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中国のビジネス文化の特徴は?赴任前に知っておきたい5つのポイント

「中国人とビジネスを行うにあたり、知っておくべき文化や習慣はあるだろうか。」

今や30,000社を超える日系企業が活動しており、在留邦人数も120,076人と、多くの企業、そしてビジネスパーソンにとってなくてはならない存在となっているのが中国です[1]

同じ東アジア圏なので、自ずと情報が入ってきているように思いがちですが、実は中国のビジネス文化について説明できる人は多くはないのではないでしょうか。

近くて遠い国、中国。現地のビジネスにスムーズに溶け込むために、そこに根付いている文化や習慣を知っておくことはとても大切です。そのためには、私達日本人のビジネス習慣がグローバルな視点でどのように評価されているのかを知ることも、有効でしょう。

本稿では、世界における日本のビジネス文化の見え方を確認したうえで、中国のビジネスにおいて特徴的と言える要素を取り上げ、価値観やスタンスについて解説していきます。

中国に赴任される方、日本にいながら現地とやり取りをする必要のある方、また隣国のビジネスに関心を寄せるすべてのビジネスパーソンの参考となれば幸いです。

[1] 参考:「外務省 海外在留邦人数調査統計 令和元年版」<https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000043.html>


1. 日本のビジネス文化は世界からどう見えているか

業種や世代によっても異なりますが、一般的に日本のビジネス文化は以下のような点で特徴的と言われています。

・品質をとても大切にする
・上下関係がはっきりしている
・協調性を重視する
・責任感が強い
・優先順位よりも細部にこだわる
・形式的な会議が多い
・時間に対して非常に厳しい
・指示を出す際、物事全てを説明することは少ない

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングの創立者で、日本のグローバル企業が抱える人事・文化面の課題をはじめとした日本のビジネス・プラクティスの専門家であるロッシェル・カップ氏は、次のように述べています。

「衝突の少ない職場づくりを大切にする点は、日本人と一緒に働くと、とても協力的な関係ができると高く評価されています。一方で、日本人はイエス・ノーを明確に表現しないことが多いため、日本人の発言は何を意味するのかが分かりづらいという意見も多くあります。」[2] 

日本のビジネス文化は、「丁寧で協調性がある」と評価される一方、「曖昧で意図がわかりづらい」と感じられる傾向があるようです。

[2] Academyhills「日本型ビジネス文化の特徴とグローバルコミュニケーションスキル 第1章 日本型ビジネス文化は、海外からどう見られている?」<https://www.academyhills.com/note/opinion/14070201Rochelle_Kopp.html>


2. 中国のビジネス文化の特徴として押さえておきたい5つのこと

本題である、中国のビジネス文化について特徴的と言える5つをご紹介します。

2-1. 組織と個人について

組織や企業の中の一員という認識よりも、あくまでも個人としてのスタンスを重視する傾向があるようです。背景には、1978年から進展している改革開放政策によって、市場競争が激化し、徹底した実力主義社会の価値観が浸透していったことが挙げられます。

当時は日本の約80分の1だった中国のGDPは、2018年には日本の約3倍にまで膨れ上がりました。

2010年に日本を抜き、世界第二位の経済大国となった中国の飛躍的発展をけん引したのが個人の働きの集合だと想像すれば、個人の実力主義社会というのは自然なことのように考えられます。

2-2. 自己主張について

明快・合理的に自分の意見をはっきりと述べる人が多いようです。異論や問題意識についても正面から伝えることで、相手は問題点に気付いて改善できるので、その方が親切だと考えます。

仮にそれで喧嘩になったとしても、お互いの意見をぶつけ合うことによって親しい関係になれるという感覚があります。

こうした文化的背景から、ともすれば不満があっても何も言わずに音信不通になってしまう日本人は「冷たく不可解」という印象を持たれがちなようです。

会議や交渉などビジネスの場でも「イエス・ノー」をはっきり言います。考え事をするために沈黙していたとしても、発言しない人は何も意見がないとみなされてしまいます。

「おしゃべりを意味する「聊天(liáo tiān)(リィアォ ティェン)」と「商談」を意味する「談判(tán pàn)(タァン パァン)」は明確に区別されていて、会議で世間話やお喋りを続けることはあまりありません。

2-3. 品質の考え方について

形式美や厳格な品質管理、匠の技といった付加価値的な要素よりも、価格が重要視される傾向があります。

日常的に価格交渉が行われ、「貨比三家(huò bǐsān jiā)(フゥオ ピィー サァン ヂィア)」という、少なくても三社の見積を比較して、最低価格で発注先を決める商習慣があります。さらに、契約後も交渉を重ね、金額をより低くする場合もあるようです。

価格に厳しい分、悪い言い方をしてしまうと「安かろう悪かろう」という商品が生まれていまい、その品質が中国内外から問題視されることも多々あります。

2009年に行われた中国人消費者の品質に関する意識調査でも、自国・韓国・日本で比較した場合自国が最下位という結果が出ました。

アンケートの対象者が大学関係者であることも影響していると思われますが、高学歴で若い世代を中心に、グローバル基準で品質を評価する視点が生まれているようです。

参考)
吉城唯史「中国における品質管理の現状と課題―青島の事例を中心に―」
https://www.kansai-u.ac.jp/Keiseiken/publication/seminar/asset/seminar09/seminar09_s183.pdf

 

  • 東アジア研究班委嘱研究・阪南大学経営情報学部准教授 吉城唯史氏が行ったアンケート
  • 青島に所在する中国海洋大学管理学院の学生、大学院生、教職員300名を対象に実施
  • 「中国製品・韓国製品・日本製品」について「価格の高さ・品質の高さ・愛着を感じるか」を問い、5ポイントスケールで回答
  • 平均ポイントは中国製品が2.837、韓国製品が3.059、日本製品が3.512

一方、最近では品質を第一に掲げる中国企業も出てきています。中国を代表する家電メーカーであるハイアール社は、「ユーザーは常に正しい」「市場は品質で決まる」という徹底した品質管理をコンセプトとし、世界100か国で事業を展開するグローバルカンパニーとなっています。

中国市場の品質に関する考え方は、変化期にあると言えるでしょう。

2-4. 面子について

面子は自分の存在そのものと言っても過言ではないほど、とても面子を大切にする文化があります。もし、中国に赴任した際、相手の反応に戸惑うことがあったら、その人の面子を潰していないかを考えてみると、理解できることがあるかもしれません。

面子に関するビジネス文化の象徴としてよく挙げられるのが、「人前で叱ってはいけない」「謝罪をしない」「大風呂敷を広げる」などがあります。

中国人が絶対に謝罪をしないわけではないのですが、日本人が挨拶のように「すみません」を使用することに比べると、謝罪を回避する傾向があります。背景には、「自分の非を認めることは、自ら面子を潰すこと、多くの損害を呼び込み、一族の信用を失う」という考え方があります。

このため、実現の難しいことでも「できない」とは言わず、ひとまず「できる」と答える傾向があり、完璧主義の日本人からすると安易な印象を受けてしまうことがあります。

その背景にはこういった文化事情があるので、業務を依頼する際などは目標を明確化したり、達成する道筋の想定を確認する、場合によっては書面を取り交わすといった工夫をすると良いでしょう。

2-5. 人間関係について

人間関係を非常に重視する文化があります。日本には「他人」「顔見知り」「知り合い」「友人」「親友」など、人間関係の段階を表す細かい表現がありますが、中国ではまず、「外人(wài rén)(ゥアィ レェン)」「朋友(péng yŏu)(パァン イォウ)」という2種類で区別をします。

「外人」とは、「自分の土地以外の人」つまり、「知らない人」「他人」「関係のない人」という意味を持ちます。「朋友」の持つ意味はとても幅広く、「外人ではない人」つまり、顔見知りから気心の知れた友人まで全て「朋友」です。

中国人と人間関係を築くためには、まず朋友となる必要があります。そして、信頼関係を結ぶことができると、困った時に助けてくれる非常に心強い友人になります。

ビジネスでも同様で、例えば役所に書類を提出する際、自分だと受け付けてもらえなかったとしても、朋友に頼むとその朋友の人間関係をたどって役所の担当者までたどり着き、無事に申請が通る、ということもままあるようです。

人に力を貸すことを「面子を貸す」といい、面子を借りた方はきちんと返さなければなりません。


3. グローバルビジネスに不可欠な異文化コミュニケーション

ここまで、中国のビジネス文化として特徴的な5つをお伝えしてきました。今回ご紹介したものは、あくまでも文化であり、もちろん中国人全ての方に当てはまるわけではありません。

日本人同士でも同様ですが、ビジネスの正解は一つではなく、どの意見が絶対に正しいということはありません。グローバルビジネスで大事なことは、外国人の主張の背後に存在する文化的バックグラウンドの特徴を認識して、相手を深く理解するように努めることです。

「自分の意見が絶対に正しい」という頑なな姿勢は、特にグローバルビジネスでは危機をもたらします。

文化的バックグラウンドを理解することの最大のアドバンテージは柔軟性が身に付くことです。それは中国に限らず、日本以外の国籍を持つ方とビジネスをする際にもとても役立ちます。

文化的な柔軟性というのは、自分の価値観や常識を絶対視しないということです。自分の価値観や常識は絶対的なものではなく、日本というある文化的バックグラウンドから根付いた相対的なものです。そのような認識を持つことによって、相手の価値観や常識を理解し、リスペクトができるようになります。

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4. まとめ

本稿では、世界における日本のビジネス文化の見え方を確認したうえで、中国のビジネス文化において特徴的と言える要素を取り上げ、価値観やスタンスについて解説しました。

業種や世代によっても異なりますが、一般的に日本のビジネス文化は以下のような点で特徴的と言われています

・品質をとても大切にする
・上下関係がはっきりしている
・協調性を重視する
・責任感が強い
・優先順位よりも細部にこだわる
・形式的な会議が多い
・時間に対して非常に厳しい
・指示を出す際、物事全てを説明することは少ない

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングの創立者で、日本のグローバル企業が抱える人事・文化面の課題をはじめとした日本のビジネス・プラクティスの専門家であるロッシェル・カップ氏によると、日本のビジネス文化は、「丁寧で協調性がある」と評価される一方、「曖昧で意図がわかりづらい」と感じられる傾向があるようです。

中国のビジネス文化について特徴的と言える5つは下記の通りです。

・組織と個人についての考え方
組織や企業の中の一員という概念よりも、あくまでも個人としてのスタンスを重視する傾向があるようです。

背景には、1978年から進展している改革開放政策によって、市場競争が激化し、徹底した実力主義社会の価値観が浸透していったことが挙げられます。

2010年に日本を抜き、世界第二位の経済大国となった中国の飛躍的発展をけん引したのが個人の働きの集合だと想像すれば、個人の実力主義社会というのは自然なことのように考えられます。

・自己主張について
明快・合理的に自分の意見をはっきりと述べる人が多いようです。会議や交渉などビジネスの場でも「イエス・ノー」をはっきり言います。考え事をするために沈黙していたとしても、発言しない人は何も意見がないとみなされてしまいます。

・品質の考え方について
形式美や厳格な品質管理、匠の技といった付加価値的な要素よりも、価格が重要視される傾向があります。

価格に厳しい分、悪い言い方をしてしまうと「安かろう悪かろう」という商品が生まれていまい、その品質が中国内外から問題視されることも多々あります。

一方で、高学歴で若い世代を中心に、グローバル基準で品質を評価する視点が生まれています。中国市場の品質に関する考え方は、変化期にあると言えるでしょう。

・面子について
面子は自分の存在そのものと言っても過言ではないほど、とても面子を大切にする文化があります。面子に関するビジネス文化の象徴としてよく挙げられるのが、「人前で叱ってはいけない」「謝罪をしない」「大風呂敷を広げる」などがあります。

このため、実現の難しいことでも「できない」とは言わず、ひとまず「できる」と答える傾向があり、完璧主義の日本人からすると安易な印象を受けてしまうことがあります。

その背景にはこういった文化事情があるので、業務を依頼する際などは目標を明確化したり、達成する道筋の想定を確認する、場合によっては書面を取り交わすといった工夫をすると良いでしょう。

・人間関係について
人間関係を非常に重視する文化があります。人間関係を「外人(wàirén)(ゥアィレェン)=知らない人」「朋友(péngyou)(パァンイォウ)=外人ではない人」という2種類で区別をします。

中国人と人間関係を築くためには、まず朋友となる必要があります。そして、信頼関係を結ぶことができると、困った時に助けてくれる非常に心強い友人になります。

人に力を貸すことを「面子を貸す」といい、面子を借りた方はきちんと返さなければなりません。

グローバルビジネスに不可欠な異文化コミュニケーションは以下の通りです。

日本人同士でも同様ですが、ビジネスの正解は一つではなく、どの意見が絶対に正しいということはありません。グローバルビジネスで大事なことは、外国人の主張の背後に存在する文化的バックグラウンドの特徴を認識して、相手を深く理解するように努めることです。

文化的バックグラウンドを理解することの最大のアドバンテージは柔軟性が身に付くことです。それは中国に限らず、日本以外の国籍を持つ方とビジネスをする際にもとても役立ちます。

中国に赴任される方は特に、あくまでも中国にお邪魔する立場である、ということを忘れずに、現地の歴史文化への敬意を持って接すれば、中国での円滑なビジネスを行うためのサポートをしてくれる、心強い朋友となれるのではないでしょうか。

参考)
高田 拓(2010)『今、あなたが中国行きを命じられたら~失敗事例から学ぶ中国ビジネス~』ビーケイシー.
筧 武雄、上村ゆう美(2006)『中国とのつき合い方がマンガで3時間でわかる本』明日香出版社.
・Google「世界開発指標-Google Public Data Explorer」
https://www.google.com/publicdata/explore?ds=d5bncppjof8f9_&met_y=ny_gdp_mktp_cd&idim=country:JPN:DEU:KOR&hl=ja&dl=ja#!ctype=l&strail=false&bcs=d&nselm=h&met_y=ny_gdp_mktp_cd&scale_y=lin&ind_y=false&rdim=world&idim=country:JPN:CHN&ifdim=world&hl=ja&dl=ja&ind=false
・世界経済評論IMPACT「中国の改革開放40年と日本の役割」
http://www.world-economic-review.jp/impact/article1318.html

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