダー像です。不確実な環境では誰も正解を知らないので、相手に意見を乞うことはとても大事なことになります。

自分、そして相手の次は、チームにフォーカスします。多様性に富んだチームを創造することで、ダイバーシティマネジメントを実践します。

2-3. マネジャーに期待される役割

企業という組織の中で、戦略の要のポジションにいるのがマネジャーです。戦略を立案し、実行し、結果を出すことがマネジャーには期待されます。

ダイバーシティは企業戦略のオプションの一つです。そうすると、トップマネジメントがマネジャーに対して期待することは次のようになるはずです。

  1. ロールモデルになる
  2. 多様性を受容する組織風土を作る
  3. 組織のパフォーマンスを向上させる

1. ロールモデルになる

マネジャーにはロールモデルとなってダイバーシティを推進することが期待されます。そこには2つの意味があります。1つは、先に説明したようにマネジャーが率先してダイバーシティマネジメントを実践するということです。

もう1つの意味は、マネジャー一人ひとりが多様な人材になるということです。つまり、マネジャー層がダイバーシティを体現しているということです。

マネジャー層が金太郎飴では組織全体のダイバーシティは実現できません。一人ひとりがオリジナルなアイデアを持って個性を発揮するというのが、これからのマネジャーのあるべき姿だと言えます。

部下にとっても、目指すべきロールモデルが多様であることは好ましいことになります。

 2. 多様性を受容する組織風土を作る

会社の組織風土を考えたときに、中立的かつ自然に見える働き方や慣行、あるいは標準的な働き方そのものが、マジョリティである男性の価値観と生活スタイルを反映していることに気づきます。会社の制度や仕組みはこのような前提で成り立っています。

マジョリティの男性とは、配偶者が専業主婦の男性です。家族への責任は専業主婦に委ねられているので、家庭では妻が子供の世話、親のケア、家事をすべて担当します。そのおかげで、夫であるマジョリティの男性は家庭よりも仕事を優先して、長時間労働に従事することができます。

会社の制度や慣習はこのようなマジョリティの男性社員によって形成されているので、必然的に会社のルールは標準的な男性社員に有利なものとなっています。

そのため、標準的な男性社員の属性を持たない社員(女性、外国人、非正規社員)には成功しにくい状況が形成されます。その結果、目に見えない偏見が組織の文化と働く規範の中に深く根付いています。

例えば、急な残業や出張に対応できる方がよいという観念があると思います。マジョリティの男性社員は対応が可能ですが、子供を持つ女性社員には難しいことになります。

このような目に見えない障害は組織の至る所にあります。そのため、現場を預かるマネジャーには、偏見に満ちた現状を率先して変革することが期待されます。

 3. 組織のパフォーマンスを向上させる

マネジャーのミッションは組織のパフォーマンスを向上させることにあります。そのためには、効果を上げる、効率を上げる、という2つのアプローチがあります。

ビジネスの環境が安定していると、効率性の追求は合理的な行動となります。効率性のためには組織の同質性が有利に働きます。組織が無駄なくスピーディに動けるからです。右肩上がりの時代の日本企業が同質的な人材を集めて金太郎飴のような人材を育てようとしたことには、戦略的な合理性があったと言えます。

ところが、変化が激しく不確実性の高いビジネス環境になると効率性の追求だけでは対応できなくなります。効果を実現しなければなりません。つまりイノベーションということです。

グローバル化の時代はイノベーションが勝負になります。イノベーションの源泉は知と知の組み合わせなので、組織の知が多様性に富んでいることが不可欠となります。それを地域全体で実現しているのが世界をリードするシリコンバレーです。

組織の知の多様性を高めるためには、多様な人材を集め、それを活かす戦略を構築し、実践する必要があります。その実践の担い手が戦略の要のポジションにいるマネジャーなのです。

3. まとめ

最後に、マネジャーがダイバーシティを実践するための心得をまとめておきます。

  • ダイバーシティについての知識と理解を持つ
  • 自分の固定概念やバイアスを常に意識し、見直す
  • 柔軟かつオープンマインドでメンバーの話を聴く
  • メンバーの属性の相違とニーズを認識する
  • 偏見や差別のない言葉づかいと態度を取る
  • 相手に合わせた適切なフィードバックをする
  • 「違い」によって生じる摩擦や対立に適切に対応する
  • 多様なメンバーの強みを活かすようにする
  • 「違い」を持つメンバーとの信頼関係を築く
  • 一人ひとりが受け入れられていると感じるチームを作る
  • 多様な人々と上手にコミュニケーションを行う
  • 外見や属性で人を判断しない

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