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業種別コンプライアンス研修① 巨大企業が名を連ねる「製造業」での教育方法

著名企業による不正、いわゆるコンプライアンス違反が相次ぎ、社会全体でコンプライアンス重視の気運が高まっています。

しかし、「企業コンプライアンス」と一言に言っても、企業には、メーカー、商社、小売、サービスなどのさまざまな業種があり、その中に、営業、企画、広報などの多様な職種があります。
これらの業種や職種にはそれぞれ特徴があるので、効果的な予防法務を行うためには、それぞれの要素の特徴に合わせたコンプライアンス教育の企画が必要です。

コンプライアンスの実現には、次の2つの対応策が有効です。(※1)
「案件法務」:コンプライアンス問題が発生した後、迅速に問題を解決することで企業が受ける損害を最小限にしようとするアプローチ
「予防法務」:コンプライアンス問題の潜在的なリスクを分析し、そのリスクに対して適切に対応できる仕組みや仕掛けを準備しておくことによって、組織的にコンプライアンス問題の発生を予防する対処法

特に「予防法務」では、自社や他社の事例から作成した問題を教材としたコンプライアンス教育が効果的です。(※2)

しかし、冒頭に述べたように企業の特徴によって、注意すべきことや教育すべきことは多様です。そこで、業種ごとの特徴に合った教育企画について紹介していきたいと思います。

今回は、モノを作ることが主要な事業である「メーカー」について、予防法務の効果が期待できるコンプライアンスの重点教育の企画方法について、ご紹介します。

参考)
知っておきたい、業界分類一覧と解説(マイナビ)
https://shinsotsu.mynavi-agent.jp/knowhow/article/industry-list.html

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※1 案件法務と予防法務について詳しくはこちら
コンプライアンス体制の作り方 機能的な組織で問題発生をコントロール
※2 事例学習について詳しくはこちら
事例学習が効く!会社をつぶさないためのコンプライアンス教育
コンプライアンス教育の肝は事例選び!効果を引き出す活用のコツとは


1. 日本企業の主軸、メーカーの特徴

コンプライアンス教育の企画に影響するメーカーの特徴を見てみましょう。

日本企業の従業員数ランキングのトップ10社のうち、7社はメーカーであるように、メーカーは工場設備を持っていることもあり、比較的に従業員数が多いという特徴があります。また、研究、製造、販売などの機能により、日本国内から海外に至るまで、多拠点に分かれていることが多いのもメーカーの特徴です。

多くの企業でコンプライアンスを担当しているのは法務部です。日本企業の法務部員は増加傾向にありますが、従業員2500人以上の企業の法務部員は平均18.9名です。トップ10社のメーカーの平均従業員数は、約4万人ですから、20名ほどで多拠点に所属する膨大な数の従業員に対するコンプライアンス教育を行う必要があります。

これらの要素を考えると、全てのコンプライアンス教育を集合研修のみで行うことは、学習機会の提供や効率の面で困難です。そのため、eラーニングの積極的な活用や、eラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッド・ラーニングが有効です。

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ブレンディッド・ラーニングとは 研修とeラーニングのうまい組合せ方

さらにメーカーは、製品の開発、製造、販売までを手掛けているため、ほかの業種と比較しても、多くの職種があります。たとえば営業、企画、広告・広報などは、一般的な企業にもありますが、それに加えて、開発や製造機能に関連する生産管理、研究開発、製造、資材調達などの部署を抱えています。このように多種多様な職種を持つ企業に対してコンプライアンス教育を企画する場合、全社員に共通する法分野とは別に、職種別に教育する分野を絞る方法が効果的です。

たとえば、研究開発や資材調達の担当者は、社外の下請先に発注する取引があるため、下請法の重点教育が必要です。また、営業の担当者は、対外取引を担当しており、契約の教育は必須であり、さらに、海外営業を担当する部門には、外為法(安全保障貿易コンプライアンス)の教育が必要です。

このように、専門分野についてそれぞれ対応する法律を取り上げ、重点的に教育することが効率的なコンプライアンス教育となります。

参考)
メーカー業界とは?仕事・業界研究(リクナビ)
https://job.rikunabi.com/contents/industry/888/
日本の大企業の従業員数ランキング1位~3679位の会社一覧。大手で1番多いのは74890人【2019年4月最新版・日本全国・全業界】(年収ランキング)
https://www.ts-hikaku.com/clist/a0/v1s22t0p.html

「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」、2018、経済産業省、P6
http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180418002/20180418002-2.pdf


2. メーカーにおける重点教育の事例

それでは、メーカーの特徴である多様な職種に対応した重点教育の事例をご紹介します。

全社員向けの教育と職種別の教育に分けて、それぞれ解説していきます。
その前に、全社員向け教育/職種別教育の考え方について、触れておきたいと思います。

コンプライアンス教育は、その前提条件として、定期的な「コンプライアンスに対するトップの明確なメッセージ」が必要です。そのうえで、全社員がコンプライアンスの基礎知識を問題発見力として学び、幹部社員がリスクを予見し、対応できるように問題解決力を学ぶ方法をご紹介しました。そして、定期的にアンケートなどにより、現状を分析し、潜在的なリスクを予見するとともに、重点分野に教育する方法が効果的です。この関係を図にすると次のようになります。

※この関係図について、無料eBook『コンプライアンスが面白くなる!~ゲーミフィケーションで実践する教育の仕組みづくり』第4章で詳しく解説しています。

>>関連記事
問題発見力・問題解決力について詳しくはこちら
事例学習が効く!会社をつぶさないためのコンプライアンス教育
コンプライアンス教育の基本 違反の原因・階層別の教育方法をご紹介

2-1. 全社員の重点教育分野

この関係図に基づくと、全社員に重点教育が必要な法分野としては、次の例が考えられます。

① セクハラ・パワハラ

パワハラやセクハラなどの職場におけるハラスメント(嫌がらせ)の防止については、関連法の改正が予定されており、法案が通れば、2020年から義務化されます。

ハラスメントは、具体例の定義が難しい分野であり、法改正に伴う企業のコンプライアンスに対する基本的な考え方に加えて、具体的な事例を用いた教育が必要な分野です。

参考)
パワハラ防止、2020年から義務化 労政審、ハラスメント報告書了承(産経ニュース)
https://www.sankei.com/life/news/181214/lif1812140033-n1.html

② 情報セキュリティ(個人情報保護法を含む)

情報システムやインターネットが企業や組織の運営に欠かせない現代では、情報セキュリティ教育は必要です。また、個人情報については、法改正により匿名加工情報にすることにより活用できる領域が広がりましたが、義務に違反した場合の罰則もあります。そのため、正しい知識に基づく適切な取扱いについての教育が必要です。

参考)
情報セキュリティ対策の必要性(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/business/executive/01.html

個人情報保護法の改正によって、匿名化された個人情報の取り扱いが新設されたと聞きましたが、どのようなものでしょうか?~匿名加工情報について~ (クレア法律事務所)
https://www.clairlaw.jp/qa/cat446/post-91.html

③ PL法(製造物責任法)

PL法を学ぶことは、製品の品質の安全性の確保と品質問題が発生した場合のリスクを学ぶことです。モノ作りが事業の骨格であるメーカーにとって、PL法の学習は必須です。

PL法の事故が発生した場合には、製造者などの直接当事者に加えて、販売、運送などもPL事故に巻き込まれるリスクがあります。そのため、PL法は、製造や開発部門のみではなく、全社員が学ぶ必要のある分野です。

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PL法コンプライアンス教育で品質問題リスクを防ぐ 研修事例をご紹介

2-2. 職種別の重点教育分野

主な職種別の重点教育分野としては、次の法分野が考えられます。

① 営業職

「契約」
営業職は、対外的な取引を担当しており、恒常的に契約行為を行います。契約とコンプライアンスは密接な関係にあります。取引先とコンプライアンス問題になるような契約を締結しないためにも、契約の基礎知識を教育する必要があります。

「独占禁止法」
営業職は、多様な取引先とのビジネスを担当しています。たとえば、製品を代理店や販売店に提供して、市場に販売する取引を担当している場合は、再販価格維持などの問題のリスクを知っておく必要があります。また、公共営業のような政府や地方自治体などが行う公共入札を担当している部門は、犯罪となってしまう「談合」について正しく認識する必要があります。そのため、営業職には、独占禁止法の基礎知識を教育する必要があります。

「外為法」
営業職の中には、海外ビジネスを担当し、海外出張が多い社員もいると思います。輸出や輸入などの海外ビジネスを担当する担当者に対しては、安全保障貿易管理コンプライアンスの視点から、外為法を教育する必要があります。

② 商品企画、研究開発、製造、資材調達職

「独占禁止法」
技術系の社員が多いこれらの職種も、最近では、業界標準の策定や他社との共同研究開発などに関して、社外で同業他社とやり取りの場面が増えています。そのような場面で、独占禁止法で禁止している行為や制限されている行為についてコンプライアンス問題が発生しないように、基本的な知識を教育する必要があります。

「下請法」
社外に発注する業務を行う可能性の高い職種であり、その取引が下請法の対象である場合、下請法を遵守する必要があります。そのため、下請法を教育する必要があります。

「契約」
下請取引先との契約において、下請法の問題が発生しないようにするために、契約についても、基本的な知識を教育する必要があります。

③ 宣伝・広報職

「著作権法」
商品やサービスの宣伝やホームページなどのサイトでの宣伝においては、他人の著作権を侵害しないために、著作権法について学び、適切な著作権の利用を教育する必要があります。

「下請法」
宣伝や広報のデザインや材料の手配のために、社外に発注する取引が考えられます。その場合、取引内容が下請法の対象となる場合がありますので、下請法を教育する必要があります。

「契約」
下請取引先との契約において、下請法の問題が発生しないようにするために、契約についても、基本的な知識を教育する必要があります。

>>関連記事
各法分野とコンプライアンス教育のポイントについては、以下の記事をご参照ください。
【独禁法】 独占禁止法違反は実例教育で防ぐ 研修事例で学ぶ企画のポイントとは
【下請法】 下請法コンプライアンス教育はこうする 研修事例で学ぶ効果的な対策
【PL法】 PL法コンプライアンス教育で品質問題リスクを防ぐ 研修事例をご紹介
【外為法】 海外出張やクラウド利用も注意! 外為法違反を防ぐコンプライアンス教育
【著作権法】 うかつなコピペも大損害! 著作権侵害を防ぐコンプライアンス教育とは
【契約】 コンプライアンス問題を防ぐ「契約書」チェック 法律別のポイントとは

以上のように、全社員共通の基本分野に加えて、職種や担当別に重点的な教育分野を決めて、継続的なコンプライアンス教育を行うことが、予防法務のために効果的です。


3. まとめ

組織的にコンプライアンス問題の発生を予防する「予防法務」を実施するには、コンプライアンス問題の潜在的なリスクを分析し、そのリスクに対して適切に対応できる仕組みや仕掛けを準備しておき、企業の業種に基づく特徴に合わせたコンプライアンス教育の企画がお勧めです。

モノを作ることが主要な業務である「メーカー」は、職種と拠点が多いので、eラーニングの積極的な活用とeラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッド・ラーニングが効果的です。

また重点教育のサンプル例として、多様な職種の特徴に合わせた全社員の重点教育分野として、「セクハラ・パワハラ」、「情報セキュリティ(個人情報保護を含む)」、「PL法(製造物責任法)」をご紹介しました。さらに営業職、商品企画、研究開発などの職種別の特徴に合わせた重点教育の企画例を取り上げました。

今回ご紹介したメーカーの特徴に合わせたコンプライアンス教育の取り組みを参考に、自社の適切なコンプライアンスの実現に取り組んでください。

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・年間およそ200社が倒産!会社をつぶさないためのコンプライアンス入門
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・事例学習が効く!会社をつぶさないためのコンプライアンス教育
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・コンプライアンスとは 法令だけじゃない、CSRとリスクマネジメントの重要性
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・コンプライアンス教育の基本 違反の原因・階層別の教育方法をご紹介
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・独占禁止法違反は実例教育で防ぐ 研修事例で学ぶ企画のポイントとは
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・下請法コンプライアンス教育はこうする 研修事例で学ぶ効果的な対策
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・PL法コンプライアンス教育で品質問題リスクを防ぐ 研修事例をご紹介
https://lightworks-blog.com/compliance-edu-pl-law
・海外出張やクラウド利用も注意! 外為法違反を防ぐコンプライアンス教育
https://lightworks-blog.com/compliance-edu-foreign-exchange-law
・うかつなコピペも大損害! 著作権侵害を防ぐコンプライアンス教育とは
https://lightworks-blog.com/compliance-edu-copyright
・コンプライアンス教育の肝は事例選び!効果を引き出す活用のコツとは
https://lightworks-blog.com/compliance-case-study
・コンプライアンス教育の事例選びに使えるサイト・書籍、活用法をご紹介
https://lightworks-blog.com/compliance-utilize-case-problem
・コンプライアンス教育資料の作り方 事例の伝え方で研修効果が変わる
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・コンプライアンス事例の使い方(1) リニア談合に学ぶ他社事例の活用法
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・コンプライアンス事例の使い方(2) 自社事例を教育に有効活用するには
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・反転授業で研修効果と学習意欲アップ eラーニング活用事例をご紹介
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https://lightworks-blog.com/compliance-questionnaire
・コンプライアンス問題を防ぐ「契約書」チェック 法律別のポイントとは
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