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業種別コンプライアンス教育② 世界展開する「商社」の教育ポイントとは

企業には、メーカー、商社、小売、サービスなどのさまざまな業種があり、その中に、営業、企画、広報などの多様な職種があります。これらの要素には、それぞれ特徴があり、その特徴に合った適切な予防法務があります。

たとえばメーカーでは、営業から技術開発、工場などまで職種が多様であり、また従業員数と拠点が多い特徴があります。こうした企業で予防法務の効果が期待できるコンプライアンス教育を行うためには職種別の重点教育と併せて、大人数でも受講できるeラーニングの活用が効果的です。
(詳しくは「業種別コンプライアンス研修① 巨大企業が名を連ねる「製造業」での教育方法」をご参照)

このように、業界によって個性的な特徴を持つ場合は、それらの要素に合わせて、最適なコンプライアンス教育を企画することが大切です。

今回は、モノを動かして利益を得る業種である「商社」について、業種の特徴に合わせたコンプライアンスの重点教育の企画方法をご紹介します。

参考)
知っておきたい、業界分類一覧と解説(マイナビ)
https://shinsotsu.mynavi-agent.jp/knowhow/article/industry-list.html


1. 商社の特徴

まず、コンプライアンス教育の企画に影響する商社の特徴を見てみましょう。

社の基本機能は、取引の仲介を行うトレーディング事業です。さらに、最近では、原料調達から加工製造流通販売アフターサービスなどの一連の事業活動にも関与しており、その事業に関連した事業投資も行っています。

また、商社には、幅広い分野で事業を行う「総合商社特定の分野を専門的に扱う「専門商社に区分されます。

総合商社

総合商社はメーカーと同様に、国内、海外に多数の拠点を持っており、一昔前には「カップラーメンからミサイルまで」と言われたように扱う商品は多彩です。油田などエネルギーの開発なども手掛けており、地球の裏表に渡って拠点を置く企業です。

当然、社員数も多く、国内外で勤務時間帯も異なるわけですから、コンプライアンス教育を行き渡らせるには、eラーニングの積極的な活用やeラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッド・ラーニングが適切です。

>>関連記事
ブレンディッド・ラーニングについて詳しくは下記記事をご参照ください。
ブレンディッド・ラーニングとは 研修とeラーニングのうまい組合せ方

専門商社

一方、専門商社とは、次のような商社です。

専門商社とは、売上比率の50%以上が特定の商品である商社のこと。総合商社のような広い領域で事業を展開するのではなく、特定の事業分野に特化していることが特徴です。専門商社は特定の商品事業に特化していることから、独自のノウハウ、メーカーや顧客とのパイプを持っています。専門商社ではトレーディング事業がメイン。しかし、ただ仲介をするだけでなく、専門知識をいかしたコンサルティングやファイナンスを行う専門商社もあります。

原典)
総合商社と専門商社の特徴を理解しよう、専門商社とは? (MatcherDictionary)
https://matcher.jp/dictionary/articles/450

専門商社には、メーカー系専門商社、総合商社系専門商社、独立系専門商社があり、それぞれに特徴があります。効果的な予防法務を実施するためには、それぞれの特徴に合わせたコンプライアンス教育の企画が効果的です。


2. 重点教育分野のサンプル

それでは、商社の特徴に対応した重点教育のサンプルをご紹介します。

コンプライアンス教育は、その前提条件として、定期的なコンプライアンスに対するトップの正しい理解明確なメッセージが必要です。そのうえで、全社員がコンプライアンスの基礎知識を「問題発見力」として学び、幹部社員がリスクを予見し、迅速に対応できるように問題解決力を学ぶことが重要です。また、定期的なアンケートなどにより、現状を分析し、潜在的なリスクを予見するとともに、重点分野に教育する方法を取ることが大切です。この関係を図にすると次のようになります。

※この関係図については、『eBook コンプライアンスが楽しくなる! ゲーミフィケーションで実践する教育の仕組みづくり』第4章をで詳しく解説しています。

>>関連記事
階層別教育について詳しくは、下記記事をご参照ください。
コンプライアンス教育の基本 違反の原因・階層別の教育方法をご紹介

2-1. 全社員の重点教育分野

この関係図に基づき、全社員に重点教育が必要な分野は、次の例が考えられます。

① セクハラ・パワハラ

パワハラやセクハラなどの職場におけるハラスメント(嫌がらせ)の防止については、関連法の改正が予定されており、法案が通れば、2020年から義務化されます。

ハラスメントは、具体例の定義が難しい分野であり、法改正に伴う企業のコンプライアンスに対する基本的な考え方に加えて、具体的な事例を用いた教育が必要な分野です。

参考)
パワハラ防止、2020年から義務化 労政審、ハラスメント報告書了承(産経ニュース)
https://www.sankei.com/life/news/181214/lif1812140033-n1.html

② 情報セキュリティー(個人情報保護法を含む)

情報システムやインターネットが企業や組織の運営に欠かせない現代では、情報セキュリティー教育は必要です。また個人情報については、法改正により匿名加工情報にすれば活用できる領域が広がりましたが、義務に違反した場合の罰則も定められています。そのため、正しい知識に基づく適切な取り扱いについての教育が必要です。

参考)
情報セキュリティ対策の必要性(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/business/executive/01.html
個人情報保護法の改正によって、匿名化された個人情報の取り扱いが新設されたと聞きましたが、どのようなものでしょうか?~匿名加工情報について~ (クレア法律事務所)
https://www.clairlaw.jp/qa/cat446/post-91.html

③ 外為法

商社は、トレーディング事業が基本業務であり、輸出や輸入に関連する部門の多い企業です。そのため、海外出張する社員も多いと思います。また、トレーディング事業や事業投資には、情報の収集や分析は欠かせません。従って、輸出・輸入取引、海外出張、クラウドの利用の頻度を考えると、安全保障貿易コンプライアンスのために、外為法を学ぶ必要があります。

>>関連記事
海外出張、クラウド利用と外為法の関係について詳しくは、下記記事をご参照ください。
海外出張やクラウド利用も注意! 外為法違反を防ぐコンプライアンス教育

2-2. 専門商社の重点教育

専門商社は、業種の特徴により3タイプに分けられることは前述しましたが、それぞれについて必要な重点教育分野を見ていきましょう。

①  メーカー系専門商社

特定のメーカーを中核としており、また、メーカーを親会社とするグループ会社になっている場合もあります。そのため、メーカーであれば必須である製品の品質の安全性と品質問題が発生した場合のリスクが考えられます。それに該当する法律が「PL法(製造物責任法)」です。

PL法の事故が発生した場合には、製造者などの直接当事者に加えて、販売、運送なども、PL事故に巻き込まれるリスクがあります。そのため、メーカー系の商社でも、PL法を学ぶ必要があります。

>>関連記事
PL法教育について詳しくは、下記記事をご参照ください。
PL法コンプライアンス教育で品質問題リスクを防ぐ 研修事例をご紹介

メーカーのグループ会社になっている場合、メーカー本社の法務部門がグループコンプライアンスとして、重点取り組み分野を決めている場合があります。その場合は、グループコンプライアンスとして、指定された法分野を重点的に教育する必要があります。

参考)
花王 ビジネス コンダクト ガイドライン(花王)
https://www.kao.com/jp/corporate/about/policies/compliance/business-conduct-guideline/
企業理念(花王カスタマーマーケティング)
https://www.kao.co.jp/employment/kcmk/philosophy/

②  総合商社系専門商社

総合商社系専門商社とは、総合商社の特定分野を中核に成立した専門商社、または総合商社の事業投資により子会社化した専門商社のことです。

原典)
総合商社と専門商社の特徴を理解しよう、総合商社系専門商社 (MatcherDictionary)
https://matcher.jp/dictionary/articles/450

重点取り組み分野は、事業内容によって異なりますが、総合商社を親会社とするグループ会社の場合は、メーカー系専門商社の場合と同様に、グループコンプライアンスとして指定された法分野を重点的に教育する必要があります。

参考)
コンプライアンス(伊藤忠商事)
http://www.itochu.co.jp/ja/about/governance_compliance/compliance/index.html
日本|主要子会社および関連会社(伊藤忠商事)
http://www.itochu.co.jp/ja/about/partner/japan/index.html

③ 独立系専門商社

独立系専門商社は、メーカー系や総合商社系と異なり、単独で事業を行っています。そのため、重点取り組み分野は、事業内容により異なります。たとえば、通信やエレクトロニクスを扱っている商社の場合は、メーカーと同様にPL法の教育が必要になります。

参考)
総合商社と専門商社の特徴を理解しよう、専門商社とは? (MatcherDictionary)
https://matcher.jp/dictionary/articles/450

以上のように、全社員共通の基本分野に加えて、業種の特徴に合わせて重点的な教育分野を設定し、継続的なコンプライアンス教育を行うことが、予防法務のために効果的です。

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日本では「外為法」の中で輸出管理に関する事項が規定されています。この記事にあるように、商社の社員は輸出・輸入取引、海外出張、クラウドの利用の頻度が高く、コンプライアンス順守のために外為法を学ぶ必要があります。
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3. まとめ

コンプライアンス問題の潜在的なリスクを分析し、そのリスクに対して適切に対応できる仕組みや仕掛けを準備しておくことによって、組織的にコンプライアンス問題の発生を予防するのが「予防法務」です。予防法務を実現するためには、企業の業種に基づく特徴に合わせたコンプライアンス教育の企画がお勧めです。

モノを動かして利益を得る業種である「商社」は、海外を含めて拠点が多いので、eラーニングの積極的な活用とeラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッド・ラーニングが有効です。

重点教育のサンプル例として、全社員の重点教育分野である「セクハラ・パワハラ」、「情報セキュリティー(個人情報保護を含む)」、「外為法」をご紹介しました。また、専門商社については、「メーカー系専門商社」、「総合商社系専門商社」、「独立系専門商社」の特徴に合わせた重点教育の企画例をご紹介しました。

今回ご紹介した商社の特徴に合わせたコンプライアンス教育の取り組みを参考に、自社の適切なコンプライアンスの実現を目指してください。

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・業種別コンプライアンス研修① 巨大企業が名を連ねる「製造業」での教育方法
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