アダプティブラーニングとは 企業の人材育成にも有用な理由

「アダプティブラーニング」とは、個々の生徒の理解度や学習の進捗状況をもとに、その生徒ごとに学習内容や方法を最適化する教育手法のことです。

主に、生徒の学習状況をデータとして記録し、そこから自動で最適化された学習コンテンツを提供するサービスのことを指すことが多く、情報通信技術(ICT)を教育分野に活用した「EdTech(エドテック、Education Technology)」の一つとして近年注目を集めています。

このアダプティブラーニングは、学校教育現場で広がりつつある教育手法ですが、学校だけでなく、企業の人材育成においても重要な意味を持つ可能性があります。

本記事では、アダプティブラーニングが従来の教育とどう違うのか解説し、また、企業の人材教育に応用するメリットについてもご説明します。


1. アダプティブラーニングとは

アダプティブラーニングを日本語に訳すと、「適応学習」となります。従来、「学習」といえば習熟度の異なる生徒たちが同じ教室で同じ内容を同じ教師から学ぶのが一般的な手法でした。これに対し、アダプティブラーニングでは個々の生徒の理解度や達成度などの進捗状況を鑑み、学習内容や学習方法などを調整した上で教育メニューを策定します。さらに、そのメニューの成果をフィードバックさせることでより効果的なメニューへとブラッシュアップしていく、という手法です。

具体的な方法としては、ICTやソーシャルメディアなどを使い、個々の生徒の学習の進捗状況をログとして集め、そこから個人の習熟度に合わせた学習内容や学習方法などを割り出して適した学習コンテンツを提供。その都度修正し、最適化を図ります。

情報化が進み、爆発的にデータ解析技術が発達したからこそ実現可能になった、現代ならではの手法と言えるでしょう。


2. 従来の教育手法とアダプティブラーニングの違い

教育業界などでは、アダプティブラーニングは理想的な教育の形であるといわれています。従来の画一的な教育手法では、ある程度の学力に応じたクラス分けなどの比較的大きな枠組みでの分け方しかできず、それでは進度の合わない生徒がどうしても出てきてしまうからです。

また、こうした学習指導は教育者自身の指導力や分析力などに依存しているため、属人性も高くなりやすく、クオリティにばらつきがあるという問題もありました。そのような中ではしっかりと成績を伸ばすことができる生徒もいれば、逆に全く伸びていかない生徒や、教師と合わないなどの要因で成績が下がってしまう生徒も少なからず存在していました。

これに対し、アダプティブラーニングでは、個々の生徒がテストなどで過去に回答したものをデータとして蓄積していき、それを分析することでその生徒の思考方法や弱点を発見し、弱い部分を改善してくれる、いわゆる「オーダーメード」の学習内容を作成して提供することを可能にします。

また、そのログ自体も閲覧できるため、進捗状況の把握がしやすいというメリットもあります。さらに、同じところを弱点とする生徒同士を繋げ、相互学習やグループ学習に取り組ませることで、力を合わせて全員で弱点を克服する、といったことさえ可能なのです。


3. 企業の人材教育へ活用できる可能性も

現在こうしたアダプティブラーニングは学校教育だけではなく、企業の人材育成に取り入れることも期待されています。企業がアダプティブラーニングを導入するメリットとしては、「学習内容の定着化や知識の蓄積の効率化」、「各人の学習内容の定着度合いの可視化」、「人材の早期育成とそれによる即戦力化」「個人に対する負担が少ないキャリア育成環境の構築」などが挙げられます。

2014年にリクルートマネジメントソリューションズが実施した調査によれば、新入社員や中堅社員のうち半数以上の人が、社会人になってから自主的な学習に取り組めていないと回答しています。その理由として多かったのは、「日々の仕事が忙しく割ける時間がない」、「趣味や私生活に時間を割いている」といったものでした。

このような現状を鑑みると、企業の人事担当者にとっては、日常の業務に追われる従業員に対し、いかに効率的・効果的な学習機会を提供するのかということは避けられない課題とも言えそうです。こうしたことからもアダプティブラーニングなど、一人ひとりに合わせた学習の最適化は、学校教育のみならず企業における人材育成でもメリットが大きいと言って良いでしょう。

企業がアダプティブラーニングを導入するメリットには、上記のものも含め次のようなものが考えられます。

  • 学習内容の定着化や知識の蓄積の効率化(学習時間の短縮)
  • 個々人の特性に合わせたベストな学習プランを提案できる
  • 教育者の指導力などに左右されず均質な教育サービスを提供できる
  • 各人の学習内容の定着度合いの可視化
  • 人材の早期育成とそれによる即戦力化
  • 個人に対する負担が少ないキャリア育成環境の構築

4. 学校教育への導入では米国が先行

アダプティブラーニングは、2010年代の初頭ころから徐々に注目を集めるようになり、現在盛んに研究されています。歴史がまだ長くないにも関わらず、すでに豊富な数の教材が開発されており、米国では既にいくつかの教材を学校で使用しているところもあります。

例えば、Dreambox(ドリームボックス)社が提供する教材は、現在主に中学2年生までの算数や数学を扱っており、2015年時点では150万人もの生徒に利用されています。また、Knewton(ニュートン)社は日本での展開を目指し、日本の教育ベンチャー企業とも提携しています。今後、日本でもアダプティブラーニングが普及していくかもしれません。実際に日本でもいくつかの中学、高校で導入されている教材があり、すでにその一歩は踏み出されているのです。

一方、企業の人材育成においてはアダプティブラーニングを積極的に活用しているといった事例はほとんどないのが現状です。今後、少子高齢化やグローバル化などにより人材獲得競争が激しくなっていくことを考えた場合、こういった取り組みをいち早く行うことにより、人材育成コストや人材の定着のしやすさで他社との差別化を図ることもできるのではないでしょうか。


5. まとめ

アダプティブラーニングとはこれまでの均一的な教育ではなく、個々人に対して最適化されることを目的とした教育手法です。

アダプティブラーニングは従来の教育手法とは全く異なるものであり、情報化が進み、データ解析技術が発達した現代ならではの手法と言えます。

米国の学校教育現場で先進的に導入されはじめてはいるものの、今現時点としては実際に行っている教育機関は世界的に見ても多くはなく、企業がそれを取り入れるといった事例もごくわずかです。

しかし、時間がなく学習機会を作りにくい社会人にこそ、個々人に最適化され効率的に学ぶことができるアクティブラーニングの登場は“福音”と呼べるかもしれません。今後の広がりに期待がかかります。

<参考文献>
https://resemom.jp/article/2016/04/19/30970.html
https://bizhint.jp/keyword/148028
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180201-00010000-biz_jinji-bus_all
https://chibicode.com/jp/5-adaptive-learning/

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