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1on1ミーティングの進め方(3) 締めの「行動計画」策定が大事!

「いろいろ相談しても、『適当にやっといて』と言われるだけなので、最近は最低限の業務報告だけでお茶を濁してます」

1on1 ミーティング(MTG)を組織的に実践している優良企業の社員の言葉を聞いて、耳を疑ってしまいました。「1on1 MTGをやること」が目的化してしまい、「部下のやる気を引き出し、成長を促す」という本来の目的が忘れられてしまった、残念な例です。

ミーティングには結論がつきものです。
誰が、何を、いつまでにやるのか、具体的なアクションに結びつかない話し合いは、「ミーティング」とは呼べません。

では、1on1MTGの結論とは何でしょうか。
それは、「部下が明日から実行する具体的な行動計画」をつくることです。

単に業務報告をするだけ、なんとなく上司と部下が話すだけでは、お互いに貴重な時間を割いてまでミーティングを行う意味が半減してしまいます。

ただ、「行動計画」といっても、どうやって作ればいいのかわからないという方もいると思います。そこで本稿では、1on1 MTGの締めともいえる「行動計画」を作るキーポイントを、上司から部下への具体的な質問例を紹介しながらみていきます。


1. 1on1 MTGの3つのプロセスと行動計画の重要性

1on1 MTGの目的は、「部下のやる気を引き出し、成長を促す」ことであり、部下が一日も早く独り立ちして自発的に行動できるよう導くことです。MTGの結果、部下がさらなる成長を目指して自ら具体的な行動の第一歩を踏み出してこそ、1on1 MTGを行う意味があります。

その「具体的な行動のための計画づくり」について詳しく説明する前に、1on1MTGの基本的をおさらいしておきましょう。プロセスは次の3つ。簡単に内容をまとめました。

① 部下の成長を促すためのテーマを設定する
テーマ(=何について話すのか)は、基本的に部下にゆだねます。上司は、部下が事前に考えてきた「話したいこと」に対して質問しながら本質的な課題を掘り下げ、「部下の成長の方向性」を明らかにしていきます。

② 目指したい目標と現状を明確にしてそのギャップをどう埋めるかの選択肢を検討する
部下に、具体的にどうなりたいのかの目標をイメージしてもらい、どうすればそれを実現できるのかを考えてもらいます。上司は、部下から選択肢を引き出すために、ティーチング(教える)とコーチング(引き出す)の手法を駆使することが大切です。時間的には最も長くなりますが、結論を出すためには、大切なプロセスです。

③具体的な行動計画を作る
いくつか挙げた選択肢のなかから、実行するものを選び行動計画を作ります。

今回取り上げるのは、3番目のプロセス「行動計画」です。

最初に申し上げたように、ミーティングには「結論」が不可欠です。つまり、3番目のプロセスにおいて、その前に出された複数の選択肢の中から、実際に実行に移す項目を定めて計画を策定することが、1on1 MTGの「結論」なのです。

>>関連記事
1on1ミーティングの3つのプロセスについて、詳しくは以下を参照ください。
1on1ミーティングの全体像
①テーマ(アジェンダ)を設定する方法
②目標と現状を把握し、選択肢を検討する方法


2. 行動計画策定のステップ

行動計画策定のプロセスを細かく分けると、次の3つのステップになります。

① 選択肢からのピックアップと計画策定
② 計画実行のコミットメント表明
③ 進捗確認の仕方の決定と上司からのサポート提案

全体を通して大切なのが、上司の部下への関わり方です。
私たち人間は、他人に言われたことをやるより、自分から自発的にやりたい、と思ったことをやるときが、一番やる気が出るし、達成確率も高くなるものです。ですから、部下の自発性を最大限尊重して本人主導で進め、上司はサポート役に徹することが重要になります。

この点を念頭において、それぞれのステップについて、留意すべきポイントと部下への質問例を見ていきましょう。

2-1. 選択肢からのピックアップと計画策定

1ステップ目は、1on1MTGの2番目のプロセスの最後に出された複数の選択肢をさらに精査して、実際に実行に移す項目を定めて行動計画に落とし込む作業です。ポイントは、以下の3つです。

① 効果が期待できるか
② すぐ実行できる具体的なことか
③ 部下がやってみたいと思えるか

言うまでもなく、行動計画は当初の目的(1on1 MTGの初めに掲げたテーマ)に沿って効果が期待できるものでなくてはなりません。

1on1 MTGは、週単位、月単位で行っているわけですから、そこで作る計画も自ずと短期的スパン、つまり明日からすぐ始められる具体的な行動が求められます。

同時に、それを実行する本人の意思、つまり「やってみたい」と思えるかどうかが、最も大切な選定基準です。

計画の中身については、上司と部下との間で誤解のないよう、以下の点をはっきりさせておくことも大切です。

  • 何のためにやるのか(Why)
  • 何をするのか(What)
  • どのようにするのか(How)
  • いつまでにやり遂げるのか(When)
  • 1人でやるのか他のメンバーを巻き込むのか(Who)

1on1 MTGの時間が足りなければ、「いつまでに行動計画を作るか」を決めて、期日までにメールなどで提出する、というかたちでもよいでしょう。

これらの留意点を踏まえ、かつ部下の自主性を引き出すべくコーチング型のアプローチをとる場合、(部下が自由に答えられる)開かれた質問をしてみましょう。以下のようなものが考えられます。

「最も効果がありそうな方法は、どれだと思いますか?」(①効果が期待できるか)
「どの選択肢が一番役立ちそうですか?」(同上)

「明日からすぐ始められそうなものはどれですか?」(②すぐ実行できる具体的なことか)
「この会議室を出た瞬間からできる行動は何ですか?」(同上)

「どの方法が一番しっくりきますか?」(③部下がやってみたいと思えるか)
「実行している自分を想像して、一番ワクワクするのはどれですか?」(同上)

「そもそも、これらの行動は、何のためにやるのでしたっけ?」(計画の中身)
「どのくらいの時間で達成できそうですか?」(同上)

ここで上司として留意しておくべき点は、「誘導しない」ということです。テーマの設定と同様、ここでも主導権は部下に預けるのが基本です。

上司から見れば、複数の選択肢のうちどれを選ぶべきか、瞬時に結論が出せる場合もあるかと思います。しかしそこで、「これしかないだろう」「これがベストじゃないかな」と答を断定/示唆してしまったら、部下の自主性を育むせっかくの機会が台無しです。

なかなか答が出ない場合は、最終判断はあくまで部下に任せることを前置きした上で、上司の私見として「提案」をしてみるとよいでしょう。

「採用するかしないかはあなたの判断だけど、〇〇はどうでしょうか?」
「ピンとこなければNOと言って全然構わないけれど、〇〇はどうでしょうか?」
「これまでの話を聞く限り、私があなたにとってベストと思うのは、〇〇のような気がします」

もちろん、非常に重要あるいは緊急な業務で試行錯誤が許されない場合や、明らかな「正解」のある課題については、上司からティーチング(教える)せざるを得ないケースもあります。

2-2. 計画実行のコミットメント表明

2ステップ目は、「行動計画を実行することが部下自身の選択と責任であること」を確認する作業です。部下が自発的に行動してこそ、達成確率が高くなるので、改めて意思確認をしておくことが重要なのです。

確認のためには、次のような方法があります。

① 計画の骨子をその場で書いてもらう
② もう一度復唱してもらう

その上で、以下の質問をしてコミットメント度合を確認してもよいでしょう。

「今、この計画を実行すると言葉にしてみて、どんな気持ちですか?」
「やり切る自信は、0から10点満点のうち、何点くらいですか?」
「実行にあたって、何か障害が出てきたらどうしますか?」

このとき、もしも部下がまだ自信がなさそうだったり、本当にやるかどうか迷っているような素振りを示したりすると、上司としては「大丈夫かな」と不安になりますね。
そんなときは、部下の気持ちに寄り添ってみてはいかがでしょうか。

「とにかく頑張ってみよう」「いったん決めたことはやるしかない」といった叱咤激励の言葉を掛けたくなる気持ちをぐっと抑えてこう尋ねるのです。

「まだちょっと自信がないようですね」
「何か迷っている部分がありますか?」

行動計画をうまく実行できるかどうか、やってみなければわからない、100%保証がない以上、心配なのは上司も部下も同じです。その気持ちを分かち合うことで、部下はきっと安心感を覚え、チャレンジする勇気が湧いてくるはずです。
また、このように働きかけることで、これまでどうしても口に出せなかったもっと深い悩みや課題を、部下が打ち明けてくれて、より深い話し合いに発展する可能性もあります。

2-3. 進捗チェックと上司からのサポート提案

3ステップ目は、計画の進捗状況をチェックするタイミングや方法を確認する作業です。せっかく時間をかけて行動計画を作っても、それを実行しなくては意味がありません。また、立てた計画が何らかの理由で実行困難な場合は、出来るだけ早く軌道修正したほうが賢明です。従って、計画の途中で一旦状況確認することが大切なのです。
ここでは、行動計画の内容によって確認するタイミングを変えることと、上司のアプローチがポイントになります。

まず、実務的な行動計画の進捗確認は細かく行うことが必要になります。例えば、顧客向け提案書のドラフト作成などは、締切日になって「できませんでした」では済まないからです。その場合は、随時チェックポイントを設けて、進み具合や内容を確かめ、手遅れになる前に手を打てる段取りを整えておきましょう。

新たなスキルや知識の習得など、少し時間がかかる行動計画の場合は、途中で息切れしたりやる気を失ったり、忙しさにかまけて優先順位が下がったりしないよう、あらかじめ進捗確認のタイミングを決めることが大切です。もちろん、1on1 MTGの場で確認するのも結構です。

また、行動計画の内容如何に関わらず、計画策定時の部下の様子をしっかり観察し、状況に応じてチェックポイントの時期に配慮するとよいでしょう。例えば、2番目のコミットメントの段階で、部下に自信がなさそうだった場合は、進捗チェックのタイミングを早めに設定し、軌道修正の余地を残しておく、といったことです。

最後は、どんなサポートが必要か、上司から部下に働きかけます。

「あなたが着実に計画を実行できるよう、私にどんなサポートをしてほしいですか?」

組織心理学の研究によれば、従業員のエンゲージメントアップに最も有効なのは、上司からのサポートだそうです。行動するのは部下自身ですが、上司のサポートがあれば、なお心強いのはもちろん、サポートしてくれる人の期待に応えなくては、という責任感も生まれます。

たとえ、現時点で具体的にサポートしてもらいたいことがなかったとしても、上司が手を差し伸べてくれた、いざとなったら上司が助けてくれる、と思えて、部下は安心して行動することができます。もちろん、上司に対する信頼感も上がるに違いありません。


3. まとめ

1on1MTGの目的は、単に部下と話すことではなく、部下の成長に向けたなんらかの結論を導くことです。

1on1MTGでは、①テーマを設定し、②目指したい目標と現状を明確にしてそのギャップをどう埋めていくかという選択肢を検討したら、③その選択肢の中から実際に実行に移す項目をピックアップして行動計画つくる、というプロセスから成り立っており、1on1MTGの結論とは、まさに3つめのプロセスにおいて「部下が目標を達成するために、明日から実行できる具体的な行動計画を策定すること」です。

行動計画の策定には、まず数ある選択肢から行動に移せる項目をピックアップしなければなりません。選定基準は3つ。課題となっている成長テーマに対する効果が期待できること、明日からすぐ始められる具体的な行動であること、そして何よりも部下自身が「やってみたい」と思えることです。

ここでも、部下の自主性を育むために、上司は不用意に誘導しないよう気をつけて、あくまで部下に選択の主導権を持たせるようにしましょう。

行動計画ができあがったら、それを実行することが部下自身の選択と責任であることを部下に認識してもらうべく、意思確認をします。
さらに、さらに、計画の進捗状況をチェックするタイミングや方法も決めておき、必要であれば途中で軌道修正できるよう計らいます。
行動計画策定の作業をすべて終えたら、最後に、計画実行にあたって上司にどんなサポートをしてもらいたいかを尋ねます。この働きかけによって、部下の実行に対する責任感と上司への信頼感の醸成を促します。

1on1 MTGで行動計画ができあがれば、PDCA(Plan、Do、Check、Action)をしっかりと回していくことになります。行動計画(P)に対して部下にしっかり実行してもらい(D)、次のMTGで実行に対するフィードバックを行って(C)、さらなる改善点を洗い出して次の計画に発展させる(A)、のPDCAです。

それによって、部下の継続的な成長を促すことができるのです。

<参考文献>
・「ヤフーの1on1」本間浩輔 ダイヤモンド社 2017年
・「心理学」 無藤隆・森敏昭・遠藤由美・玉瀬耕治 有斐閣 2004年
・「動機づけ面接法 基礎・実践編」ウィリアム・R・ミラー、ステファン・ロルニック 星和書店 2007年
・「GROW Model」Performance Consultants International, 2019年
https://www.performanceconsultants.com/grow-model
・「Managers Account for 70% of Variance in Employee Engagement」Randall Beck & Jim Harter, Gallup Business Journal, 2015年4月21日
https://news.gallup.com/businessjournal/182792/managers-account-variance-employee-engagement.aspx

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